原発問題

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「毎時110マイクロシーベルトの中古車」高線量の中古車 流通

2011-12-17 11:50:02 | 放射能汚染

高線量の中古車 流通

基準越え輸出できず

高い放射線量の中古車が、全国を転々としている。うわさの車を追った。中古車業者の間で広まっている、ある情報を耳にした。高い放射線量で輸出できなかった中古車が、国内で流通しているという。その車の車体番号を聞き出し、運輸支局で記録を調べた。直近の所有者は、岡山県内の輸出業者だった。その会社を訪ねた。うわさの車、「いわきナンバー」のミニバンを購入したのは7月下旬。業者が車を売買する千葉県のオークション会場で143万円だった。

東南アジアに輸出するため大阪府に運び、8月に港で放射線検査をすると、国が定めた輸出コンテナの通報基準値(毎時5マイクロシーベルト)を超える毎時110マイクロシーベルトを検出した。「検査後は何度も除染して測定したが30マイクロシーベルトまでしか下がらなかった」と業者。その後どうしたのか。「国内で売ることにしたんです。うちも損するわけにはいかないですから」運輸支局で一時抹消登録をしてナンバープレートを外し、9月に大阪市内のオークションに出品したが売れず。翌週、神戸市内のオークションで121万円で売れた。

その後、関西周辺の業者の間で「手を出してはいけない車」(別の業者)として、車体番号がマークされるようになった。かりに毎時30マイクロシーベルトを1日2時間浴びたら、年間被爆線量は国が避難を促す目安の年間20ミリシーベルトを超える。

どこで汚染されたのだろう。記録を調べると、最初の所有者として福島県の自動車販売会社の名前が出てきた。東京電力福島第一原発から40キロ離れたいわき市にある、この会社の販売店が取り扱った車だという。店長に話しを聞いた。「いわき市内の男性が3年前に購入し、震災当時は仕事で原発近くに駐車していたと聞いた。男性は7月にローンの残金を払って、別の中古車業者に売ったらしい」今、この車はどこにあるのか。今月上旬、埼玉県内のオークションに出品されたが売れず、翌週、千葉県内で落札されたのが目撃されていた。オークション会社に落札業者を聞くと、「規則上、回答できない」と断られた。それを最後に、手がかりは途絶えた。

ナンバー外し 再登録・販売

輸出できない車が国内で流通していることについて、ある輸出業者は「氷山の一角」と断言する。「高い線量が出ると除染が大変なので、規制のない国内のオークションで売りに出す」こうした車を購入した業者がナンバーを再登録すれば、他地域のナンバーが店頭に並ぶ。過去のナンバーは車検証に記載されず、運輸支局で詳細記録を調べない限り分からない。

中古車輸出の規制はより厳しくなり、国内市場に舞い戻る車はさらに増えるという。8月以降、全国の港湾で全大検査が決められ、0.3マイクロシーベルト以上の車は貨物船に積めなくなった。日本湾運協会(東京)によると、全国で9月に基準値を超えたのは輸出社全体の約1%にあたる660台だった。

福島県内では中古車の安全確保の動きがある。福島市でオークション会場を運営する「JU福島」は全車の放射線量を検査し、毎時1マイクロシーベルトを超える車の出品を断っている。高い線量が検出されなくても福島県ナンバーが避けられる「風評被害」もある。福島市の中古車業者は「福島、いわきナンバーは県外で売れないので、車検期間が残っていてもナンバーを外し、関東に出品している」と明かす。

2011年10月24日 月曜日 朝日新聞 34面より

http://savechild.net/archives/10895.html


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