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何とブルーレイの200倍!高密度記録媒体「5酸化3チタン」発見!

2010年05月27日 | 化学

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 新素材「5酸化3チタン」 
 先日、東京工業大学応用セラミックス研究所の北野政明・特任助教、原亨和・教授らは酸化チタンを筒の内径が約5ナノ(10億分の1)メートルサイズのナノチューブ状にすることで、触媒機能を大幅に向上できることを発見した。

 今回、新しい酸化チタンの性質が発見された。東京大学の大越慎一教授(物性化学)は、DVDやブルーレイよりも、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高い、酸化チタン「5酸化3チタン」を発見した。次世代の光記録材料として注目されている。

 この「5酸化3チタン」は、光を当てるだけで電気を通しやすい状態と通しにくい状態を行ったり来たりする金属酸化物を、大越慎一・東京大教授(物性化学)らのチームが発見した。光を使って情報を記録するDVDやブルーレイディスクの材料に比べ、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高いという。23日付の科学誌「ネイチャー・ケミストリー」(電子版)に掲載された。

 大越教授らは、おしろいの原料や光触媒として広く使われている酸化チタン類に着目。チタン原子3個と酸素原子5個が結合した「五酸化三チタン」のナノ結晶(粒径8~20ナノメートル、ナノは10億分の1)を作り、性質を調べた。

 この結晶は、電気を通しやすい黒色の粒子で、紫外線-近赤外線に相当する波長のレーザー光を当てたところ、結晶構造が変化し、電気を通しにくい半導体的な性質に変わった。その逆の変化が起きることも確かめた。最も一般的な「二酸化チタン」のナノ粒子を、炉内に水素を吹き込みながら加熱することで、この結晶を簡単に作る方法も開発した。

 DVDやブルーレイディスクには、ゲルマニウムなどレアメタル(希少金属)の合金が使われている。今回発見した金属酸化物は、価格が約100分の1で安全性も高い。光記録材料として使えば、ほぼ同じ強さの光でブルーレイディスクの約200倍の情報を記録できるという。

 大越教授は「今後、実用化に向けて企業と共同研究していきたい」と話している。(毎日新聞 2010年5月24日)

 光でON-OFFする金属酸化物
 光相転移材料(および光相変化材料)の研究は、学術的にも産業的にも重要な課題の一つである。現在市場で使用されているDVDやブルーレイディスクなどには、光相変化材料として、カルコゲン(例:ゲルマニウム・アンチモン・テルル:GeSbTe)などが用いられているが、高価で希少な元素から成るという弱点がある。

 今回、大越教授らは、界面活性剤を用いた化学的ナノ微粒子合成法により新種の金属酸化物(ラムダ型五酸化三チタン:λ-Ti3O5)(以下、ラムダ型酸化チタンと称す)の合成に成功した。このラムダ型酸化チタンは、金属的な性質を示す黒色の物質で、室温で緑色レーザー光(波長=532 nm)あるいは紫外線レーザー光(355 nm)を照射すると、ラムダ型からベータ型五酸化三チタン(β-Ti3O5)へと光相転移を示す。

 一方、青色レーザー光 (波長410 nm)を照射すると、逆相転移を起こしてラムダ型に戻る。また、この光相転移は、ある条件下での1種類のパルスレーザー光を繰り返して照射するだけでも、λ相→β相→λ相→β相→∙∙∙と繰り返し相転移することが可能である。

 観測されたラムダ型酸化チタンの光誘起金属-半導体転移は、エネルギー的に準安定な状態にあるλ-Ti3O5と隠れた真の安定相であるβ-Ti3O5との間の光による相転移現象に起因することが熱力学的理論計算より明らかとなった(図3)。

 本物質は、現在使用されているDVDやブルーレイなどの光記録メディアにおける実用的な光書き込み動作条件(動作温度、短波長光によるデータの書き込み、適切なレーザー強度閾値)を満たしている。

 また、10 nm程度の微結晶を大量にかつ安価に合成することが可能であり、次世代高密度記録材料に有望であると期待される。加えて、別の合成方法として、光触媒として用いられているアナターゼ型TiO2ナノ粒子を水素気流下で焼成するだけでも、このλ-Ti3O5を得られることがわかっている。(東京大学プレスリリース 2010.5.24)

 記録媒体とは何か?
 フロッピーディスクやCD、MD、MO、DVD、BD、フラッシュメモリなど、データを記録しておくためのしくみを記録媒体という。磁気的、または光学的に記憶を行なうものが主流であるため、薄い円盤(ディスク)状のものが多い。

 このうち光記憶媒体とは、MD、MOなどの光磁気ディスク、CD、DVD、BDなどの光ディスクのことをいう。光記憶媒体は、どんな仕組みになっているのだろう?

 光磁気ディスク
 書き込みにはレーザ光と磁気、読み込みには磁気を使用する。光磁気ディスクでは、200℃になると外部の磁気の影響を受けやすくなる材料が使われており、書き込みではまずレーザ光で記録膜の温度を200℃まで上げ、磁気の影響を受けやすくする。

 次に磁石を使い、磁性体の向きを変えデータを書き込むす。読み取りでは弱いレーザ光を当て、磁化方向により反射光の波の振動方法が変わる性質を利用し、磁性体の向きの変わったデータを読み取る。  
 
 光ディスク
 書き込み、読み込み共にレーザ光を使用する。光ディスクは層で出来ており、このうちの記録層にデータを記録するためのピット(くぼみ)が刻み込まれる。このピットとランド(平面)にレーザ光を照射し、その反射した光の量により、記憶データを検知する。

 記録する方法には、有機色素の記録膜にレーザ光を当て熱し、化学変化を起こしピットを刻む方法と、有機色素の代わりに相変化という物質を使用し、当てるレーザ光を制御することにより結晶状態と非結晶状態を作りだし、ピットを刻む相変化記録方式がある。

 

参考HP Wikipedia「酸化チタン」「記録媒体」 ・東京大学プレスリリース「光でON-OFFする金属酸化物を発見!

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