YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

魔の11年式とはなんだ?

2013年05月14日 | YBR電装系

このネタはバッテリー上がりが目立つ冬季前にでもまとめようと思ってたけど、BBSにて突然この話が湧いて
出ててた
ので書くことにした。

YBR125は年式が進むにしたがって目に見えない部分での仕様変更がなされていて、不具合や変更情報が
なかなか定まらない。

2011年式YBRが出回り始めた頃にオーナー達の間でバッテリー上がりの報告が頻繁に行われだした時期があり、
電気に詳しいオーナー数名が情報交換と検証をした結果、充電回路に不具合がある可能性が指摘され、解決策が
公開されたけれどすっかり過去の話題として消え去っていた。


まず、以下の回路を見てくれよ~~

これはYBRのレギュレータ(レギュレートレクチファイヤ)の製造元の技術資料からの抜粋。
まず注目してほしいのがスイッチKの説明。 「スイッチKが閉じていないと働かないからね!!」
つまりメインスイッチK1が閉じてバッテリーが回路に繋がっててもKが閉じて無ければレギュレータは働かないと同意である。

さて、2010年までのYBR125系は簡単に書くと以下の回路で充電回路が構成されている。

レギュレータの前出のスイッチKの部分はCTR(コントロール・電圧監視用制御線)であり、メインスイッチをONにすればレギュレータは
働きはじめ、エンジン始動後はヒューズを介してバッテリーへ充電すると共にバッテリーから各回路への供給の補助的電源として機能する。
これを専門的にはフローティング回路って言うんだが・・・まあいいやw

ところが2011年式のどのロットか不明だけれど、一部の配線が仕様変更されていてなぜかCTR線がメインスイッチの手前に接続され
ている車体が存在した。(読者のG氏の車体もこの接続であったのはこの眼で確認したから間違いなく存在してる)

こんな接続ではメインスイッチがOFFの状態でもヒューズを介してバッテリーの電圧がCTRにつながりっぱなしになってレギュレーター内の
電子回路が動作しっぱなしになる。
最初の仕様書の説明の通り、CTRに電気がつながればレギュレーターはせっせと待機状態(動作)でジェネレータからの電気を待ってる。
当然、エンジンはかかってないので無駄な待機動作になり、わずかながら消費電流が発生してバッテリーを消耗してしまうよね。
頻繁に乗ってて十分に充電されたバッテリーなら1週間~2週間程度放置しててもまだ余力があるだろうが、ひと月に数回程度で短距離
しか走らなければバッテリーの充電が追いつかず、この待機動作による暗電流で久しぶりにスタータモーターを回そうとしてもバッテリーは
腹減り状態で勢い良く回らない。
これが冬季にはもっと顕著にあらわれてしまうだろうし、話題が出てた当時も冬頃であった。
以上が「魔の11年式」の正体だけど、ユーザー間の情報では問題の回路になっていない車体も存在するので2011年式の全てが該当
るわけではない。

興味があれば当時のpdfファイルがまだDLできるみたいなので、電気に少し知識がある人は目を通しておくと良いだろう。
www1.axfc.net/uploader/Sc/so/307886.pdf
pdf製作者の方に深く感謝いたします。

そして以下がその内容の一部を抜粋。

さらに分かりやすいように加筆させていただきました。
キーオフでもバッテリー電圧10~13Vの範囲内で問題の配線では約5mAの電流が流れ続けてるわけだ。

そんじゃ「オイラの11年式は大丈夫なの?」って心配する人も居るだろう。  バッテリーの右横にこんな部品がある。

田型の端子のうち、右上の端子に「配線色・赤」だけが出ていたら「大丈夫だ、問題無い・・・」

ここに赤と共に「白(黄)」の線が出ていたら「大丈夫じゃない、問題有り…」w
また、画像の左上の空いてる箇所から出ていても同様に問題ありと見てよい
だろう。この辺の配線仕様変更は密かに行われてるのでやっかいだな。


で、具体的な対策としては以下のように配線を変更すればよろし。

つまり、白(黄)の線を切ってメインスイッチを介した後の茶色の線に接続すれば仕様書の通りになり、暗電流問題は解決する。

幸い、右にあるウィンカーリレーの2端子のうち片方がこの茶線なので、ここへ切ったCTR線を接続すればいい。

CTR線の接続方法は圧着スリーブ接続か芯線共巻・ハンダ付けでしっかり行ない、絶縁処理もきちんと行うようにね。
バイクは振動が多いので、この部分で接触不良を起こすと異常電圧になるような別の問題が発生するから、安易に配線
タップなどの簡易接続部品は使わないようにした方が安全だ。

さて、どんなに対策しても根本的に弱ってる死にかけバッテリーでは効果がないので、そんな車体はさっさと新品のバッテリー
に交換したほうがいい。

なお、一部の情報では一定期間内でレギュレーター自体が製造ロット不良を起こして暗電流が発生したとの話もあったが、
情報元がハッキりせず具体的な不良内容も出てなかったからこの話については定かでない。

