天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

霞ヶ浦で蓮根掘に見入る

2017-02-15 05:09:27 | 自然


きのう八奈さんの招きで土浦へ赴いた。
土浦駅から東の方に広がる霞ヶ浦、そのほとりで蓮根掘をしている。それを見て俳句を作りましょう、といわれて意気込んで出かけたのであった。

蓮根掘は見たことがない。想像で手掘りの蓮根掘の句を書いたら墨子さんに「それは昔のやり方、今は機械でガーッとやっちゃう」といわれた。
ほんとうかなと機械掘を疑っていた。実際に見た蓮根掘は、機械は使うがやはり素手を使っていた。エンジンからホースで水を送る。そのホースの水圧で泥の中をかき混ぜ蓮根を浮かせて取る。
出句5句はすべて蓮掘の句にしようと決めた。



泥に胸べつたり預け蓮根掘

父と息子が蓮根を取り、畦で母とおぼしき人ともう一人が水洗する。掘る父は首まで泥につかりそう。

底さらふ蓮掘ぐぐと腰を入れ

たぶんいちばん底の蓮根に手が届いたのだろう。腰が一段と下がる。

寄る辺なき空の青さや蓮根掘

1月、2月の関東の晴天は水分が少ない。硬質の青である。

蓮掘に頭めぐらす自由あり

実際は頭をまわしてよそ見もしない。一途に泥と取り組んでいる。

ときに腰伸ばせばよろけ蓮根掘
ラグビーはスクラムを徹底して押すこと、俳句はものを穴のあくほど見ること。かつて奥坂まやにきつくいわれたことを思い出す。まやさんの背後霊がいて、もっと見なさいもっと、と叱咤されている気がする。
それでさらに踏み込んだ。

蓮掘の眼ぎらつく泥浄土


うーん、「泥浄土」を引っ張り出したのはいいとしてまだ粗いのではないか。句会で5点入ったが成否はまだ泥の中。

風呂の湯は動くと熱さが増し、蓮田は動くと泥の匂いが底から湧いてくる。
引き上げし蓮根新たに泥にほふ



浮草が紅葉したもの


枯蓮は蓮の骨ともいわれる

収穫した蓮根を畦で洗う。ノズルから勢いよく出る水を「噴射水」としてみた。

青天白日蓮根を洗ふ噴射水



「噴射水」は近所の蓮根販売店でも使っている

勢いよく水をかけているおばさんにはじめは「ズボンが汚れますよ」といわれ、そのうち「あちらでも蓮掘はやってますから」とていよく追われた。
仕方ない。1時間も近くでじっと見られていては落ち着いて仕事ができないだろう。退散した。お世話になりました。
1時間近くものを見てひたすら言葉を探した。興奮した。

少し歩くとすぐ霞ヶ浦があった。遠くは霞んでいたが向こうの街並が見える。同じ水だが堤防を隔てて、蓮田と霞ヶ浦がえらく趣が違う。



吟行に、宮本八奈、白取せち、吉川典子、清水正浩、中山美恵子、竹前光男が来て、後の「山水閣」での句会に矢野しげ子、山崎龍子、吉成イクが合流した。
「山水閣」は龍ヶ崎の牛久沼のほとりにありここからも水が見えた。


筑波山(男体山・女体山)がよく見えるバレンタインデー
コメント
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