雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

やっぱり難物!南天の棒渦巻銀河

2013年02月02日 | 天体写真(系外銀河)
当初は南天に低いNGC1300銀河を少しでも好条件で撮るため、南中時刻(18時24分)前後で撮影開始する予定でした。
ところが早くから準備していたにもかかわらず、R200SS鏡筒のファインダーの位置が悪くてのぞくことができない。
(南天に低い対象を撮るときはいつもそうなのだが、最適なバランスをとるためやむを得ず・・)
結局、基準星のアルデバランを導入できず、代わりになんとか木星を導入できたので、それを基準にNGC1300の導入にとりかかる事ができた。
今回はR200SSにVixen純正エクステンダー(合成f=1,500mm)で拡大するため、カメラの視野角は1度未満と非常にせまい。
ガイド星図22時」をてがかりになんとかNGC1300を特定し、撮影開始できたのは19時29分と大幅に遅れてしまった。
*NGC1300のガイド星図⇒(クリックで拡大)

そして、1枚目は・・。昨日のブログに書きましたが飛行機がNGC1300の真上を見事に通過。(信じられない!!

気を取り直して、その後10分露光を9枚(合計10枚)の撮影が終わったのは21時25分、既にNGC1300の高度は20°を割っていました。(この夜の透明度はあまり良くなく、南西に低い撮影領域はどんより暗く、星の姿は見えませんでした。)


( Canon igital hoto rofessional のサムネイル画面。1枚目に見事に航跡が写っています。)

下の画像が10分露光10枚をコンポジット処理した画像です。
NGC1300 棒渦巻銀河(エリダヌス座)距離約6900万光年 2013. 1.31 R200SS+Vixenエクステンダ(合成f=1500mm) 600sec×10枚 ISO1600 Cooled 60D(冷却オフ) EM-200USD赤道儀 ガイ゛イドスコープGS-60 OrionSSAG PHDガイディング

( R200SSのフードが傾いていたため出たかげりと、CCD面のゴミのかげりをトリミングしてあります。)

コンポジットはステライメージ(Ver6.5)で行ったのですが、1枚目の飛行機の航跡が写ったものも使うため、合成方法で 「加算平均」 範囲外の値を除外 σ1 で行ったのですが・・。
FlatAide処理後も強烈な航空灯の航跡がかすかに残ってしまいました。

南天に低く、おまけに透明度もいまいち、もともと暗い対象を、更にエキスパンダーで拡大して撮影。
画像処理にも限界がありますが、今回ステライメージ(Ver6.5)で偶然おもしろい効果に出会いました。

○暗くコントラストの無い銀河を『マルチバンドシャープ』で少しでもクッキリと・・

(拡大して見ると、これまでの強調処理でザラザラした画像になっています。)

◎ここで かなり強めに『スターシャープ』をかけてみたところ (「星の芯を残す」はチェックをはずします)

(なんと 砂嵐のようなザラザラが見事に消えていきます。)

●『スターシャープ』完了後の画像

(解像度を保ったまま、ザラザラがみごとに消えてスッキリした画像になりました。)

この効果は、大きくにじんでしまった星を小さくしようとして偶然見つけたものです。
本来、背景や銀河・星雲部分のザラザラ感を消すのは『スムース系』のフィルタが用意されているのですが、逆の効果の『シャープ系』フィルタでなぜこんな事がおこるのでしょう?
わたしはこれまで
スターシャープはやりすぎると星と星がくっついて不自然な画像になるので、控えめに」 を心がけてきました。
ただこれは、星と星が密集している画像に言えることで、今回のように星がまばらな場合はその心配はいりません。
今回の効果は偶然で、いつでも起きるわけでは無く、
・たまたまノイズを星と誤って処理。(星像の大きさを絞りこむ処理により、背景のノイズが縮小・消滅)
・ザラザラが密集した銀河部分では、処理の副産物でお互いがくっつきあう事で像が明確になる。
というのが、わたしの推測です。

例によって長いブログになっていますが、過去に低い高度で撮った対象を探してみました。

らせん星雲 撮影時高度 32°~27°
NGC253銀河 撮影時高度 28°~24°

ちなみに、今回のNGC1300の撮影時高度は 32°~19°  でした。
過去の画像から、透明度が良ければもっといい画像も撮れそうです。


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素直に撮った画像を ”ポンッ”と見せてれば、
こんなに何時間もかけてブログ書かなくてもいいのに・・・

雲上くもがみ

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2 コメント

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こんばんは (おりおん)
2013-02-02 21:49:51
長焦点での銀河、迫力ありますね。
さすがです(*^_^*)

スターシャープでノイズがスッキリが消えるなんて、すごい発見じゃないですか!!
私も、星とノイズを間違えるような処理をして、やってみようかな。
雲上さんの推測通り、いつでも起きるわけじゃないなら、無理ですね(*^_^*)


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これからも長焦点でいこうかな (雲上(くもがみ))
2013-02-02 22:09:11
おりおんさんこんばんは。
たぶんノイズが消える理屈はあっているように思うのですが、σ1除外なしで加算平均したものではうまくいきませんでした。(今回はたまたま条件があったのかも?)
今ほど、残っていた「かに星雲」の画像処理が終わりました。
こちらは高度十分で”パルサー”も確認できました。
「天体アルバム2013」の登録第1号にします。
画像は明日にでもアップしますのでご覧ください。
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