伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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議会は監視権を如何に行使すべきか

2016-10-26 18:17:56 | 政治・政策・経済
午前中は議事堂に集まり市議会の会派会議。
今週末に、来年度予算要望を会派として市長に行うので
その打ち合わせなどを行いました。

午後は、
除ヶ町で行う市政報告会のチラシ配布の続き。
これは会派事業ではなく、私個人として毎年行っているものです。



本日は、昨日の雨とうって変わって青空。
27度くらいあったと思います。



除ヶ町の、1丁目、2丁目方面は配り終えましたので、
あしたは3丁目、4丁目方面にお届けします。

夕方からは、事務所で全国研修会の報告を作成。
わかりにくい文章で申し訳ありませんがご報告します。



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全国市議会議長会研究フォーラムin静岡の報告 3回目

課題討議「監視権を如何に行使すべきか」
コーディネーター 佐々木信夫 中央大学教授
事例報告   藤沢市議会(土地買収に関わる100条委員会について)
        和歌山市議会(行政付属機関への議員参画について)
        日田市議会(地方創生に関する政策提言について)


(コーディネーター(佐々木教授)の意見)

議会は本来市民主権を土台とする市民の代表機関のはず。
しかし選挙が終われば首長の翼賛機関と化し、
国の下請け機関としての自治体の追認機関のように成り下がってしまう。
これではなんのための代表機関なのか。

議員定数の根拠はない。130年前にプロシアの議会を参考に決めた。
現在の地方議員選挙では、規模が小さい自治体ほど無投票の傾向が強い。
無投票では、議員も議会も住民から信任されたと言えないのではないか。

(多田コメント)
無投票が度々生じるようでは、現在の地方選挙が制度的疲労を
起こしているのではないだろうか。
投票キャンペーンの実施など対症療法的な取組みだけでなく、
根本的な見直しが必要な時期に来ていると思われる。


1 地方議会は「地方主権時代」の政治主体として役割総括主義へ変質せよ

・議会の役割は監視機能だけでなく、4つある。
(1)政策や予算の決定者、
(2)執行機関への監視者、
(3)政策や条例の提案者、
(4)民意の集約者

・これまでの議会改革は議員定数の削減など「量」的な側面が中心だったが、
 これからは政治の「質」を高める改革が大事。
・自治体も従来の事業官庁から政策官庁へ脱皮すべし。議会がそれをリード。

○議会は住民の中に入れ
・これまで議会は、議会活動に住民参加を促進する視点を持っていなかった。
・住民参加は、議会の持ち味である「地域社会の統合力」を高める。
 (地域における意見、利害の相違を調整し合意を形成する能力)
・民意の吸収のみならず、議会の政策形成力を高めることになる。

(多田コメント)
・議会が単純に民意を汲み上げて要望にまとめるだけでは、
 目先の利益に目がくらみ長期的な合理性を失うポピュリズム(大衆迎合政治)に
 陥る可能性がある。それを防ぐには、市民が適切な判断を下すのに必要な情報を提供し、
 論点を示し、その上で住民の意見を集め、集約していくことが政治家・議員の役割だろう。
 いわば会議の場におけるコーディネーターの役割を、自治体全体の中で
 ダイナミックに展開するイメージ。

○与野党の意識払拭せよ
国会は議院内閣制であり、議会の多数派から総理大臣を選出し、与党政党はそれを支える。
しかし地方議会は2元代表制であり、首長と議員はそれぞれ別に直接選挙で選出されるので、
議員や会派が「与党・野党意識」を持つのは誤り。
議会全体としては野党的意識を持ち、住民の代表として行政の執行をチェックし、
是々非々で判断すべし。


2 地方議会をどう変えるか

○会議の自由化で議員提案を増やす
・現行制度では議会に予算提案権はないが、要望はできる。
・全国の議会で議員同士の「討議」が圧倒的に少ない。
・議会からの条例提案も少ない。
・議員立法をサポートする議会法制局を自治体共同で設置してはどうか。

○議会基本条例は必須
・2006年北海道栗山町が議会基本条例を制定。10年間で4割の市議会が制定。
・議会基本条例の狙いは、議会のあり方、議会運営の体系化、総合化。
・議員同士が討議する議会、執行機関と切磋琢磨する議会を目指す。
・政務活動費は政策立法活動に限定し、個人・会派でなく、政策グループに支給。
(多田コメント)
 政務活動費に関する良い意見だと思います。

○すぐやれる議会改革
・議会基本条例の制定
・議員同士の討議の場の創出
・住民との対話集会
・議会法制局の設置
・議会日程の拡大(通年議会、月例議会など)

