馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

居酒屋の大将。

2014-11-10 17:30:00 | 日記

2012年9月21日 19時 雨降りしきる国道17号線を

錦糸町駅に向かって歩いていた。

三つ目通りを渡って横道に入り

マンションと小さなビルが混在する裏通りを歩いた。

前方に赤提灯が見えた。

店前に山桜が生い茂り、枝と葉陰の先に

ガラス戸越しに店内を覘いた。

従業員の女の子が、にこやかに扉を開き

「どうぞ!お入り下さい」

カウンター席とテーブル席がある

清潔で静かな店内に入り、カウンター席に案内された。

カウンターの中に、細身で優しげな眼差しの中年男性が

挨拶した。

この人が店主でブログでは、自称大将を呼び名にしていた。

  

この雨の夜が初めての出会いであった。

 

カウンターを挟んで会話が弾んだ。

互いに商売のブログを書いていること。

居酒屋を開いて約2年が過ぎたこと。

以前はサラリーマンで先物取引の会社にいたこと。

私も脱サラして商売を始めたことを語った。

言うに言われない人知れず苦闘する気持ちが

互いに理解し親近感を持った。

それからは、なぜか雨が降る日に飲みに出かけた。

 

十六夜に飲み

 

 

 

大将はブログに書いた。

丹沢登山にコメントしてくれた。

 

創業30年にもコメント

 

雨の晩に訪れる居酒屋

 

秋近し竹林の風を友とし

 

 

 

 

45年前 会津若松の一夜の記憶

 夜のストレンジャー

 

 

今宵 十六夜の月に酔いしれて

 

 

美豹女

 

 

私は今年に入ってから、店に行くことにためらいを感ずるようになった。

居酒屋の前を通ると、大将が一人黙々と仕込みをしている。

又はカウンター席には常連客で満席状態。

だが、入店しなかった。

 

大将は毎日ブログを書き続けていた。

懸命に日々、居酒屋での楽しい出来事を丁寧に表現する。

店は両国にあり、自宅は川口。

自転車で通って来る。

時折 軽自動車も使う。

 

しかし、自宅に帰れない日々が続く。

お客様がいる限り店は閉じない

又閉店間際に来店客があれば快く迎える。

 

土日祝日もお客様とのお付き合いをする。

 

深夜 お客様が帰った後、テーブルを寝床代わりにして寝入り

孤独な夜を過ごすのだ。

早朝、錦糸町の600円のサウナに浸かる。

 

大将は言った。

ブログに本当のこと書きたいと思う。

酔い客の様々な語りに頷き同意をして

あっちのお客には愛敬を振りまいて。

煙草を吸う大将を客に咎められ、表向きは禁煙したが

私だけがいると吸った。

 

ブログの文面の行間には、感情を抑制し

言いたいことも言わず、耐えている。

落ち着いているように見えるが、心の中には

怒りや絶望などが渦巻いている。

 

ブログから垣間見える大将の苦悩に出会うのが辛かった

今年の8月のブログ当たりから、内容に焦りが現れた。

新聞に大きく報じられた事件を大将はブログに書いた。

 

 

どんなことがあって、どうなったのか分からないが、

 

11月4日未明、大将は泉下の客となった。

 

ご冥福をお祈り申し上げます。

 


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
名古屋の店主 (Unknown)
2016-01-04 13:05:48
名古屋の居酒屋店主は休みながらもお店続けてます。
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