*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第7章 安全コード」を複数回に分け紹介します。1回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第7章 安全コード」の紹介
コンピュータによる事故解析モデルが示すもの
米西海岸、サンフランシスコの南東60キロを中心に「シリコンバレー」は位置する。その先端ハイテク研究エリアの真ん中にあるスタンフォード大学で、非公開のパネル討論が行われたのは、3月21日のことだ。
「フクシマ」で何が起きているかを探るパネル討論だった。出席者は招待者のみ。一般に公開されないパネル討論だった。
フランスの世界的な原子力企業、「アレヴァ社」傘下の小会社で、核燃料リサイクル部門を統括する「アレヴァNC」のアラン・ハンソン副社長が、パワーポイントを使ってプレゼンを行った。アラン・ハンソン副社長は原子力のエンジニア。スタンフォードには、客員研究員として滞在、研究活動を続けていた。
ハンソン副社長は、パワーポイントのスライド資料を上映しながら、こう語った。「今、わたしたちは明らかに、現代における最悪の惨事を目の当たりにしているわけです」
「3・11」から、わずか10日後。「フクシマ」が破局的なエスカレーションを遂げた直後のプレゼンだった。どのようなプレゼンだったか?
パワーポイント資料の作成者は、「アレヴァ」のマシアス・ブラウン博士。それをハンソン副社長が利用してプレゼンを行ったわけだが、その内容についてニューヨーク・タイムズは、以下の2点を挙げている。
・冷却水は低下し燃料棒は最大4分の3が露出
・炉心のピークの温度は、被曝のジルコニウムを溶かす2700℃に
つまりタイムズの記事がハンソン副社長のプレゼン内容として紹介しているのは、わずかにこの程度。プレゼンの全容をぜひとも知りたいところではある。
そこでネット検索で調べてみたら、スタンフォード大学で発表したものと同じものが公開されていた。それも、なんと、前章で登場したアーニー・グンダーセンさんのサイトに!
マシアス・ブラウン博士作成の「パワーポイント資料」が、そこに掲載されていたのだ、タイトルは「福島第一の事故」。スライド33枚で構成されたものだった。
早速、「パワーポイント資料」の中身を覗いてみることにしよう。
※続き「第7章 安全コード」は、7/6(月)22:00に投稿予定です。