昨日の映画の試写会を見るために上京中。今日は久しぶりにフリーで東京観光をしてから帰ります。
まずはじめは都内で絵の個展を開いている画家の友人の個展会場を訪ねることに。
さて、個展の会場は、四谷三丁目駅の近くの住宅地の一角にある、アートコンプレックスセンター・オブ・トウキョウ。
とても不思議で芸術的な建物ですが、こじんまりとした外観に似合わず、地下の展示会場は敷地目いっぱいの広さを取っていて、都内のこの規模では珍しいほどの広さ。
芸術家の個展は、芸術的な建物がよく似合います。
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アクリル絵の具によるふんわりした表現で、花をモチーフにした絵を人生のテーマとしているのは、長野県在住の小山利枝子さん。
「こんにちは~」と訪ねると、「あれ、札幌にいるんじゃないの?」とびっくり顔。
「えへへ、実はこの週末はプライベートで東京旅行中なんです」というと、「偶然にしても来てくださってうれしいです」と喜んでくれました。
小山さんとは私が長野県にいた時に知り合って今日に至りますが、東京と長野市でそれぞれ年に一度精力的に個展を開いています。
小山さんとはもともとはダイビング仲間という珍妙な出会いでしたが、「ダイビングをして、水中のものを見た時に、色彩感覚にとてもインスピレーションを与えられたのよ」と以前言っていたのが印象的でした。
小山さんの絵は、そのとおり波のような感じもするし風のような感じもするし、具象的には描いていないのにそこに花がある、という不思議な感じです。
絵を描く上での制作の苦労話や、作家の思いなどが直接聞けてとても勉強になりました。
これだけ絵をたくさん描いている方でも、「90%くらいのところで、この絵に関わるのに飽きるというか、不安になったりすることがあるんです。そんなときは、(あ~、寝ている間に小人が来て絵を完成させてくれないかなあ)って、童話にあるようなことを思ってふて寝しちゃうこともあるんですよ(笑)」と言っていました。
またその一方で、今回はリトグラフという技法との組み合わせによる小品もたくさん出されていて、「これは、これまでの世界からは考えられない絵のスタイルですね」と驚くと、「これは、リトグラフを知らない画家にリトグラフをやらせよう、という美術企画があって、それでやる羽目になったんですけど、やっているうちにいろいろとインスピレーションが湧いてきてとても面白い経験でしたね。まあいかに【出力するか】というスタイルの幅の問題だと思いますけど(笑)」
画家さんが、作品を作るときに「出力」という単語を使うのは初めて聞いて、とても新鮮に感じました。
だれでも何かクリエイティブな一面を持っているときに、その方法を固定するのではなく、「出力の仕方のバリエーション」と考えると良いのかもしれません。
たまにはこうした一流の芸術家と話をする機会があると、自分自身もインスパイアされますね。
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さて、小山さんと会うのと前後して、個展会場の近くの四谷左門町にある「お岩稲荷田宮神社」へお参りに行ってきました。
後に「東海道四谷怪談」ですっかり有名になってしまった田宮家のお岩さんですが、この方は実在の女性で、本当は賢妻・賢母として知られた方。
当時の田宮家の跡地に再建されたのが現在のお岩稲荷田宮神社というわけですが、今でも歌舞伎などで東海道四谷怪談を演じる際には演者がお参りに来るということでも知られています。
その本当の姿にあやかりたいと、妻とともにお参りに来たのですが、今日の東京は気温もそれほど上がらず実にすごしやすい一日となりました。
私の場合、旅をして「今日も良い天気になったなあ」と思った時には必ずと言ってよいほど、目の前に稲荷神社が現れます。これはきっと自然神お稲荷さんの導きに違いない、と思えて仕方がないのです。
何かに守られているっていう感じ。これも一つのインスピレーションでしょうか。
都会にはさまざまなインスピレーションのネタが転がっています。
それを感じるかどうかは、「あなた次第」なんですけどね(笑)