伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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12億の売却損  伊勢崎市の水道庁舎用地

2012-02-25 10:57:08 | 政治・政策・経済

(売却損の確定は、意義あること)

伊勢崎市の水道庁舎用地12億円の売却損について、
2月25日付け上毛新聞(22ページ)に掲載されています。

これは昨日2月24日の伊勢崎市議会で答弁があったものです。
単純に読んでしまうと、売却損を出したことが問題であるように
受け止められてしまうかもしれません。

しかし、売却損の発生原因は
現在の五十嵐市長の責任ではありません。
会計的には、
伊勢崎市が過去から引きずってきた隠れた含み損を、
明るみに出し、損を確定させた英断と評価します。



(例えば日産のゴーン革命)

かつて倒産の危機にあった日産自動車では、
カルロス・ゴーン氏を社長に迎え
大改革を断行し、V字回復を果たしました。

ゴーン氏がまず初めに行ったことは、
企業会計の実態を明らかにして、
含み損などを出し切ることでした。

日産リバイバルプランが始まった2000年度決算では、
約7,500億円の特別損失を計上しました。
内訳は、年金会計の償却(2,800億円)、
事業構造改革特別損失(2,300億円)など。

事業改革の初年度に、今後発生すると思われる
リストラ関係の損失を一気に計上することで、
翌年度以降のV字回復につなげました。



(過大な土地購入の経緯)

平成7年3月(高橋市長)、
伊勢崎市土地開発公社等から
29,997㎡を約15億7千万円で購入。
水道局新庁舎、配水池などを建設する予定でした。

平成9年(高橋市長)、
約8千㎡に水質検査センター建設。
残りの2万2千㎡は空き地のまま。

平成17年1月(矢内市長)、
空いている土地を清明高校のグランドとして
無償貸与開始。

平成24年度(五十嵐市長)、
高校グランドを群馬県教育委員会へ
5億8千万円(土地鑑定価格)で売却予定。

上毛新聞の記事によれば、
土地購入費に充てた企業債(水道局事業)の
返済・償還などを含めた市の支出は総額18億6800万円。
土地の売却益は5億8千万円なので、13億円近い損失。



(ポイント)

必要でない土地を買って、
結局使わずに売ることになりました。
新聞によれば地価下落により、13億円近い損失。

損失発生の一番の原因は、
そもそも「必要でない土地まで過大に買ったこと」です。

もし五十嵐市長がこの問題に知らん振りしていれば、
売却損は表面化しません。

しかし実態としては、
市が使わない土地をいつまでも抱えて
無償で県立高校のグランドに使用させ、
さらに企業債という借金の返済を続けることになります。

勇気を持って不必要な土地として認定することで、
大きな売却損は発生しますが、一方で
5億8千万円という売却収入を得られるのです。



(まとめ)

近年の市財政が厳しい状況の中で、
不要な土地など持っていても何の収入も生みません。
売却することで、売却益のほか、相手が民間であれば
経済活動の活性化や税収にも結びつきます。

かつて伊勢崎市では
市内に二つ目の大観覧車を建てる計画に、
市民が反対し中止となりました。
その結果、発注済の契約を解除することになり、
1億円近い違約金を支払いました。

今回の水道事業関係の土地の売買では、
12億円以上の売却損が発生し、
観覧車の時よりも金額が一桁上です。

根本原因である不要な土地まで購入した責任は、
現在の五十嵐市長にはないと考えますが、
市民から見れば、信頼して任せてきた
伊勢崎市と伊勢崎市長、市議会が執行してきた結果です。

この問題については、
かなり丁寧に市民へ向けて、経緯と市としての考えなどを
伝える必要があると考えます。




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2 コメント

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勇気のある決断に (かりた)
2012-02-26 16:28:44
どこの市でも抱えている問題です。しかし、勇気を持って売却、赤字の数字化に決断したことに対して拍手です。
市当局は当然説明責任を果たすべきでしょうが、同時に議会も「決定者として」、当時、購入の決定に至った審議経過などを市民に説明していかなくてはなりません。
従来の、「市当局は何をしてたんだ」という審議ではなく、市当局と市議会が力をあわせて当時の決定までに至る経緯を市民に丁寧に説明することを期待します。それが同じ過ちを二度と繰り返さないために必要なことですから。
がんばってください!
返信する
コメントありがとうございます (多田稔@伊勢崎市議)
2012-02-26 18:26:45
かりたさん、コメントありがとうございます。

発表すれば批判されそうな含み損を、
あえて現在の市長が公表した決断を
理解して頂きましてありがとうございます。

議会としましても人ごとではなく、
当時の審議状況や経緯について、市と共に
市民へ説明する責任があると考えます。
過去は取り戻せませんが、
同じ過ちを繰り返さないようにしたいと思います。

激励いただきまして、有難うございます。

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