水産加工品直売所「カロエ」～魚を身近に

　釧路市漁協が開設準備を進めてきた水産加工品直売店の「マルリョウ　カロエ」がいよいよ明日オープン。

　今日は関係者を迎えての記念昼食会が開かれて参加してきました。





　直売店は釧路市漁協組合事務所の一階約５０㎡を改修して調理室を併設した直売コーナーを作ったもので、基本的には総合流通センターで加工された水産加工品を紹介しながら売るというのが主な事業となります。

　迎えてくれた戸田組合長さんに、「加工品売り場にしては面積が小さいのではありませんか？」と訊くと、「もっと大きい方がよいとか、いろいろな意見はあったけれど、まずは小さく初めてそこでいろいろな試みをして大きくしていこう、ということになりました」とのこと。




　置いてある品揃えは、加工品としてサンマやししゃもなどを扱った商品がありますが、見たことのない始めてみる商品も多くありました。

「これって他にどこで売っているんですか？」と訊くと、「これは生協さんからの共同購入による大口の注文なので、本州で売られていますが市内には売っていません」


　【サンマ三枚おろし】


　【らくらくサンマ】


　【すぐに調理ができて食べられるのです】


　考えてみたら釧路のサンマって、大抵は生鮮で買って焼くか刺身で食べるので加工品なんて食べた試しがありません。

　しかし生鮮では美味しさが味わえないという向きには加工品でその味を提供する事がビジネスになるのです。

　例えばこの「サンマの三枚おろし」は冷凍のまま切って食べるとサンマのルイベが味わえます。

　昼食会にも出してくれましたが、冷たいと脂気も気にならなくて美味しく食べられ、新しい食べ方になりそう。おもしろいなあ。


　【サンマのルイベとは面白い】

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　お昼を食べながら組合長と魚を巡る食文化の話になりました。

「最近は魚の缶詰が売れている、という話も聞きますね」と誰かが言うと、「いや、問題はそこさ」と組合長。

「これからは魚でも何でも、『即食（そくしょく）』で行かないとダメなんだと思うんだ。買ってきたものを自分で調理したりせずに、缶詰を開けたり袋を破ればすぐに食べられるようにしなければ、若者は食べてくれないでしょう。そうした加工の手間とアイディアが必要になるんだわ」
「若者に魚の食べ方を教育するだけの暇はないと…」

「ないでしょうね。爺さん婆さんが同居してうるさいくらいに指導すれば別だけど、もう今の若いお父さんお母さんだったら無理でしょう。でもそれが魚離れに繋がらないような工夫がこちら側に必要だという事じゃないですか」
「ちょっと残念ですがね」

「今回のカロエも、加工品を売ると言うことは、それはそれであるんだけれど、もっと本質は魚に触れることで子供でも大人でも、魚を好きになって欲しいのさ。そうでないと漁師になろうなんて子供はひとりもいなくなりますよ」


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　昔ある小料理屋で鯛の頭の煮付けを出された時に、箸でほぐそうとしてもたもたしていたら、そこのおかみさんから、「それはね、もう手で取って骨をしゃぶって身を取って良いんですよ。手は汚れてもおしぼりで拭けば良いのですから、魚を骨だけにしてあげてください」と言われたことがありました。

　そうか、箸でもたもたするよりも手を使ってむしゃぶりついても良いのだ、と初めて知ったのですが、そんなマナーも誰かに教えてもらわないと分からないものです。

「測線に沿って箸を入れろ」とも言われました。魚には胴体の背と腹の中間に測線という分かれ目がありますが、ここに箸を入れると身が上手にほぐれます。

　小骨なんてバリバリと歯でかみ砕いてやりましょう。

　魚を食べると言うことにはそんなワイルドさがちょっとだけ必要なのですが、そんな野生の復活は未来の日本人に望めないとしたらちょっと寂しいし、不安ですね。

　さて、この「マルリョウ　カロエ」、月に二回は生鮮魚介類によるイベントもあるそうです。

　少しでも魚に親しんでくれる人が増えると良いですね。

　ちなみに、「カロエ」とは、漢字の「加工」を分解してカタカナにした命名です。これは豆知識（笑）