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一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

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2020-09-10 | とある学園の話。ふわふわ編



「ふわふわちゃん!またね!」
「…絶対に…また会えるからね!」

「キュアぅ!」

湿っぽいのは好きじゃない。ボクが笑わないとチャンミンが泣くから。ボクは明るく笑い、大きく手を振る。

竜ちゃんと白狼は必ず無事に有るべき場所へ還すと言ってくれた。ふわふわちゃんが笑顔を見せるから、ボクはずっと笑顔だった。



竜ちゃん達を包んだ眩い光が消えた後、辺りは急に静かになる。ちょっと寂しくなったけど…震えるチャンミンを引き寄せないと。ギュッとして、チュウをして…ペロッとしたい。

鼻を啜って涙を浮かべるチャンミンを思い切り抱き締めると、もっと笑いたくなる。ふわふわちゃんにまた会えるまで…ボクはチャンミンと楽しくする!そんな決意を固めたから…早速、実行しないと!


「…っあ、ユノ…」

丸まる尻尾をサワサワして、チャンミンの涙を舌で拭う。チャンミンはビックリしてから頬を赤くして、フンワリ笑ってくれる。

「…僕…ユノと一緒に居られて…良かった…」
「ボクも!チャンミンと一緒に居られて嬉しい!」

ふわふわちゃんは色々なものをプレゼントしてくれた。ボクもチャンミンもいつもより深くて濃い幸せな温かさを沢山、目一杯に分け合った。






**

「竜ちゃん!ふわふわちゃんは無事に帰れた?!」
「うん!!」

次の日。
竜ちゃんから報告を受け、ボクもチャンミンも安心する。

ふわふわちゃんが未来のボク達の元に戻ったのは素直に嬉しい。ニマニマしてると、不意にある事が気になった。

「ねえ、竜ちゃん。未来のチャンミンってどんな感じ?綺麗で可愛い?
「ん~っとね」
「背も大っきくなって、尻尾も長くなってるよね?」

未来のチャンミンに興味が湧き、ボクは次々と質問した。竜ちゃんは首を傾げてから~にんまり笑う。

「オオカミンちゃんはね~ まだそんなに大っきくは…」
「…チャンミン。未来の話は秘密だと約束しただろう」
「あっ!そうだった!」

白狼が止めるから話は終わってしまった。

竜ちゃん達と別れ、チャンミンの手を引きながら考える。

竜ちゃんは…そんなに大っきくなってないって言った?

…だとしたら。

「チャンミン!今から秘密基地に行こ!」
「え?もう授業が始まるよ?」
「良いから良いから!」


思っているより早く、ふわふわちゃんに会えるかも知れない!

そう思うボクはチャンミンの手を引いて、今日もまた秘密基地に急いでた。










おしまい。







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2020-09-09 | とある学園の話。ふわふわ編


抱っこしていたふわふわちゃんは貰えたミルクでお腹いっぱいになった途端、可愛い寝息を立て始めた。

「…キュウウ…」

優しく撫でると、小さい声が聞こえてくる。
今まで知らなかった類いの愛しさが溢れてきて、僕は口元を弛ませてしまう。ユノがそんな僕を覗き込み、明るく笑う。

「チャンミン!ニマニマしてる!」
「だって楽しいからね」

同じだって笑うユノは僕の肩を引き寄せて、小さく囁く。

「チャンミン。ふわふわちゃんとのお別れ、泣いちゃっても大丈夫だからね」
「…泣いちゃっても…ユノがギュッとして涙を拭ってくれるから?」
「うん、そう」

大きく何度も頷く頼もしいユノは今からギュッとしてくれる。僕はユノがくれる温かさにホッとしながら…小さく答える。


「泣きたくないけど…やっぱり泣いちゃうかも知れないけどね。…大丈夫だよ?だって…ふわふわちゃんにはまた会えるからね」
「チャンミン…」
「ふわふわちゃんはちょっと先で待ってくれてるだけだから。僕にはユノが居るし…大丈夫だよ」