○政策に強い議員へ
・これからの地方議員にとっての大きな課題は「立法能力」の向上。
・議員自身で政策を作らなくてもよい。行政職員と連携せよ。
・各議員が得意分野について調べ、明確なビジョンを持って質問すれば、
 職員は目を開かれ真剣に勉強するはず。
(多田コメント)私もこのような意識で質問しています。
・行政職員の人材育成には議会もかかわることができる。


(事例報告)

藤沢市議会(土地買収に関わる100条委員会について)
・前々市長の土地取引の疑惑に関し、100条委員会で追及した。
・佐々木:100条委員会を設置する場合は、追及する確信が必要。

和歌山市議会(行政付属機関への議員参画について)
・議会選出議員が審議会等の行政付属機関へ多数参加しているが
 その必要性について再検討した。
・佐々木:付属機関へ議員が参加するメリットは情報収集や方向性を与える
 ことができる点、デメリットは全議員が出席するわけではないので
 議会の議論との整合性を欠く点。世界的に見れば、日本の二元代表制による
 地方自治は独特。議会優位が主流。

日田市議会(地方創生に関する政策提言について)
・昨年「地方創生」の掛け声を毎日聞いたので、議会として積極的に
 関わらなければカヤの外に置かれる危機感があった。


(課題討議)

質問1
議会における一般質問や会派代表質問は、行政の監視機能として有効か?
法律ではあまり期待されていない。日本では首長が当然のように議会に出席し
意見を述べるが、歴史的・世界的に見ると本来の議会は首長など執行部は入れずに、
議員だけで審議している。

藤沢市議会
・一般質問は有効。通常の議案審議だと質疑が中心となるが、
 一般質問の場合自分の考えを織り込んで提案できることが利点。
(多田コメント)
 私もそのように感じます。

和歌山市議会
・チーム議会としての意見がまとまれば首長に対抗できる。
 人数が少ない会派だと代表質問も弱い。

日田市議会
・有効かどうかは質問内容による。
・これからの議員に求められるのは立法能力の向上。
 中津市議会は毎月テーマを決めて本会議を開き討議している。
(多田コメント)
 中津市議会スゴイです。政策立案能力の向上になると思います。


質問2
政務活動費の運用はどうか?

藤沢市議会
・土地取引に関する100条委員会不動産鑑定のため政務活動費を使った。

和歌山市議会
・月10万円。使った分を請求するやり方。

日田市議会。
・議会改革特別委員会で審議し、使途基準を厳しくした。

コーディネーター
・これまでの政務活動費の改革は、見える化・情報公開が中心だったが、
 これからはいかに有効に使うかが課題。


質問3
議会による住民への報告会について
(1回目は住民が多く集まるが2回目以降は全国的に減少傾向)

藤沢市議会
・議会基本条例の制定に伴い開催を始めたが、住民の参加は減少傾向。
・新たな試みとして、ワールドカフェ形式で開催。各テーブルに議員が入り対話。
(多田コメント)
 議会と市民の交流にワールドカフェを使うとはセンスがいいと思います。

和歌山市議会
・していない。常に特定の方が参加するので民意と言えるのか疑問と聞いている。

日田市議会
・5回目の意見交換会を行った。
・毎月1テーマで、市内20か所で開催。延べ400人参加。


質問4
地方自治における議会の役割はより重要となってきている。
通年議会の開催についてはどう考えるか?

藤沢市議会
・市民にすれば、年4回しか議会がないのかと驚かれる。
・本会議が開かれない期間も、常任委員会や議員全員協議会は開催している。

和歌山市議会
・首長の専決処分がなくなるので、議会の監視機能が強まるだろう。
(専決処分:本来議決事項であっても、議会閉会中に緊急を要する場合は首長が決定し、
 事後に議会へ報告する制度。以前、鹿児島県阿久根市長が専決処分を乱発
 問題になった。)

日田市議会
・必要性を感じない。

コーディネーター
・通年議会による会期制の廃止は、毎日議会をやることではない。
・現状は首長が議会を招集できるが、通年議会とすることで、
 いつでも議長が本会議を開催できるようになる。通年議会の目的は
 議会側がフリーハンドをもてるようになること。
 季節議会でもよいし、毎月議会も可能。


(会場からの質問)

1 付属機関への議員参加は、議会の監視機能が弱まるか?
・得た情報をいかに議会全体で共有するかが大事。

2 議会選出監査委員制度は機能しているのか?
・戦後70年続いているが制度疲労。
・監査内容は専門化、高度化している。

3 議会の監視はどうおこなうか?
・情報公開を進め、選挙で評価する。

4 議員だけで集中審議することは有効か?
・オール議会の理念からは会派を超えて議論することは理想。

5 若手議員についてどうか?
・問題意識を強く持っている人もいる。
・最近は若手の方が知識を持っている。
・なり手が減っている。議員・選挙のあり方を考えなければならない時期に来ている。


(参考)
・住民参加が進んでいる事例「大刀洗町住民協議会


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