*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第13章 カク・ミチオ教授の警告」を複数回に分け紹介します。5回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第13章 カク・ミチオ教授の警告」の紹介
前回の話:『世界が見た福島原発災害』第13章 カク・ミチオ教授の警告 ※4回目の紹介 <葛尾村の自主避難>
「3機とも完全メルトダウンを起こしかねない状態だ」
日系アメリカ人(3世)のカク・ミチオ教授(ニューヨーク・シティー・カレッジ)は、世界的な理論物理学者である。最先端の宇宙理論をわかりやすく解説する科学者としても知られる。
そのカク教授が4月13日、全世界の人々が視聴する米国のネット放送局、「デモクラシーNOW」に出演し、「フクシマは時限爆弾。チェルノブイリをはるかに超える悲劇になる恐れもある」と警告した。
「フクシマは安定しているように見えるが、ちょっとした余震、あるいは配管の漏れ、作業員の避難などで、3機とも完全メルトダウンを起こしかねない状態だ」と警告したのだ。
「岸に指先でぶらさがり、必死になってこらえている状態が、いまの安定的状態だ」と。
カク教授の親戚は東京に住んでいるが、すでに脱出した人もいるという。
そのカク教授が番組で、「フクシマ」を「車とドライバー」にたとえ、以下のように解説していた。
いま、あなたが車を運転している、と考えて下さい。運転している車が突然、コントロールが効かなくなり暴走を始めました。そこであなたは急ブレーキを踏んだ。ところがブレーキは効かない。そう、地震があなたの車の安全システムを破壊し尽くしたわけです。
そしてこんどは、あなたの車のラジエターが過熱して爆発した。それが水素爆発であるわけですね。
そして次にー もっと悪いことに、車のガソリンタンクが過熱し始めた。今や突然、あなたの車は炎に包みこまれようとしている。それが完全メルトダウンです。
こういう状況で、ドライバーのあなたは何をなすべきか。とにかく、そばの川に車を突っ込んだ。東電が海水を注入したのがコレですね。太平洋の海の水をね。もう必死になって炉心に海水をぶっかけた。
ところが海水には塩が入っている。その塩があなたの車のラジエターにこびりついてしまった。
どうしよう? それであなたは地元の消防署に電話で助けを求めた。そして「日本のサムライ」たちが、いま戦っている。そしてそのサムライたちは、それが自殺的行為になりうるものだと知っている。溶解した炉心にホースで水を浴びせかけ続けている。
これがいまの状況です。
指先ひとつで崖にぶら下がっていて、いつ力尽き、地獄の底に落下するかわからない今の状態になるまでを、「クルマとドライバー」にたとえて、わかりやすく解説したわけだ。
このカク教授にならって、「フクシマ」で事故が起きるまでの経過を、「交通安全」のたとえ話で解説すると、事態はあるいはわかりやすくなるかも知れない。
幸福な島、「フクシマ」の横断歩道を「原子力村」のお代官やお金持ちのビジネスマン、天下りのおじさん、提灯持ちの記者さんたちが一緒に渡ろうとしています。
信号は「赤」! なのに、みんなで渡れば怖くない、というのです。
列の真ん中の電力会社のおじさんは、大事に「原爆」を抱えています。「うまく運転すると電気を出す原爆」なんだそうです。でも制御不能になると爆発してしまうのだそうです。
あっ、おじさんたち、赤信号なのに、左右確認もせず、平気な顔で渡り始めました。あっ、そこに、「ツナミ建設」のダンプカーが横から走りこんで来た!
ドカーン! ドカーン! ドカーン! 1発、2発、3発!
あらら、燃えガラまで放射能を放出しています・・・。
「電気を出す原発」が爆発したおかげで、縁ゆたかな「フクシマ」は放射能で汚染され、人の住めない土地に変わってしまいました。
でも、そんなことしておいて、「原子力村」のおじさんたちは責任逃れをし続けています。
「ツナミ・ダンプ」が突っ込んで来るなんて思わなかった。
「想定外」だ! みんな「ツナミ・ダンプ」が悪いんだ! ー だって!
赤信号、みんなで渡れば怖くないって、横断歩道を渡っていたくせに、ネッ!
カク教授について一言付け加えると、アメリカの「水素の父」、エドワード・テラー博士に核兵器の研究をしないかと誘われた時、その申し出を蹴って理論物理学の道に歩み、いまの世界的な名声を獲得した人だ。日系のアメリカ人として核兵器づくりを拒否した人だ。
そんなカク教授が日本政府・東電が無責任な「想定外」発言をし続けていると知ったなら、日系人としてどんなたとえ話で批判することだろう。
安全対策を怠り、周辺住民を山脈の向こうの「山の彼方」に追いやりながら、いま、指先だけで崖っぷちにとりつき、懸命にぶらさがり続けている「フクシマ」・・・。
カク教授は番組で、「東電から主導権を奪い取り、物理学者とエンジニアからなる国際チームに与えよ。そして、その国際チームには自衛隊を動かす権限を与えよ」と提言した。
事態はそこまで来ている・・・。
※「第13章 カク・ミチオ教授の警告」の紹介は、本日で終了します。
引き続き「第14章 ミステリー」の紹介を始めます。
1回目の紹介は、「第14章 ミステリー」の”無音爆発映像のミステリー”を7/24(金)22:00に投稿予定です。