ふわふわちゃんをギュッとしながら、ユノにしがみ付く。大丈夫だって言ったばかりなのに、涙は直ぐに出て来そう。


だけど、ちょっとは我慢したい。唇を噛んでふるふる震えてしまう僕に、ユノは優しく唇を押し当ててくれる。

「ふわふわちゃんに直ぐ会えるように、ボクも頑張るからね」
「…うん」

ユノは何度も優しく大丈夫だよって言ってくれた。



 




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2020-09-08 | とある学園の話。ふわふわ編


「これでみんなに報告出来たよね!」
「うん…」
「みんな良かったって喜んでくれたね!」
「…うん」


ふわふわちゃんを有るべき場所へ返さないといけない。白狼がそう言った。ボクとチャンミンの赤ちゃんだって分かったのに、もうお別れだなんて可哀想。竜ちゃんが叫んでくれたから…もう少しだけ時間を貰えた。


お別れの時までに何が出来る?考える時間が勿体なくて、ボクはチャンミンの手を引いた。

今までふわふわちゃんを抱っこしてくれたみんなに、ボクのチャンミンがママだって、報告して回った。みんな、ビックリしてたけど、ママが見つかって良かったねって喜んでくれた。

報告が終わって、ボクはチャンミンと秘密基地に来た。ボクとチャンミンとふわふわちゃんが居る空間は…何だかとっても温かい。



「ねえ、ふわふわちゃん。未来のボクとチャンミンは仲良ししてる?」
「キュアぅ!」
「今よりもっと?」
「キュ~ア!」

ボクが声を掛けると、ふわふわちゃんは可愛い声で返事をくれる。チャンミンはふわふわちゃんを優しく撫でながら、幸せいっぱいにニマニマしてる。


「ボク、大っきくなってもチャンミンをちゃんと守れてる?」
「キュア~
「大っきくなったチャンミンは綺麗でしょ?」
「キュアぅ!」

ボクとチャンミンの未来を想像して、色々な質問を繰り返す。その度にふわふわちゃんはウンって返事をくれる。けど、やっぱり想像は想像でしかない。ボクには不思議な感覚で、首を傾げがちだ。


「ユノはさっきから同じ事ばかり聞いてるね」
「だって、チャンミン。大っきくなったボク達の事、想像出来る?」
「ん~。僕はどうか分からないけど… ユノはカッコよくて優しくて…頼もしいパパになるって…思うよ?」
「えっ!ほんとに?」

聞き返すとチャンミンは頬を赤くして、小さく頷いてくれる。揺れる尻尾が可愛い!ボクは嬉しくなって、ふわふわちゃんごと、チャンミンをギュッとする。

「チャンミンは大っきくなっても絶対に可愛いと思う!!」
「ユ、ユノ…っ」
「綺麗で可愛いママになる!」
「っキュ!」

チャンミンもふわふわちゃんも苦しいって言ってるけど、ボクは腕に力を入れてギュッとギュッとしていた。






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2020-09-07 | とある学園の話。ふわふわ編


「え?い、今、竜ちゃん…何て言ったの?」

「ふわふわちゃんのママはオオカミンちゃんだって言ったの!!」

竜ちゃんの言葉が信じられない。

僕が…ふわふわちゃんのママ?

嘘だって思いと…もしかしてって思いが錯綜して、僕は開けた口を閉じられない。


「ねえ!竜ちゃん!なら、ボクがふわふわちゃんのパパ?」
「うん!もちろん!」
「えー!!やった-!!滅茶苦茶嬉しいんだけどっ!!」

ユノは僕の手を握ってピョンピョン跳ねる。


「で、でも!僕は赤ちゃん、産んでないよ?」

「いまは…まだ…ね!」

「あっ!もしかして、ふわふわちゃんは未来からやって来たの?!」

「うん!そうなの!!」

直ぐに言葉を受け入れるユノと僕とは違う。パチパチ瞬きをして、口もパクパクさせていると、白狼さんが溜息混じりに呟く。


「…その魂の声の意味を理解出来ただろう?それが証拠だ…」

「確かに!ボクもちょっとだけふわふわちゃんの言葉が分かったけど、チャンミンはもっと分かったもんね!」
「で、でも…」
「ふわふわちゃん!ボクがパパでチャンミンがママなんだね!」

