伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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森林環境税(考察6) 有識者会議案と県議会案

2012-11-23 20:48:42 | 政治・政策・経済
森林環境税を巡る、
有識者会議と県議会の動きについて。



(県議会 参考人から意見聴取)

11月10日付け新聞各紙の情報です。
県議会森林環境税特別委員会が、11月9日に
林協関係者ら7人の参考人から意見聴取を行いました。

 参考人の意見。
 「採算の合わない奥山は手入れができておらず、
  土石流が発生する危険もある」
 「生活排水の処理は既存の事業で進められる」
 「環境教育やボランティアの育成に重点的に配分すべき」
 「県だけでなく、国をあげて保全すべきこと」
 「景気の状況はひどい。あまりにもタイミングが悪すぎる」
と復興増税や消費増税と時期が重なることに疑問の声も。



(群馬県市長会の意見)

11月9日に行われた群馬県市長会の意見。
太田市長は導入の時期や、県民税への上乗せ徴収を
市が行うことに疑問を呈しました。
もう一人の市長も
 「代行徴収には協力できない」と述べました。



(県議会 各会派の意見)

11月10日の上毛新聞から。
森林環境税に対する、県の有識者会議案は次のとおり。
 税額 個人 700円/年
    法人 7%
 対象 森林整備と水質保全

自民党案
 税額 個人1,000円/年
    法人10%
 対象 森林整備と平野部の合併浄化槽の普及などの水質保全事業
 ただし、11月9日に開かれた自民党県議団総会で、
 使途を巡って異論が出たため検討を続ける。

リベラル群馬案(爽風案も同じ)
 税額 個人500円
    法人5%
 対象 森林整備(ボランティア育成などへ重点配分)

公明党・新星会案
 税額 個人700円
    法人7%
 対象 森林整備
    (公明党は、花粉症対策や二酸化炭素対策も提案)
    (新星会は、放射性セシウム除去なども提案)

県議会特別委員会は、
15日までに所属5会派から最終案の提出を受け、
委員会案を取りまとめて知事へ提言する。



(自民党一転 700円)

11月20日付け朝日新聞によれば、
自民党県議団は11月19日の総会で、
個人税額1,000円の独自案を、
一転して県の有識者会議の提言と同額の
700円に減額修正しました。



(有識者会議の報告書)

11月21日付け上毛新聞、読売新聞によれば、
群馬県森林環境税の導入を検討する
有識者会議が11月20日県庁で開かれ、
次のとおり報告書をまとめました。

 税額 個人700円/年
    企業7%
 課税期間 5年
 使途を明確化するために基金を創設
 効果を検証するために第三者機関を設置
 対象 森林整備と水質保全
 (税収8億2千万円のうち、8千万円を水質保全)

今後、群馬県庁は
県民から意見を聞くパブリックコメントや公聴会を実施して、
来年2月の県議会に条例案を提出し、
4月から課税開始する予定です。

一方、県議会の特別委員会では、
森林環境税の使途について12月11日に、
「森林整備」に一本化する見通しが明らかになりました。



(水質保全)

県議会の特別委員会においては、
目的税である森林環境税の使途が
本来の目的である「森林整備」に限定される見込みです。
適切な使途だと思います。

一方で、有識者会議は
当初群馬県庁が予定していた「水質保全」関係も
この税の使途の範囲に含めました。

林業関係者らの参考人の意見にも、
新聞を見る限り水質関係に使うよう求める意見はありません。
逆に「生活排水の処理は既存の事業で進められる」
という意見も出たくらいです。



(負担者は適切か)

私は、森林の機能として、
水源となったり、二酸化炭素を吸収し酸素を造る、国土の保全
などの恩恵は、山間部の住民だけでなく、
下流の平野部に住む人たちも広く享受していると考えます。

その意味では、下流地域の住民からも広く税を徴収して
森林環境のために使うことは適切だと思います。
大沢知事は
「首都圏3千万人の暮らしと産業を支える
 豊かな水の安定供給は本県の責務」と述べました




そうであるならば、なぜ群馬県民だけが税を負担して、
森林の恩恵を受けている下流の
埼玉県、千葉県、東京都などの住民からは
森林環境税をとらないのか?
知事の主張が正しいならば、税負担の公平性から矛盾します。

もちろん県民税ですから、
他の都道府県の住民からは徴収できません。
だとすれば、ある参考人の方がおっしゃっているように、
 「県だけでなく、国をあげて保全すべきこと」
であると私も考えます。
したがって本来は国税として対応すべきです。

この税が日本で最初に導入された高知県の場合は、
吉野川を除く県内の大きな河川は高知県内を流れ、高知県で海に注いでいます。






したがって、上流部と下流部の住民はすべて高知県民です。
一方群馬県は、水源県といわれるように「首都圏の水がめ」です。
この違いを考えずに、条例の形だけまねているように感じます。



(「森林環境を守る」=「森林整備」ではない

新設される森林環境税が、
林業経営の補助金や、山間部の土木事業だけに使われるなら
現在ある国の補助金や、県の事業となんら変わりません。
「環境」の意味を考えるならば、
環境教育や、ボランティア育成などのソフト事業も大事です。
「整備」しか頭にないのであれば、
税の名称は「森林環境税」ではなく、「森林整備税」にすべきです。
いかがでしょうか。


(参考)

森林環境税についての私の意見は、
これまでブログで述べてきました。
・2月28日「森林環境税  森林環境の保全とは(考察1)」
・6月23日「森林環境税 群馬県(考察2)」
・7月4日「群馬県 森林環境税(考察3)」
・10月3日「森林環境税(考察4) 700円とる資格はあるのか」
・11月8日「森林環境税(考察5)目的税?」

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