荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

必殺仕事人の巻、拾弐たび。

2016年03月14日 | 偽りの人生に優れたエンターテイメントを




今回は必殺仕事人シリーズの“華”である、殺しのテーマについて。

必殺マニアでない、フツーのヒトからすれば『あ~、パラパ~ってヤツでしょ』ってなもんでしょう。

確かにそう。

『パラパ~』です。

しかしながら、仕事人シリーズの『パラパ~』は各シリーズで異なるんですな。

もちろん、マニア間では常識であります。

そんな日常生活に何の役にも立たない常識・各シリーズの殺しのテーマについて、記したいと思います。



必殺仕事人【暗闇にひと突き】



原曲は金沢明子が唄う主題歌【浜千鳥情話】。

それまでの、歌謡曲に民謡を加味した異色曲と言えましょう。

お聴き頂ければお分かりの通り、例の『パラパ~』がありません。

いきなりスタートする、この殺しのテーマ。

秀が障子をブチ破って踊り込んで来るシーンが目に浮かびます。



ところが、ロック調のBGMは人殺しに相応しくない、というクソみたいな理由により【新・必殺仕置人】で使用された出陣のテーマ【仕置人・出陣(夜霧を裂いて)】に変更されたのは、とても残念。



同じ様な変更劇に【必殺渡し人】がありました。



新・必殺仕事人【暗闇に仕掛ける】



原曲は飾り職人の秀を演じる三田村邦彦が唄う主題歌【想い出の糸車】。

いや~、当時の三田村人気がしのばれます。

厳密に言えば『パラパ~』ではありませんが、サックスのイントロがインサート。

必殺シリーズ第1弾【必殺仕掛人】以来です。

印象に残っているのは、第2話『主水 気分滅入る』での秀&勇次の連携プレー。

勇次が三の糸で吊り上げた悪人を、梁で待っていた秀が刺す!





実に素晴らしいシーンでした。

もうひとつは映画【必殺!】での水上大ジャンプ。



お客さん、みんな笑ってました。

一方、ジャニタレ学芸会バージョンでウザウザ松岡が演じる経師屋の涼次もこの曲を使用。

石原興監督『新曲(鏡花水月)の殺しのテーマは用意しとる。【暗闇に仕掛ける】とどっちがええ?』

ウザウザ松岡『僕は新・仕事人の大ファンだったので【暗闇に~】でいきたいです』


という会話がなされたと聞きますが、絶対に嘘であります。



必殺仕事人III【暗闘者】



原曲は何でも屋の加代を演じる鮎川いずみが唄う主題歌【冬の花】。

仕事人シリーズにおける、僕のナンバーワンBGMであります。

この曲の良さは、何度も述べておりますので今回は割愛致しますが、いや~ホント良いな~。

『パラパ~』ではなく『パ~パラパパ~』ってトコが特に。



必殺仕事人IV【殺しの旋律】



原曲は【仕事人III】に続き、ふたたび鮎川いずみが唄う主題歌【花の涙】。

【暗闘者】が大好きな一方、この曲はあんまり好きではありません。

な~んか間延びしているすよ。

肝腎の物語もピリっとしてませんでした。

さすがに製作者サイドも、秀&勇次コンビに飽きたのかな~、と思わせる程。

仕方ありませんね。



必殺仕事人V【冥土の鈴か、地獄花】



原曲は藤田まことの愛娘・ 藤田絵美子が唄う【さよならさざんか】。

御大のコネをもってすれば、主題歌をガキに唄わせるなんて、ちょちょいのちょい、であります。

さてこの曲、良くも悪くも教科書通りの出来、といった印象。

『パラパ~』も、何のヒネリもありません。

華はありますが、面白味に欠けるかと。

新メンバー・竜&政コンビも奥行きがなく、つまらないキャラクターでした。

バラエティ番組や情報番組で“仕事人”と称されるアスリート・職人・動物が紹介される際の『パラパ~』は、この曲が多い様な気がしております。



必殺仕事人V・激闘編【闘う仕事人】



原曲はみたび鮎川いずみが唄う主題歌【女は海】。

これも大好きで、言わばナンバーツーBGMであります。

通常、殺しのテーマは各仕事人の殺し毎に、一旦BGMを終わらせる演出が多かったのですが、【激闘編】ではぶっ続けで流される演出が、多くなされておりました。

特に第2話『大仕事!大名殺し』は、必殺シリーズ史上最長と言われております。



まぁ、殺しの実行者が6人もいますからねぇ。長くもなりますわな。

通常の『パラパ~』ではなく『パラパパ~』ってイントロが出色。

ちなみに【女は海】は京本政樹の作詞・作曲・編曲です。



必殺仕事人V・旋風編&風雲竜虎編【殺しの旋風】



原曲は川中美幸が唄う主題歌【愛は別離】。

なぜ川中美幸が必殺仕事人シリーズの主題歌を唄うのか、理解に苦しみます。

かとうかずこの歌唱力がヒドかったのでしょうか。

鮎川いずみも大概でしたけど。

脚本の崩壊・視聴率の低下・スタッフ&キャストのやる気のなさ、といった諸々のファクターが“川中美幸に主題歌を唄わせる”という暴挙に帰結したのでしょう。

夜鶴の銀平のチマチマした殺ししか目に浮かびません。

歌謡曲ではなく、ド演歌にシフトしてしまった失敗曲。



とまぁ、徒然に記してみました。

残念なのは、復活編である【必殺仕事人・激突!】では新曲の殺しのテーマがなかった事。

せっかくの新作も、流用曲じゃ台無しってモンです。

もちろん、ジャニタレ学芸会バージョンもしかり、です。



最後に。

殺しのテーマではありませんが、仕事人シリーズといえば、この曲。



各仕事人がアジトでお金を受け、悪人を仕留めに赴くシーンに使用される【仕事人出陣】です。

マンネリ曲というきらいは確かにありましょう。

【激闘編】なんかは、折角渋い出陣のテーマがあったのに、コレにスイッチしちゃって残念至極でした。

しかしながら、やっぱり高揚する名曲ですよね。

印象に残っているのは、【必殺!III裏か表か】での主水奪還シーン。

秀や壱たちが、悪霊銭に忍び寄るシーンは最高でした。









さすが工藤栄一。

BGMの使い方をひとつとっても、石原興とは雲泥の差であります。



『人生の深い感動が込められている作品以外はやりません。お客さまに人生の感動を味わって頂けるものをやれば、必ずある程度のところまでいけます』浅利慶太(ニッポンの演出家・1933~)



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