続・山形そば黄門漫遊記

記載する情報は、一部のそば好きの食べ歩きによる個人的感覚の押し付です。嘘も少しはあるでしょうから文句はご勝手に。

そばの細道-山寺

2006年06月26日 | そばの細道

 かつて彼の芭蕉が立ち寄ったとされている山寺立石寺は、貞観2年(860年)清和天皇の勅願によって慈覚大師が開いたと言われる天台宗のお寺です。 奥の細道では『殊清閑の地也。一見すべきよし』と人々にすすめられて、尾花沢からわざわざ寄り道なさったと書いてあります。(注:”わざわざ”とは書いてありません)
まぁ現代ですとR13を車で小一時間の距離ですが、昔はそれなりに大変だったと思います。山沿いの村々をたどって、一日ではちょっと無理だったのではないでしょうか。思うに山寺よりも古い若松様経由であったのではと思われますが、そんな何百年も前のこと分かりっこないのです。 ところで、この若松様は和銅元年( 708 )に東国巡錫の旅の途中にあった行基菩薩によって開山されたと言われ、最上三十三観音の第一番札所霊場として、また『 めでためでたの若松様よ 』と花笠音頭にも唄われ、縁結びの観音様として有名なんであります。 ところで、こんなことを書いていたら、なぁーんと地元の新聞に天童市が芭蕉の歩いた道を観光資源として開発するなんて記事が出ていました。 好きな人は市役所にでも電話してみたらいかがでしょうか。 何でも芭蕉が座ったという”休石”もでっち上げられているようです。 オット言い過ぎ、こりゃウッカリだ。

 前にも申しましたが、そんな芭蕉が寄り道した頃が山形にそばが伝えられたといわれる時代です。 芭蕉さんがそばを食べたかどうかはしりませんが、そんな昔の『興味津々丸』君のようですので、たぶん食べたんじゃないかという思いなのであります。ただそれだけの話なのです。 そんなことを考えながら山際に近いほうを辿って来ると点点とそば屋が店を開いています。前編でお話いたしました水車そば(川原子)とか、それこそ若松様のところの松寿庵などです。

 さらに山沿いに進んでいくと近年開通した『フルーツライン』なる農道に出ることができます。その名の通りいろんな果樹畑のど真中を走るデラックス農道です。 「やれやれ税金高いわけだ」なんて言わないでズンズン行くと『じゃがら村』なる最近そっちこっちでよく見る”村おこし施設”風のドライブインというかなんていうか、とにかく目に付きます。 そばやうどんを出してくれますし、たまには餅つきして振る舞ってくれます、もちろん有料です。 あと当然ですが季節の果物や、近くで作った野菜なんかも直売しています。 安くはないと思ったら「もっとまげだらいいべしたぁ」(もっと安くしてくださいよ)と言ってみましょう。 保証はしませんが、なんかオマケがついたりすることが多いようです。 そばは多少なみがあるようで、美味い!日とイマイチかな?の日があるようですが、真夏のひと時はスーパードライがカバーしてくれます、はい。 車で数分登っていくと冷たい湧き水がありまして、道具材料持ち込みで素麺などをゆでていただくと最高の味がします。 ただしみんながきれいな水を求めてくるところですので、食べかすやゴミを残したりしないように、後始末は必ずキチンとしてください。
 ところで、この『じゃがら村』はその変な名前でスコーーーシ有名な『じゃがらもがら』のからとった名前で、車でさらに15~20分位登っていくとその珍しい地形を拝むことができます。どのように珍しいかはヤフーあたりで検索してみてください。 いわゆる姥捨て山の伝説があるところでいろんな話があります。 因みにそこからさらに歩いて登っていくと頂上付近に竜神の池(直径がなんと1,000ミリメートルくらいはある。Dr.スランプの”あっち池”??分かるかなぁこれ!)もある雨呼山(あまよばりやま)があります。なんとも不気味な頂上で昼なお薄暗く、景色は何も見えません。 どうでもいい話でした。
 じゃがら村を後に進んでいくと、山寺街道に出会います。いまのところフルーツラインはそこが終点(基点?)で、山寺までは10分くらいのところです。 昨年その途中にそば屋が一軒開業いたしました。 やまぶき という店で、そばは普通の田舎そばです。店の由来は若松様に咲くやまぶきなんだそうですが、若松様が特にやまぶきの名所と聞いたことはありませんのでなんかの思いなんでしょう。 もりと言わずにせいろと言っていますが、板そばもありますのでよく分かりません。 店はまだ新しくきれいで、愛想のいいお姉さんがてきぱきやってくれますので気分もいいもんです。 天ぷらの他に鰊がありまして、ビールにも良く合います。残念ながら天童なんで鴨入りのとりそばなんてものがありますので、減点1であります。ただしこれを言ったら山形の半分以上のそば屋が減点1となりますので、、まぁいいでしょう、しょうがないでしょう。
 そんなこんなでやがて山寺の門前に着きます。 何処もそうでしょうが、お土産物屋とか食堂なんかがズラリと並んでいます。 中にそばやが何件かありまして、それなりに頑張っていますが、なんと言っても観光地ですので天ぷらとか山菜とかとにかく何かが付いて少々高めになっているのは仕方の無いことなのでしょう。 賑やかなこともありますので、少々落ち着かない感じもします。 好き好きですからなんともいえませんがどっちかというと”観光地”を味わってください。
 大概の方はここで終わりで戻って行くことになります。 この先は二口峠を越えて宮城秋保温泉へ行く道と、面白山を通って天童高原とか田麦野へ行くことになります。 新緑や紅葉の時期は大変きれいなところです。 ただし数年前から前者のほうは車ではいけないようですのでご注意ください。 そういえば数年来の課題となってる面白山のそばはまだお目にかかっていませんし、話ばかりで田麦野のそばにもお目にかかっていません。サボっているんではないのですが、まぁいずれお話し申し上げます。