万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

トランプ米大統領の登場ー強面中国への対抗か

2017年01月20日 09時15分03秒 | アメリカ
トランプ氏、ワシントン入り=「素晴らしい旅が始まる」―米大統領就任行事スタート
 本日1月20日、アメリカ国内のみならず全世界が注目する中、激しい大統領選を制したドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任します。トランプ氏の当選については、中間層の経済的な危機感も然ることながら、米国民の政治的なバランス感覚も一つの勝因ではなかったかと思うのです。

 オバマ大統領の理想追求型のリベラルな政治スタイルは、相手国が掲げる理想に共鳴し、価値を共有する限りにおいては、最も望ましい結果を得ることができます。双方が共に理想に向かって、歩調を揃えて一歩を歩み出すのですから。先月の日米首脳による真珠湾訪問などは、その典型的な成功例であるかもしれません。一方、双方において理想や価値観、社会倫理の共有が欠如している場合には、結果は、全く逆となる場合が少なくありません。何故ならば、相手国は、逆方向に歩を進めるために、狡猾なテクニックを駆使して、アメリカの寛容さを利用しようとするからです。

 オバマ大統領が、平和主義や核廃絶を前面に打ち出しながら、中国の軍事的拡張主義や北朝鮮が核・ミサイル開発に歯止めをかけることができなかったのも、両国間の理想や価値、倫理観の不一致に求めることができます。イランとの核合意も、今後、イラン側の”真意”が明らかになるにつれ、評価が定まることでしょう。そして、様々な苦難を乗り越えて米国史上初の黒人大統領となった忍耐力は、それが崇高な寛容の心の発揮であっても、”悪しき行為”の黙認にも繋がってしまった側面も否めません。訪中に際して中国側が仕組んだ様々な非礼や嫌がらせを受け流す姿は、米国民にとりましては、アメリカ衰退の危機感を募らす原因ともなったことでしょう。そして、”チャイナ(共産党)・ファースト”を強引に推し進める中国を前にしては、リベラルでソフトな対応では限界があると痛感したかもしれないのです。

 ”毒は毒を以って制す”という諺がありますが、国際社会の首脳達の顔ぶれを見た時、米国民が、傲慢で尊大な習主席に匹敵する強面を自らの大統領に選んだとしても不思議ではありません。トランプ政権は、本日、いよいよ発足しますが、米中強面対決は、人類を弱肉強食の時代に逆戻りさせるのか、アメリカ側の強面が奏を効して安定に向かうのか、それとも、人類がより良き世界に向うに際して越えなければならない試練となるのか、如何なる事態に至ろうとも、第一のシナリオではないことを願うばかりなのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする