万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

不可解な映像―茂木外相の速報会見

2020年11月26日 13時24分10秒 | 国際政治

一昨日、11月24日の晩、NHKのニュース番組にあって、不可解な映像が流されていました。それは、日本国の茂木外相が来日中の王毅外相と会談に関する報道なのですが、この時、二つの奇妙な画面が目に留まったのです。

 

 第一の映像は、日中両外相が会談の席に臨んでいる様子を映したものです。外相を中心に双方の出席者が向かい合う形でテーブルに着いているのですが、後ろの背景が黄色一色なのです。これまで、日本国の外相が外交要人と面会するシーンは、何度となく報じられてきましたが、背景が黄色一色というのは、今回が初めてであったように思えます。通常は、どちらかと申しますと、伝統的な日本風の色調であったように記憶しています。黄色は中国が好む色でもありますが、相手国に合わせているとしますと、日本国側が中国に対して特別に配慮したことになりますし、あるいは、親中メディアと化したNHKが映像処理を加えた可能性もありましょう。

 

 会談の模様を報じた映像を見た時から違和感があったのですが、暫くしますと、茂木外相の単独記者会見にテレビの画面が突然に切り替わり、速報として再び同外相が登場してきます。第二の不可解な映像とはこの場面です。会談を終えたとする茂木外相は、記者たちを前にして王毅首相との合意内容について、訥々と語り始めるのです。その主たる内容とは、尖閣諸島問題については相互の意思疎通を確認したこと、並びに、新型コロナウイルス禍によって滞っていた両国間のビジネス往来については今月から新たな枠組みを開始すること、の二つです。あたかも、合意が成立しましたので報告します、と言わんばかりに…。

 

 昨日の菅首相と王毅外相との会談については、メディアは、尖閣諸島問題については火花を散らしたように報じており、双方譲らずであったように印象付けています。しかしながら、上述した映像では、茂木外相自らが尖閣諸島問題について中国に対して強く抗議したとは語っていません。マスメディアの介在がなく、外相が直接に自らの口で語ったのですから、少なくとも首相会談を前にした茂木・王外相会談にあっては、日本国側は、融和(譲歩)の姿勢で臨んだことが伺えます。

 

 また、目下、日本国の新型コロナウイルスの感染拡大は、深刻なレベルに至っています。第三波とも称される急激な感染者拡大の一因として外国人の入国緩和も指摘されており、現状にあって中国との間で人の往来を活発化させるとは、正気の沙汰とも思えません。そもそも、検査結果や行動計画の報告を義務付けるとはしていますが、同ウイルスのパンデミック化の原因は中国の情報隠蔽にありましたので、中国側が、日本国側に対して正確な情報を伝えるとは限りません。国民に対しては、より厳しい移動制限を課しながら、中国人の入国のみを緩和するとなりますと、多くの日本国民は、日本国政府の措置に納得しないことでしょう。また、仮に、今後、中国国内で同ウイルス感染症が再拡大するような事態にでもなれば、日本国は、その責任を押し付けらえることでしょう。日本国から持ち込まれたとして…。

 

 記憶を辿りますと、投票日を過ぎても当選者が決まらないアメリカ大統領選挙にあって、菅首相の祝辞と並んで真っ先にバイデン氏が当選者に決定していると述べたのは、茂木外相であったように思います。そして、今日、中国の習近平国家主席も、バイデン氏に祝辞を送り、米中間のウィン・ウイン関係の構築を提案しているようですが、今日にあって、日本国を含むこれらの流れはどこかで連動しているように思えます。アメリカでも、バイデン氏と中国との関係が不正選挙疑惑とも関連して共に注目を集めており、どこかに、「中国共産党-バイデン陣営-日本国の政治家の一部」のラインが見え隠れしているのです。そして、そのラインの先には、他の諸国の政治家も連なり、国際ネットワークを形成しているのでしょうが、何れの国でも、マスメディアが誘導役を担っているのでしょう。

 

 しかしながら、見え透いた操作や演出を行いますと、多くの人々が、否が応でもその不自然さに気が付いてしまいます。茂木外相の速報会見の映像は、それがあまりにも異様であった故に、背後に潜む国際ネットワークの存在を浮かび上がらせてしまったとも言えましょう。最早、陰謀論で片づけられる時代は過ぎておりますので、日本国もまた、政治家に対しては疑って然るべきではないかと思うのです。


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