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一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

ある日の話。7

2022-01-07 | ある日の話。



「……あ…」
「んま!」

よく考えてみれば、白虎夫妻も人の姿をしている。だから、子虎も人の形をとれる筈だと分かっていても、目の前で起きた変化に戸惑い驚く。

口を開けたまま、ニマニマ笑うご機嫌な子虎を見つめていると、竜の楽しげな声と咎めるような保護者の声が聞こえてきた。


「うわあ、みてみて、ユノ!!こっちの白とらちゃんもかわいいね~!」
「…チャンミン。本来なら…まだ先に起こる変化だろう。無理矢理に変化させるのは良くない」
「ん~。そうだけど~。あっ!これもヨシュウだよ!」
「……」
「ちょっとだけだから。怒らないで?ユノ…」
「……怒ってはいない。まあ…仕方ない事だ…」


どうやら、子虎の変容には竜達の力が作用しているようだ。

竜の気紛れが理由だとしても保護者が許しているなら問題はないし、これは予習と言えるかも知れない。けれど、念の為に確認しようと思う。



「急な変容でも子虎の体に影響はないんだよな?」

「…当たり前だろう」

竜に問い掛けたつもりだったが、保護者の低い声が返さる。

「ママのダーリン、白とらちゃん、かわいいでしょ!?」
「ああ、そうだな。滅茶苦茶可愛らしいな!ありがとうな。可愛らしい姿を見せてくれて」
「えへへ!ママのダーリンにほめられた!!」

照れくさそうにニマッと笑う竜に笑い返すのは…ある意味、命懸けだ。一気に鋭くなる保護者の目線が恐ろしい。早く話題を変えなければ…と焦っている間に、状況は予期せぬ方向へと進んでしまう。


「白とらちゃんだけ、へんしんしたら~ ちょっとさみしいかな~?」
「……」
「よし!ぼくもへんしんしよっ!」

更にニマッと笑った竜が保護者から離れ、伸びをした。

次の瞬間。目映い光が輝き…竜の様子が変わる。


「……っ!?」

僅かの間に、竜の姿が変わり…また驚きで俺は固まる。


「みてみて、ママのダーリン!ぼくもちょっと大きくなったよ! っあ!」

言葉通りに…手足や背丈や髪が伸び、竜は成長した姿をしていた。

しかし、よく確認するより早く、保護者が竜を包み込んでしまい…竜は苦しいと藻掻いていた。








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