*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第14章 ミステリー」を複数回に分け紹介します。3回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
----------------
**『世界が見た福島原発災害』著書 「第14章 ミステリー」の紹介
前回の話:『世界が見た福島原発災害』第14章 ミステリー ※2回目の紹介 <ベント開始時間が改竄された>
地震で冷却水を喪失した1号機
もうひとつ、今後の事故の全容解明のために残しておきたいことがある。それは、NHKの4月8日のスクープ報道である。NHKが「入手した資料」をもとに「1号機 震災の夜に燃料露出直前」と報じたのだ。
「1号機 震災の夜に燃料露出直前」ーということは、3月11日当日、「1号機」では「水位の急激な低下」が起きていたことになる・・・。「1号機」が最初に爆発した謎を解く、重要な鍵が示されたわけだ。
NHKのサイトに載った記事をチェックしてみた、そこに、こう書かれていた。
資料によりますと、1号機では、地震発生から7時間近くあった午後9時半に、原子炉の中で核燃料が露出するまでの水の高さが残り45センチとなり、通常の十分の一程度に減っていたことが分かりました。
2号機と3号機では・・・水の高さが4メートル前後に維持されていました。これに対し1号機では、地震当日の夜までに、すでに安全のために最も大切な「冷やす機能」を十分に保てなかったことになります。また核燃料が水から露出するまで、2号機と3号機では、地震から1日半から3日程度かかっているのに対し、1号機では18時間ほどしかありませんでしたー。
NHKが「入手した資料」とは、東電あるいは保安院の内部文書と見られるが、問題は、「1号機」だけでなぜ急激な水位低下が起きたかである。
ここからこんな推測が生まれる。電源のストップによる給水停止の影響が出る前から、地震による衝撃で機械的な損傷が発生し、「冷却水漏れ」が始まっていたのではないか?ー
NHKの記事は次に、「東大教授」の「1号機では、『冷やす機能』が維持できなくなった後、さらに水が減り核燃料が露出したことで、地震の翌日という早い段階で水素爆発が起きたのではないか」との「指摘」を載せ、東電は「詳しいことはわからない」と話していますーで終えているが、「1号機」の水素爆発が「早い段階」で起きていなければ、爆発で退避を余儀なくされることなく、原発災害に立ち向かう、一定の時間的な余裕が生まれていたはずである。
ところで東電は3月11日当日の水位、圧力などのデータを公開していない。(なぜか翌日の12日分から公表)。
その当日の水位変化を示すデータが書かれた文書をNHKは入手していた!
ということは、当日のデータは存在し、東電そして・あるいは保安院は、そのデータを隠していることになる。
これは実に由々しき問題である。事実の徹底究明が求められる。
※続き「第14章 ミステリー」は、7/30(木)22:00に投稿予定です。