碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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フジテレビ4夜連続ドラマ「卒うた」

2010年03月09日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載しているコラム「テレビとはナンだ!」。

今週は、フジテレビのドラマ「卒うた」について書いた。

4夜連続で見たのですが、なかなかよかったのだ、これが。


コラム見出し:
設定も歌も演出も長澤まさみもよかったフジのドラマ「卒うた」

本文:
4夜連続ドラマ「卒うた」(フジテレビ)を全部見た。

連載小説みたいなワンクールの連ドラとも、書き下ろし長編に似た単発スペシャルとも違う、後味のいい短編集のような4本だった。

テーマはもちろん卒業。第1夜は志田未来主演で、恋愛と友達との友情の間で揺れる女子高生の話だ。

微妙なニュアンスを一瞬の表情で見せる志田は当然上手いが、親友役の忽那汐里(ポッキーCMの娘)も大健闘である。

結婚を前にした娘と父の情景を描いた第2夜の主演は国仲涼子。平田満が一人で娘を育ててきた父親をきっちりと演じていた。

第3夜は卒業間近の大学生カップルが登場。将来の夢と現在の恋愛という、彼らにとっての大問題にぶつかる。北乃きいの泣き顔が天下一品だ。
 
そして最終夜。仕事や私生活が思うようにいかないラジオのパーソナリティー(長澤まさみ)が主人公だ。

故郷の田舎町で幼なじみと再会したことで、あらためて故郷を旅立っていく。

長澤は、これまでのどの出演作より“いい味”を出している、と言いたいくらいの好演。

地方ロケの映像も心地よかった。

1~3夜の中身は長澤がラジオでリスナーから募集したエピソードだったという設定も、流される卒業ソングも、あざとさを感じさせない抑制された演出で効果を生んでいた。

3月の定番企画になればと期待したくなる。
(日刊ゲンダイ 2010.03.09付)


・・・連続ドラマとも、単発ドラマとも違う、4つの短いストーリーを作るのは、大変だったろうな、と思う。

フジの制作陣はそれにチャレンジし、見事にやってのけた。

こういうドラマに出会うと、一人の視聴者としても、放送評論家としても嬉しくなる。

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