「…ユノ様」
「大丈夫だ、チャンミン。ここにいるからな…」
頭を撫でていると、暫くして眠ったチャンミンは、魘されながら俺の名を呼ぶ。酷く辛そうな様子を目にするだけで、俺も胸が苦しくて仕方なかった。
しっかりと手を握り、チャンミンの寝顔を見つめていると、何処からか声が聞こえた。ああ、そうだ。今日も店は開けられない。知らせる貼り紙をしておかないと。
店を休むのは滅多に無い事だからか、対応が後回しになってしまった。
そこまで思い至らなかったのは、心配が大きすぎるからかも知れない。
チャンミンの傍から1秒たりとも離れたくない。想いを痛感しながらも、来客に迷惑をかける訳にはいかない。
握り締めていたチャンミンの手を離し、直ぐに戻ると囁き、額に唇を落としてから、寝室を後にした。
急いで店の扉を開けると、思った通りに誰かが立っている。
「申し訳ないが、今日の営業は…」
「こんにちは!開店時間に早いと分かってましたけど」
「…え?」
「もしかして、今日はお休みでしたか?」
明るい声を響かせるのは、一体…何処のチャンミンだ?
思いがけない、俺のチャンミンによく似た誰かの訪問に、驚くばかり。用件を伝える事も聞く事も、さっさとドアを閉める事も、勿論、出来ず、固まってしまった。
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