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一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

ある日の話。8

2022-01-08 | ある日の話。



竜が藻掻いていても、俺に出来る事はない。保護者を止める術を持たない。だからと言って呆然としている場合ではないと知らせるように、胸元に居る子虎が不満げに唸った。

「あうあ~
「あ、ああ、すまない。早くミルクを用意しないとな」

我に返り、子虎を抱えたまま立ち上がった時。明らかに怒り顔をしたチャンミンが近付いてきた。

「直ぐに戻ると言ったよな!?直ぐの意味を理解しているのか!!」

チャンミンの傍に戻れなかった俺は責められている。数十分前の自分の発言を思い出し、また唖然とする俺を睨みつけるチャンミンは視線を落とした瞬間、目をカッと見開く。

「何だ、その子は!何処から攫ってきた!」
「あ、あのな?この子は…」

予想外な状況を説明しようとしたが、それよりも早く…竜の雄叫びが響いた。


「あっ!ママーっ!たすけて~っ!」
「は!?」

竜の叫びを聞いたチャンミンは直ぐさま向きを変え、保護者の元へと突撃していく。
 
「何をしているっ!離せっ!!」

母は強し…と言うべきか?チャンミンは臆すること無く保護者に凄み、手を延ばし…包み込まれていた竜を強奪する。


「大丈夫か!?」
「ママ~!ありがとっ!!」

竜を抱き寄せたチャンミンの顔は違和感を示している。

「…お前…誰だ?」
「ママ、なに言ってるの!ぼくだよ?んふふ~。ちょっと大きくなってみたの!」
「……」
「ちょっと大きなぼく、かわいい?」
「……」

チャンミンは竜の肩を掴み、距離を開けて凝視する。

離れた位置からでも分かる。見慣れた竜とチャンミンのバランスとは異なる。けれど、明るい笑顔は変わらない。ニマッと笑う竜を背後に回したチャンミンは、あからさまに不機嫌な保護者に向かい口を開いた。


「少し成長したと言っても、まだ深い触れ合いは許さないからなっ!!」

経過を知らなくても、状況把握は可能らしい。チャンミンは恐れを知らない強い意志を示す雄叫びを上げていた。






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