とにかく2011年式YBRや心配な方、年式不明な中古車は一度配線を確認しておくといいだろう。

追記:
YB125SPでも一部の製造ロットで魔の11年式配線が混在してるようで報告が
ありました。
ネット上で画像も見つかりました。

困った事に製造時か輸入時に
改修された車体も多く存在してるのでYB125SP
オーナーは一度ご自分の車体を確認することをオススメします。

追記:数年後、YB125SPを入手したので、暗電流を測ってみた。
http://blog.goo.ne.jp/lightning-ybr/e/2c6b60fdbfab587c803419a66a8c546b
レギュレーターの内部回路の仕様変更が有ったためなのか定かではないけれど、この記事を書いた
頃と違って暗電流は無視できる値になってたので、心配な人はテスターで一度確認しておくと良い
と思う。



16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いわくつきの11年式 (ぐろさん)
2013-05-15 15:20:12
11年式はキャブのアイシングやら、バッテリーの件やら色々言われてますね。
どれもちょいと手を入れれば治まるレベルですけど。
キャブはアルミホイルを巻いて外気を遮断したらアイシングが起こらなくなりましたし、バッテリーの件は冬場に乗る頻度が落ちて春になって騒がれてる印象ですね。
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マイナーチェンジ (雷太)
2013-05-15 18:02:40
11年式からあちこちマイナーチェンジしたからね。
基本はKから発して負圧キャブになったけど、さすがにキャブヒーターまで省略したのが裏目に出るとは思わなかったんだろうw
配線の件は本当に謎の変更で、変更する手間暇やメリットが皆無なのにどうして?って思うけど、設計部署内で不慣れな技術者がなんとなく仕様変更したとしか思えない。
モデルチェンジ時にあちこち変更検討した弊害だと思う。
まあ、これから12年式が出回ればまた何かしらの問題が露見するか、あるいは改善すると思う。
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Unknown (Unknown)
2013-05-26 10:30:32
2012年5月製造ですが問題のある配線になってました。
2012年のもっと後は改善されてるのかな?13式までこのままな気もしますが
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謎の11年式 (雷太)
2013-05-26 12:14:43
どのへんのロットなのかまったく不明です。
最新の13年式からは電装系が大きく変更されてるので11年式のみに注目するしかないでしょう。
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Unknown (Unknown)
2014-05-07 18:25:23
安物のバッテリーをなので、バッテリーの所為だと思っていました。

実際確認したところ、変な配線でした。

大変参考になりました。

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13年式はどうだろう? (雷太)
2014-05-07 20:44:58
解決できましたか。
暗電流を測っておくとさらに安心です。

最近YB125SPの配線画像を見る機会があったのですが、問題の配線を改修した痕跡がありましたね。
さすが製造元とあって、配線の途中から分岐せずに、きちんとリレー端子に共圧着してましたが、
ヒューズ端子に問題の配線の名残りがバッチリ写ってましたよ。w
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魔の11年式 (tommy)
2014-12-05 19:52:41
突然のコメントで申し訳ありません。
私のYB125SP、バッテリーボックスの横の田型端子右上から、赤と黄色の線がでているのですが、魔の11年式の可能性高いでしょうか?
ちなみに2012年8月製造です。
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可能性ありか? (雷太)
2014-12-05 22:46:43
実車を見ないとなんとも答えようがありませんが、当ブログの「YBR電装系」の2014年02月23日YBRの暗電流測定方法という
記事にしたがって暗電流の有無を測ってみるのが確実です。

または赤いコネクターを抜き、タンク下のレギュレータの配線でこの写真(http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/9f/6efa8d804c46d5f0079863b9904490ec.jpg
の上側真ん中が茶色ではなく黄線でしたら、レギュレータのコネクタも抜いてテスターで両コネクタの黄線端子の導通を見てください。
もしもつながっていればビンゴです。
ただし暗電流が無ければ放置して構わないと思います。

魔の11年式配線では一部のロットに不具合が出てたわけで、テスターによる配線確認が面倒だから修正するのをオススメしてるだけです。
でも私の見た数々のYBR、特に最近の型式は皆修正跡がありましたしYB125SPの画像検索でも修正済みを見かけてます。
tommyさんのYB125SPが対策前の製造なのかわからないので確認してください。
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Unknown (tommy)
2014-12-06 19:43:29
ありがとうございます。
さっそくタンクはずしてレギュレーターのコネクタ部分を見てみました。茶色の配線を期待してましたが・・・・黄色でした。
テスターを持っていないため、テスター購入後またたしかめます。やっぱり魔の11年式のようですね。
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YB125SP 魔の11年式でした (ぴーちゃん)
2015-02-07 09:18:46
雷太さん

ご無沙汰してます。
いつも記事に助けられており、感謝しております。

当方、鹿児島で単身赴任となり、YB125SPも陸送で運んでもらいました。
単身赴任前にバッテリーが上がったため交換してきたんですけど、一月で上がりました
バイク屋さんで見てもらったところ、「充電してないみたいだから、レギュレーターだと思う」とアドバイスを頂きました。
部品が手に入らなかったため、YBR用のレギュレーターをネットで発注し、今朝交換しました。
田形端子を確認したところ、黄色線が出ており、魔の11年式でした。
ちなみに製造ロットは2012年6月でした。

配線も、雷太さんの記事のように修正しまして、やっと毎度の押しがけから解放されそうです。

本当に助かりました。
ありがとうございました。

長文駄文、失礼しました。
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