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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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南の島の「アロハ・イニシアチブ」

2011年08月25日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回は、先週行ってきたハワイ・マウイ島での話です。


はるかなる南の島で

今年もハワイ・マウイ島にあるラハイナ浄土院を訪ね、原源照先生ご夫妻にお会いすることが出来た。

緑の芝生の中に三重塔がそびえ、大仏様が鎮座する境内はマウイの日系人にとって心の拠り所だ。

笠智衆さんが日系移民一世を演じたドラマ「波の盆」(一九八三年)はここで撮影された。

日系の方々は「自分たちの歴史がドラマになる」と喜び、日本食の炊き出しなどで応援して下さった。海外での長期ロケが成功したのは浄土院と皆さんのおかげだ。

以来、毎年この寺に通い続けて二十八回目。今や私の“第二のふるさと”である。

今回、原先生からハワイにおける東日本大震災の被災者救援活動「アロハ・イニシアチブ」のことを聞かせていただいた。

これは日系人による「被災者にハワイへ避難してもらおう」という取り組みだ。七月に迎え入れられた約百人の被災者は最大九十日間、マウイ島やオアフ島に滞在する。

また震災直後からラハイナ浄土院をはじめハワイにある全ての日系寺院で募金活動が行われ、短期間で多くの寄付が集まったそうだ。

浄土院の海を望む一画には日系人墓地があり、すり減った墓石のどれもが西の方角を向いている。西方浄土とは言うものの、本当は西に日本があるからだ。

昔も今も変わらぬ故国を思いやる気持ちに感謝し、合掌した。  

(東京新聞 2011.08.24)




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