碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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残念だった“豪華キャスト”ドラマ「再会」(フジテレビ)

2012年12月12日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、フジテレビ「土曜プレミアム・大型ミステリー特別企画 再会」について書きました。


キャストは豪華だがシラけた

8日にフジテレビ「土曜プレミアム・大型ミステリー特別企画 再会」が放送された。ウリは江口洋介、常盤貴子、堤真一、香川照之という“夢の共演“。もちろんそれなりの見ごたえはあった。

物語の軸となるのは、この4人が少年時代に体験したある出来事、仲間だけの秘密だ。それが27年後の事件によって明らかになっていく。原作は横関大の江戸川乱歩賞受賞作だが、小ぶりな物語でもありインパクトには欠ける。それを豪華キャストで補うつもりだったのだろう。

しかし視聴者にすれば、常盤、香川とくれば映画「20世紀少年」。
江口の風貌も豊川悦司風だ。ただでさえこのドラマには少年時代の友情やタイムカプセルといった、似たようなアイテムが登場するのに、このキャスティングはいかがなものか。救っていたのは堤である。

さらに警察官にしてDV男でもある江口の押しかけ女房は長澤まさみ。陰で男を支え続ける女の役はまだ早そうだ。堤の新妻・相沢紗世と同様、カップルとしての“据わり”の悪さばかりが目立ち、ドラマの緊張感を削いでいた。

それは警察署長役に「踊る 大捜査線」の北村総一朗を持ってきたことにもいえる。こちらは内容よりフジテレビというブランドを優先した配役だが、やはりシラける。全体としてやや残念な豪華作品だった。

(日刊ゲンダイ 2012.12.11)


・・・・この原稿を書いた時点では、まだ視聴率は出ていませんでしたが、結果は9.3%だったそうです。

「捕らぬ狸のナントヤラ」だったフジテレビとしては、かなりのガッカリでしょう。

視聴者はちゃんと見抜くものですね(笑)。

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