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「エクソンバルディーズ号原油流出事故」に見る環境回復への道

2010年02月04日 | 環境問題
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 石油流出事故と環境破壊
 日本で起きた石油流出事故としては、1997年1月2日のロシア船籍ナホトカ号の重油流出事故が記憶に新しい。この事故では地元の人だけでなく、多くのボランティアが、全国から集まって重油除去作業をした。この厳冬期の作業を、多くの人がテレビの画面を通じて知り、心を痛めた。

 1989年3月24日午前0時4分頃に発生した、史上最悪の「エクソンバルディーズ号原油流出事故」。この事故では、原油4000万リットル以上が流出、アラスカ沿岸約2000キロに漂着した。生態系や漁業への影響が大きく、米国史上最悪の海洋汚染とされる。当初は除去作業や微生物による分解で、数年後に原油はほぼ消えると期待されていた。

 この事故で死亡した野生動物の個体数は次の通りである。各種の海鳥:25万-50万羽、ラッコ:2800-5000頭、カワウソ:約12頭、ゴマフアザラシ:300頭、ハゲワシ:250羽、シャチ:22頭、その他サケやニシンの卵の被害は甚大であった。

 最近の米テンプル大の調査で、流出した原油が、今も沿岸に残っていることが、分かった。米テンプル大は昨年までの3年間、原油が漂着した湾内のエレノア島の沿岸12地点を調査した。
 
 その結果、原油を分解する微生物が生存するのに必要な酸素や養分の量が通常より10分の1という層が地表近くに存在し、原油の「貯蔵庫」が形成されていることが分かった。アラスカ南部では海岸線のほぼ半分がこうした特徴を持つとされ、残存している原油は約7万6000リットルに上る可能性があるという。

 この事故では、徹底的な原油除去作業によって一年後には、一見すると痕跡はほとんど見られなくなったが、このように、完全な回復は難しく、現在でも問題が残っていることがわかった。

 石油流出事故と環境回復
 エクソンバルディーズ号原油流出事故では、どんな環境回復への取り組みが行われたのだろうか?

 まず微生物による原油の分解を試したがあまり効果がなく、次に耐火性のブームを使い辺地で試験的に原油を焼却してみたところ比較的良好な結果が得られた。しかし好天に恵まれずこの除去作業期間中に再度焼却が行われることはなかった。

 ブームとオイルスキマーを使った除去作業が程なく始まったが、事故後24時間はオイルスキマーを調達できず、厚い油層とケルプ(大型海草の一種)が装置を詰まらせがちであった。ある民間会社は3月24日に化学的分散剤をヘリコプターで散布した。しかし現場では波が小さく海中の原油と分散剤がよく混ざり合わず、分散剤は以後使用されなかった。

 その後分散剤には原油そのものより悪影響があると見方が変わった。10万分の1の濃度の洗剤が海の哺乳類や植物の体内で濃縮されると急性の毒性を発揮するが、実際に散布域の潮間帯に張り付く大量のフジツボやカサガイなどが死滅した。

 エクソン社は原油除去対応の鈍さを各方面から非難され、バルディーズ市長のJohn Devensは同社の危機対応のまずさに失望したと述べた。政府も沿岸警備隊の出動で対応したが、エクソン社の前には過去の流出事故以上に費用も計画も忍耐も必要な原油除去作業が山積していた。1万1000人以上のアラスカの住民がエクソン社の従業員とともに汚染地域全域で環境回復のための作業に携わった。

 熱水洗浄で不毛の地に?
 流出した油の除去作業原油が溜まったプリンス・ウィリアム湾は岩の多い入り江が多かったので、原油で汚れた岩を高圧の熱水で洗浄することに決まった。しかし岩に生息する微生物も吹き飛ばしてしまい生物の食物連鎖の一部が断たれたためこの一帯は不毛の地と化した。

 石油会社との利害関係がないアメリカ人専門家の間では今日、原油は徐々に分解するのを待ってそこに放置されるべきだったという考えが発生している。しかし当時は科学的助言も一般社会からの圧力も徹底的除去一色だった。

 エクソン社はのちに『学生向ビデオテープ』というシールを貼った『科学者とアラスカの原油流出事故』というビデオテープを各学校に配布したが、その中の除去作業の報告は歪曲しているという。

 アラスカ州の資金援助によるいくつかの調査によれば、流出事故は長期と短期の経済的打撃をもたらすとしている。その中には、余暇やスポーツとしての釣りの棚上げ、観光客の減少、またエコノミストが「存在価値」とよぶ太古の自然を残すプリンス・ウィリアム湾の社会的価値の損失がある。 動物相はいまだに災害からの回復過程にある。(出典:Wikipedia) 

 

参考HP Wikipedia「ナホトカ号重油流出事故」「エクソンバルディーズ号原油流出事故」 

ナホトカ号重油事故―福井県三国の人々とボランティア
粟野 仁雄,高橋 真紀子
社会評論社

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海洋汚染 (災害とたたかう)
ジェーン ウォーカー
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