2017年07月07日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[南クリールの先行発展特区ТОРへの投資の根拠は色丹島“アストロブノイ”]
2017年7月5日設立が決定された南クリールの先行発展特区“ТОР”(Территории Опережающего Развития)の根拠は、色丹島の漁業コンビナート”アストロブノイ”(Островной)だとサハリン一般紙(WEB)が伝えた。
”アストロブノイ”への投資プロジェクト計画は約50億ルーブルとされている。
プロジェクトは、冷凍・冷蔵水産物、缶詰、食品の生産・物流のための複合体の建設で、製品は、ロシア国内市場ばかりでなく日本、中国、韓国等のアジア太平洋諸国へ向ける計画となっており、島内で1,000人の雇用創出を見込んでいる。
また、プロジェクトは3段階で展開され、第1段階は今年2017年、護岸工事、管理棟、寮の修復、第2段階は来年2018年、新たな缶詰工場の建設と加工プラント、ラインの設置、1万5,000トンの処理冷蔵庫、管理棟の建設となっている。
更に、最終段階となる2019年には、マダラ、太平洋サケマス等を対象とするロボット化された高次加工設備の導入を計画としている。
なお、ロシア極東発展省は、この“ТОР”は、“2016年から2025年までのクリール列島社会経済発展計画”の枠組みによるものだと指摘している。
2017年07月07日
北海道新聞【ユジノサハリンスク則定隆史】
[北方四島に税制優遇特区 日ロ共同経済活動に影響も]
ロシアのトルトネフ副首相は6日、南クリール(北方領土)にロシア政府の新型特区「先行発展区」を指定することを決定したと述べた。タス通信が伝えた。特区に指定する具体的な場所は明らかにしていないが、北方四島での共同経済活動の具体化に向けた今後の日ロ交渉に影響を与える可能性もある。
先行発展区は、極東開発の推進に向けたロシア政府の目玉政策の一つで、国内外からの進出企業に税制優遇などを認める制度。
タス通信によると、トルトネフ氏は特区設置に向け「1週間以内に連邦政府に書類を提出する用意がある」と述べ、ロシア企業が水産加工に5億ルーブル(約9億4千万円)を投資する計画があることを明らかにした。
トルトネフ氏は昨年12月、日ロ両政府が北方四島での共同経済活動の検討開始で合意したことを踏まえ、四島での特区指定を当面延期する考えを示していた。今回の発言は7日に予定されている日ロ首脳会談を前に、日本側に共同経済活動を巡る協議の進展を急がせ、ロシア側に有利な条件を引き出す狙いがあるとみられる。