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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

情報通信産業の今① インターネット・携帯 急成長 規制緩 和利用者に不利益

2017-11-14 16:20:59 | 経済・産業・中小企業対策など
情報通信産業の今① インターネット・携帯 急成長 規制緩 和利用者に不利益

IoT(モノのインターネット)など、情報通信分野の技術革新が注目を集めています。情報通信産業の現状を、メディア研究者の高野嘉史(たかの・よしふみ)さんに聞きました。(斎藤和紀)

メディア研究者 高野嘉史さんに聞く

固定電話や携帯電話をはじめとする通信産業は、2015年の実質国内生産額が約15兆5500億円で、全産業に占める比率は1・6%です。生産額で見る限り、07年以降横ばい状態が続き、成長産業とはいえません。
近年の特徴は、伝統的な固定電話が衰退する一方、インターネットと携帯電話が急成長していることです。NTTへの固定電話の契約数は、ピーク時は6200万を超えましたが、16年度末には2100万まで減少しました。携帯電話の契約者数は増加を続け、16年度末は1億6300万に達しました。インターネットの利用者数は1億人を超え、人口普及率は80%超です。
そのためNTTは固定電話からIP(インターネット・プロトコル)網への移行を25年1月に完了させる計画を発表しました。また、固定電話市場の縮小を口実として、特にNTT東日本と西日本で「合理化」攻撃がかけられてきました。営業・保守等の業務は委託会社に移管され、約10万人の社員が転籍させられ、賃金も大きく削減されました。営業窓口も原則1県1カ所に集約され、利用者の利便性を損ねています。



家電見本市、シーテックジャパンに出店したNTTグループのブース=10月6日、千葉・幕張メッセ

通信料高止まり
もう一つ問題になっているのは携帯電話の通信料金の高止まりです。総務省の16年「全国家計調査」によると、2人以上の世帯のーカ月の通信費は、1万3120円(前年比2・7%増)です。毎年増加を続け、家計費熱全体では4・6%と大きな比率になっています。固定電話が主流であった1980年代は4000円から6000円程度ですから、携帯電話を使うことで、家庭の通信費の負担が非常に増えています。
携帯電話市場には、利用者にとってマイナスな仕組みがあります。例えば「端末販売奨励金」です。一時期「ゼロ円携帯」と言いましたが、携帯電話の販売代理店は、端末代金を無料や低額で提供しています。携帯電話会社は、代理店の端末代金の赤字を奨励金という形で穴埋めし、その分通話料を値上げすることで取り戻しています。同じ端末を使い続ける利用者にとって不利な仕組みになっています。
携帯電話を契約する際、近年一部改善が試みられていますが、契約から2年以内に解約すると違約金が発生する「2年縛り」や、購入した端末を他の通信事業者では利用できない「SIMロック」があります。このため消費者が携帯電話会社を自由に変更できず、長期契約を強いられています。また、携帯電話の料金プランが複雑化し、利用者にとって不要なサービスを抱き合わせて契約させられることで通信費に加算される場合があります。

過度の“自由化”
高すぎる通信料の背景には、通信事業の3社寡占市場化と料金規制の緩和があります。1985年に電電公社をNTTへ民営化させ、競争を導入した後、現在はNTT、KDDI、ソフトバンクの3グループに集約されました。携帯電話市場に参入するには、総務省の周波数割り当てと、ネットワーク設備の整備が必要です。3社体制のもとで、新たな事業者が全国規模のネットワークを整備することは事実上不可能です。競争の圧力が働かず、3社で事実上協調し、料金を引き下げずにいます。
2003年には電気通信事業法を改正して、通信サービスの料金規制を、NTT東日本・西日本を除き完全になくし、事業者が自由に料金を決定できるようになりました。大幅な規制緩和で、競争の激化や料金引き下げなどを狙いましたが、現実は異なりました。シエアが大きいNTTドコモの料金に、残り2社が合わせる形になっています。行き過ぎた自由化、新自由主義の一環であって、利用者の利益になっていません。
電話などの通信は、生活に不可欠なサービスです。地域や所得を問わず誰でも利用できないといけない。消費者の生活を守るため規制すべきところは規制しないといけません。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年11月10日付掲載


電話機代が事実上無料になる代わりに契約の2年縛り。
電話機本体はSIMの差し替えができる構造にはなっているものの、事実上の縛りがかかっています。
スマホコースの割引競争は歓迎ですが、事実上NTTドコモの手のひらの上の事なのですね。
コメント
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