伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

行政経営、地方政治、そのほか人生にプラスの楽しいこと eメールアドレスkucctada@mail.goo.ne.jp

財政破綻とは 

2012-11-25 19:10:15 | 政治・政策・経済

10月31日のブログ「IMF総会がおわりました」に、
「財政破綻の定義を教えてください」というコメントをいただきました。
国の財政問題を考えるうえで、重要な御質問だと思います。
ありがとうございます。



(財政破綻とは)

私は国の「財政破綻」とは、国が約束(期限・金額など)どおりに
支払いを出来なくなる状態を想定しています。
国に十分な現金があれば支払いは可能ですので、
国が資金の調達ができなくなった場合は、財政破綻を意味すると思います。

国の収入は大まかに見ると、税金と借金(国債)に分けられます。
近年の日本国の予算では、税収よりも
借金(国債)による収入のほうが多い状態です。

税金は課税徴収権により強制的に徴収することが可能です。
したがって資金が調達できない時とは、
国債を売り出しても、大量に売れ残った時です。

今年度国では、赤字国債を発行するために必要な、
公債発行特例法の成立が遅れたために、国債が発行できず、
地方自治体への交付税の交付が遅れる事態が発生しました。



(ハイパーインフレ)

もう一つ、私が「財政破綻」と実質的に同じと考える状態があります。
それは、ハイパーインフレと呼ばれる猛烈なインフレ状態です。
国際会計基準では3年間で累積インフレ率が
100%(年率3割程度)以上のものを「ハイパーインフレ」と言うようです。

このような状態が生じれば、過去の借金の価値は、
相対的に低くなりますので返済は楽になります。
しかし同時に物価も猛烈に上昇しますので、国民の生活は大変です。

もし国が、国債が売れ残った場合、
お札を発行している日本銀行に大量に買い取らせるならば、
いくらでも借金は可能です。日銀はお札を印刷すれば良いのですから。

この場合国は国債を販売して現金を入手していますので、
外形的には資金が調達できています。
しかし、そのような行為を続ければ、お金(円)の価値がやがて暴落します。



(認識の相違)

ネット上では、日本は「財政破綻する」、
いや「財政破綻しない」という議論が激しく行われています。

また、お金を大量に市場に供給すれば、
デフレは解消して「適切なインフレ」にコントロールできる、
いや「ハイパーインフレ」になる、という議論もなされています。

私は日本においては、各個人がどのように考え、誰の言葉を信じ、
自分の意見を主張するのも、自由だと考えますので、
『認識の相違』についていは、議論するつもりはありません。

ですが、私も経済の専門家ではありませんので、
「事実の誤認」や「計算の誤り」等がありましたら、
ご指摘いただけますと幸いです。勉強させて頂きたいと思います。



(国債が売れ残る場合)

11月22日のブログ(「なぜ国債が暴落しないのか ゲーム理論のナッシュ均衡」)では、
国債市場関係者が「なにをもって国債が危ないと考えるのか」
重要なポイントは2つあると述べました

 1 史上最低レベルにある利率の国債を買うよりも、
   もっと有利な投資先が出現すること。

 2 国債を買い続けるための余剰資金が国内で枯渇すること。

本日、もう一つ追加したいと思います。

  3 ソブリンリスクが高いと判断された場合。

「ソブリンリスク」とは、
国債等の返済が約束どおりに行われるかという信用リスクのことです。
近年は先進国であっても財政赤字や公的債務残高が多ければ、
リスクが高いとされ国債の格付けが低下します。

先に上げた1と2の条件がクリアされていても、
国の返済能力そのものに大きな疑問が生じた場合は、
国債は買われなくなるでしょう。



(怖いのは税収と利払いの逆ザヤ)

ソブリンリスクが高まる要因は色々あるとおもいますが、
その一つは「税収」と「国債の金利合計額」のバランスです。

現在は、 (税収>利払い) の状態ですので、
過去の借金は返済は進んでいませんが、
国債の借り換えを繰り返して自転車操業的に首がつながっています。

今年度の政府予算における「新規」の国債発行額は44.2兆円です。
しかし、借り換えなどを含めると国債の発行は総額で174.2兆円。
国の年間予算が100兆円程度なのに、
一年間で国が売り切らなければならない国債が、174.2兆円!

現在の国債の金利は史上最低ランクですので、
(税収>利払い) の状態となっています。

国債の発行額が増える、あるいは国債の利率が上がると、
逆ざや(税収<利払い)になりますので、
国は国債の借金を返す原資が足りなくなってしまうのです。

この一線を越えてしまうと、ソブリンリスクが高まりますので、
国債市場関係者が「国債が危ない」と考える
ターニングポイントの一つになるのではないかと危惧します。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地方自治の本質 | トップ | 12月議会 一般質問 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・政策・経済」カテゴリの最新記事