国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

格助詞の頻出事項・盲点事項

2020-02-12 15:40:36 | 国語
格助詞の「の」の識別
【接続】体言や体言に準ずる語に付く。
①〔連体格=連体修飾語をつくる〕「の」(後の名詞を説明する。現代語と同じ)
「仁和寺の法師」【訳】仁和寺の法師
②〔主語を示す。主格〕…が。(現代語にもある)
「まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは」  
《訳》まして雁などが列をつくって飛んでゆくのが、たいそう小さく見られるのは。
③〔同格〕重要。頻出。
〔同様の体言を前後に伴って〕…であって(しかも)。…でまた。
 明き月のさやけきが出でにけり。
  【訳】明るい月で澄んだ月が出てしまったOR明るい月で澄んだのが出てしまった。
 ※修飾+名詞+連体形・・・連体形の下に同じ名詞や「の」を入れるとよい。
参考 同格の「が」
 《源氏物語・桐壺》 「いとやむごとなききはにはあらぬ、すぐれて時めき給ふありけり」
《訳》それほど高い身分ではない方、格別に天皇のご寵愛を受けて栄えていらっしゃる方があった。
④〔(下の体言を省略して)体言の意味を含んだ働き。準体格〕…のもの。…のこと。(現代語にもある)
《枕草子・中納言まゐり給ひて》 「まことにかばかりのは見えざりつ」
  《訳》本当にこれほどのものは見たことがない。
⑤〔連用格=連用修飾語をつくる〕〔比喩〕…のように
れいの狩りしにおはします供に」
 《訳》いつものように狩りをしにいらっしゃるお供に。
【あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長長し夜を一人かも寝む】柿本人麻呂
(あしひきのやまどりのをのしだりをながながしよをひとりかもねむ)
《訳》山鳥の尾の垂れ下がった尾のように、長い長い夜を、共寝する相手もなく一人で寝ることになるのであろうか。
《語注》 ▽あしひきの=「山」の枕詞。▽あしひきの…しだり尾の=「長長し」を導く序詞。▽序詞の訳で「~のように」というパターンが頻出。
 ※「例の」「序詞」のパターンで出る

より 《格助詞》《接続》体言や体言に準ずる語に付く。現代と同じ用法、滅多に出ない用法は軽く記述する。
〔起点〕…から。…以来。  〔経由〕…を通って。…を。
〔動作の手段・方法〕…。「移動手段+より
《徒然草・五二》 「徒歩(カチ)よりまうでけり」
  《訳》(仁和寺の法師が)徒歩で(石清水八幡宮に)お参りした。
 ※ここでは「徒歩(カチ)が移動手段。
〔比較の基準〕…より。 〔範囲を限定〕…以外。…より。▽多く下に「ほか」「のち」などを伴って。
〔原因・理由〕…ために。…ので。…(に)よって。
〔即時〕…やいなや。…するとすぐに。訳の選択肢問題に多い。
《徒然草・七一》 「名を聞くより、やがて面影は推しはからるる心地する」
《訳》名前を聞くやいなや、すぐに(その人の)顔つきは思い浮かべられる気持ちがする。

格助詞の「に」の盲点
○〔婉曲に主体を示し、敬意を表す〕…におかれては
《枕草子・上にさぶらふ御猫は》 「上にも聞こしめして、渡りおはしましたり」
 《訳》天皇におかれてもお聞きになって、おいであそばされた。
○受身表現や使役表現で動作の主体〕…に  …によって
《枕草子・ありがたきもの》 「ありがたきもの。舅(しうと)にほめらるる婿」
《訳》めったにないもの。舅にほめられる婿。
〔強意〕ただもう・どんどん・ひたすら▽同じ動詞を重ねた間に用いる。「AにA]
《竹取物語・かぐや姫の昇天》 「閉(た)て籠(こ)めたる所の戸、すなはちただ開(あ)きに開きぬ」
《訳》(かぐや姫を)閉じこめて締め切っていた所の戸は、すぐにただもうどんどん開いてしまった。





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