北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

大規模被災地の下水道の問題

2011-05-16 23:45:23 | Weblog

       【被災地の下水道復旧はどうあるべきか】


 被災地を駆け足で見てきましたが、被害の度合いは自治体や集落によってかなりばらつきがあります。

 大船渡や気仙沼などは海に近いところでの被害は大きかったものの、高台に広がる市街地も多くて、主たる部分が残っています。被害規模は甚大とはいえ、そこを起点にして被災区域を復旧することはまだ可能でしょう。

 しかし、南三陸町や陸前高田市などは市街地が広範に津波によって押し流されてしまい、上下水道や電気・通信などの基本的なインフラがほとんど残っていない状況です。

 こうなると、人が住むのが先かインフラを整備するのが先かという鶏と卵の議論に陥ってしまいます。

 また被害があまりに甚大な集落では、住民の多くが亡くなっていますし、地盤が下がってしまったようなところで生き残った人がすぐに住宅を再建できるでしょうか。

 学校などの公共施設は立て直すとして、民間の各種商店などはどれくらいが戻るでしょう。

 しかも公共施設を再度整備しようと思うと、ある程度将来の計画をどれくらいにするか、ということが問題になります。

    ※     ※     ※     ※     ※

 今回改めて線形のインフラで弱いと思ったのが下水道です。道路でも上下水道でも、細い線上に繋がっている線形のインフラと言えます。

 線形のインフラが弱いのは長くて維持管理費がかかる割には、たった一か所が詰まっても機能が落ちてしまうことです。道路も交通事故ですぐに渋滞が発生してしまいますし、長い血管の中でも脳の中でたった一カ所が詰まるだけの脳梗塞は命に係わる機能低下と言えます。

 そんな線形のインフラの中でも、上水道は圧力をかけて水を送り出すので勾配はあまり関係ないのですが、下水道の方は水の勾配を利用して汚水を下流に流すので特に精緻な整備が要求されます。

 今回のように大地震で地盤が下がったりすると、ほぼ全面的な修理が必要になるでしょう。通常時は効率的な反面、ひとたび何かあると影響も大きいのです。
 
 
 そんなわけで、下水道の場合は大丈夫な部分が残っている場合は元通りに復旧するのが合理的ですが、南三陸町のように市街地が後半に日債を受けた場合は、合併浄化槽による個別処理の方が合理的のように思えてきます。

 最近の合併浄化槽は処理能力が向上して、家庭の汚水をかなりなところまできれいにして川に流すことができます。おまけに下水道管が延々と繋がっているわけではないので、整備のお金もかからないし修理も比較的簡単です。

 被災地の復旧に当たっては、線形のインフラと個別のインフラのメリットとデメリットを良く考えなくはいけなくなることでしょう。


    ※     ※     ※     ※     ※


 …とまあ、そんなことを考えながら民主党のマニフェストを見ていたら、下水道の項目で、「公共下水道でなくても良いように措置を講じる」と書かれていました。

 もう国民は民主党のマニフェストなんて忘れてしまったかもしれませんが、今となっては案外被災地復興で生かされるかもしれません。


 なんか、一周遅れるとトップに見えるような…



【参考】

     【もう忘れた?】


【民主党Index2009】http://bit.ly/jwwTqK
国土交通
『地方の特性を生かした国土政策』
現行の画一的・縦割り的な地域振興関係諸法を改め、地域独自の事情や特性に対応した振興策を実施します。地方分権の推進や都市と農山漁村との連携を図り、地域の自立化・多様化を実現し、安全で安心して生活ができる国土形成を目指します。

農山漁村は、超高齢化と若年労働者の流出が進み、過疎化による地域コミュニティの崩壊や農地・林地などの国土荒廃が進行しています。水源確保や土砂流出防止などの国土環境の保全機能、伝統文化や自然との共生等の文化・レジャー機能の充実など、多種多様な機能を生かすための支援策を展開します。

一方、都市部では、密集市街地の形成や交通渋滞の発生など負の遺産が解消されていません。中心市街地の空洞化問題への対策、一極集中下での大規模地震など激甚災害のリスクの解消を重点とします。

(…中略…)

『環境・暮らしにやさしい下水道法等の改正』
下水道整備が各自治体の大きな負担要因になっているとの認識に立ち、硬直的な接続義務を見直す法改正を行い、下水道に偏重した汚水処理対策を正します。

合併浄化槽は、汚水処理性能が下水道と比較して遜色のない水準に達していること、過疎地域において経済効率において優れていること、循環型社会の形成に寄与する機能を有することが指摘されています。このため、下水道法を改正し、公共下水道の排水区域内において合併処理浄化槽で汚水を処理している場合、公共用水域の水質の保全や公衆衛生の見地から著しく不適切な場合を除き、公共下水道への接続義務を免除する等の措置を講じます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 超クールビズは伝統の知恵で | トップ | 上手なプレゼンのコツ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事