ユノが叫ぶと反応がある。

「キュウああ!!」

ふわふわちゃんがママって言ってくれた。ふわふわちゃんの元気で可愛い鳴き声を聞き、僕は嬉しくて顔を歪めて泣き出してしまった。

「チャンミン!?」

驚くユノが慌てて引き寄せ、ギュッとしてくれる。

「どうしたの?チャンミン…」
「ユノっ!僕、嬉しくて…!」

泣きじゃくる僕の背中をユノは優しく撫でてくれた。





***

「でね?ほんのちょっとだけのつもりだったんだけど~。ふわふわちゃんがかわいいから、もうちょっとだけってなってね?」

竜ちゃんは教えてくれた。白狼さんとのお散歩中、急に新たな出会いをしたくなったって。偶々、選んだ道の先には…未来の僕とユノが居て…産まれる前のふわふわちゃんの魂と出逢ったんだって。

「すぐにお腹へかえそうと思ったら、ふわふわちゃんがピヨーんッと飛び出しちゃってね?ちょっと迷子になって…ここにたどりついたみたいなの!」

竜ちゃんも白狼さんも不思議な話をして…全ては偶然だって言うけど…僕にはもっと凄い事の様に思える。ユノも興奮気味に声を上げる。


「偶然だったとしても!チャンミンがちゃんとふわふわちゃんを見つけたんだから!凄いよね!!」
「僕も…見つけられて良かった…」

竜ちゃんから返して貰ったふわふわちゃんをナデナデすると、声が聞こえる。


「キュウゥ…」
「ねえ、チャンミン。今、ふわふわちゃんは何て言ったの?」
「…僕の胸が…一番気持ち良いって…」
「うわ!ふわふわちゃん!チャンミンの胸が気持ち良いって良く知ってるね!」
「キュウキュア…」
「色々比べてよく分かったって?」
「キュウ!」

ユノは無邪気な笑顔でふわふわちゃんをツンツンする。くすぐったいって笑うふわふわちゃんを見ていると…僕はまた泣きたくなった。







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2020-09-07 | とある学園の話。ふわふわ編


竜ちゃんがふわふわちゃんを抱き上げると、雪豹さんは立ち上がる。

「俺達には関係ない話だろ?邪魔は悪いから退散する」

そう言った雪豹さんは奥さんを抱えたまま、歩いて行った。


その間にもふわふわちゃんを抱える竜ちゃんはご機嫌に笑っている。ふわふわちゃんもキュアって鳴いて楽しそう。ボクは我慢出来なくなって、大きな声を張り上げ、尋ねてみた。


「竜ちゃん!竜ちゃんがふわふわちゃんのママなの?」
「ん~?」

竜ちゃんは首を傾げて、こちらを向く。

「なに?」
「ふわふわちゃんのママは竜ちゃん?」
「え~?」

竜ちゃんは質問の意味が分からないと言いたげだ。でも直ぐにハッとして、明るく笑った。

「ふわふわちゃんのママは~ ぼくじゃないよ?」
「え?そうなの?」
「うん!ふわふわちゃんのママはね!」

そこまで言った竜ちゃんは白狼を見る。

「ねえ、ユノ。ふわふわちゃんのママがだれなのか、言ってもいい?」
「……本来なら知るはずのない事だ」
「わかってるよ。ぼくが会いたいってワガママ言ったからでしょ…」
「まあ…知るだけなら問題はない。そこに至る過程に多少の変化をもたらしても…結果には影響を与えないだろうからな」

少し視線を落とした竜ちゃんは白狼に引き寄せられる。

「チャンミンの願いを叶えたのは俺だ。責任なら俺が負う。気にするな…」
「ユノ…」

やっぱり白狼は、竜ちゃんだけに滅茶苦茶優しい。白狼にニコッと笑った竜ちゃんはボク達を見て、大きな声で叫んだ。


「ふわふわちゃんのママは~    





 オオカミンちゃんだよ~!!」



明るい竜ちゃんの言葉を聞き、ボク達はビックリして固まってしまった。