「ママ!おはよー!!」
「カウウ!!」
「んん…?」
「ママのダーリンも!おはよ!」
「カウウァ!」
「ぼく、おなかすいたんだけど!」
「カウカウ!」
「……ああ?」
至近距離での雄叫びに意識を引き上げられ…重い目蓋を開ける。パチパチと瞬きを繰り返し…状況把握に努める。
「ママとママのダーリン、なかよしだね~」
「アウウ~」
「ジャマはダメだけど、おなかすいたからね~」
「クアウ!」
「だからママ!はやくおきて!!」
「キャウあ!」
俺に寄り掛かるチャンミンに突撃しているのは…竜と子虎だ。
いつもの…見慣れた光景。けれど、不意に違和感を覚える。
「ママのダーリン!ママにチュウして!」
「カウカウ!」
「え?」
「はやくはやく!」
「カウウ!」
「ああ、分かった」
竜と子虎に急かされ、身体を傾ける。チャンミンの頬へ唇を押し当てた瞬間。破裂音と頬には熱さが走る。
「キャーキャー!」
「カウウァ!」
「煩い!騒ぐなっ!」
「ママ~!おなかすいたよー!」
「カウウ!」
「分かったから静かにしろ!!」
突き飛ばされた俺は苦笑いしながら、頬を擦る。いつもの事だと受け入れる竜と子虎は不機嫌なチャンミンに絡み付き、戯れる。チャンミンもしかめっ面のまま、拒む事無く受け止める。
「ん?…お前、縮んでないか?それに子虎も…元に戻ったのか…」
「そうだよ~!へんしんは~ちょっとだけだし~!」
「カウウ~」
「そうか」
チャンミンは少し安心したようでもあり、残念そうな顔をする。竜もそれに気付いたのか、首を傾げてチャンミンを見上げた。
「ママ、まだ、へんしんがよかった?」
「いや、そんな事はない」
「ん~。まだへんしんがいいなら…ユノにおねがいしよっか?」
「いや、良い。子虎もお前も…今の姿が最高に可愛いからな。変身しなくて良い」
素直に答えた事が恥ずかしいのだろう。チャンミンは慌てて顔を逸らす。
「ありがとう、ママ!ママもかわいいからね~!」
「カウカウ!」
「な、何を言うっ!」
「ねえ、ママのダーリン!ママ、かわいいよね~!」
「ああ。チャンミンは可愛い。滅茶苦茶可、愛いよな!」
勿論、俺は正直に答えた。竜と子虎も嬉しげに可愛いを連呼して賑やかだ。
益々、顔を真っ赤にするチャンミンは騒ぐなと、誰よりも賑やかに叫んでいた。