人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

呉勝浩『爆弾』

2024-02-01 17:58:35 | 読書記録(紙書籍のみ)
呉勝浩著『爆弾』

1ページ開いたら終わりです。おもしろすぎてページをめくる手が止められなくなります。
がっつり寝不足になりました(笑)。

お酒を買いに来たのにお金がなくて腹が立ち、自販機を蹴って店主を殴ったとして、
中年男が野方署に連行された。示談金(?)を払って終わり、の事件に思われたけど、
スズキタゴサクと名乗ったその男は、取り調べの最中に「10時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルで爆発が。スズキタゴサクはそれからも爆発を予言(予告)するが、
それがなんだか質の悪いクイズのようななぞなぞのような。

最初は誰も死ななくて、あまり警戒せずに読んでいたら、次の東京ドームの近くでの爆発では
人が死んでしまった。一気につらく悲しくなって、それまではとぼけた男だな、くらいの
認識しかなかったのに、残酷な事件を起こしながらも、とぼけているのがすごく許せなくなる。

あれこれ伏線があって、気になって次々ページをめくってしまうけど、
スズキタゴサクは最後までスズキタゴサク。本名も、いったいどういう人間で、どうしてそんなことを
するようになったのかも、わからないまま。

そして、最後の1文が恐ろしい。
「最後の爆弾は見つかっていない。(P425)」
世の中には理不尽も不条理もある。それはわかる。でも、そういう怖さを認識して生きていくのはしんどすぎるから。
私は最後の爆弾のことを忘れて生きたい、と思う。
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