続・山形そば黄門漫遊記

記載する情報は、一部のそば好きの食べ歩きによる個人的感覚の押し付です。嘘も少しはあるでしょうから文句はご勝手に。

続 山形そば黄門漫遊記 その55  そばの脇道-ぶつぶつ 

2007年02月13日 | そばの脇道
 今年は黄門様も初めてというくらいの暖冬で、いいのか悪いのかわかりませんが雪のない冬になっております。 雪掃きの仕事が無くて大変な方が結構おられまして、今度の選挙は「雪降らしてくれた人に投票する!」などとかなわぬ戯言をほざいておるようですし、家電屋さんでも悲鳴というか何というかやり場のない声が聞こえてきます。 同じように日ごとに町中がぶつぶつ言い始めてきておりますが、一体どうなってしまうのでしょうか。  それにしても今年の冬は異常です。山形市内で2月半ばで雪が無いなんて始めてのことです。 恒例の”寒晒しそば”を冷水につける作業ですが、何でも水温が4~5度以上になると芽が出る?とかで早々に切り上げ、寒風にさらしてしまうのだそうです。そばにどういう影響が出るのか・・・・・・・・・・・・。
 漬け物が”すっぱく”なるのが早いようです。 「くぎな煮いっぱいつくるしかないべずねぇ」(”くきな煮”をたくさん作ることになるのでしょうなぁ)  ちなみに ”くきなに”とは、山形の名物に”青菜漬け”(セイサイズケ)という、まぁ信州で言えば”野沢菜漬け”みたいな物がありまして、その加工品とでもいうのでしょうか。 漬け物は何でもそうでしょうが時がたつと漬かりすぎたりして ”すっぱく”なってきます。簡単に言えば腐りかけてくるわけです。 山形ではこれを水で洗って漬けなおしたりするのですが、やっぱり ”すっぱく”なって行きます。 春が近づくともうだめです。 しかしこれは経験の世界です、賞味期限なんてくだらない言葉はないのです。 漬け直しを諦めて捨てるのかと思うでしょうが、自分で見て決めていい思ったらまた洗うのです。そして最後にはつぶした豆なんかを混ぜて今度は煮るのです。 粕なんかを入れる方もおられまして、いやいや家中が臭くなってしまうこともあります、たいした臭いがします。 皆ではないのですが好きな人は好きなのです、はまります。 癖になるような優れものがありまして、そうなると廃棄寸前のリサイクル料理とはとても思えないものになるのです。酒の肴にピッタシカンカン、まさに主婦の腕の見せ所だったのです。 断っておきますが、腐れかけた”青菜漬け”で作るのは”山形の知恵”でありまして、これを作る気で作ると立派な郷土料理になるのです。一鉢何百円もとられますぞ。 ヤフーなんかで”くきな煮”で検索してみてください。 ただ、当然のことですが食べ過ぎると飽きが来ます、漬け物と違って毎日は食べなくていい物なのです。 この春は多分このまま行くと、家でも、行きつけの飲み屋でも、あそこら辺りのそば屋でも・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 去年は大雪で、そばやおかずなんかの商売準備は当たり前のこととして、明けても暮れても”馬鹿みたいに”毎日毎日雪掃きとその片付け、屋根の雪も心配ですが、お客さん用の駐車場の確保は絶対条件。 しかししかし、せっかく朝掃いても昼前にまた一仕事、もう片づける場所もなくなってしまって、それでもなんとかしなきゃならないというので必死こいてひたすら努力、もう”くたくた”まで頑張ってはみたけれどそんな雪の中へお客は来ない。 でもやることはやらなければならないそば屋の運命。 しかしまた次の日も♪~雪は降る、お客は来ない~♪ このやるせない毎日の繰り返し。これじゃ体がまいってしまうということで今年は決断!『冬期休業』。 しかし、心配どおりというかやっぱり絵に描いたような裏目泣くに泣けないこの暖冬。 お客なんて気まぐれ、去年は今頃来る気もしなかったくせにやって来る。 「冬期休業! 何考えでんだが、こだいいい天気なのに、まったぐ」 (こんなにいい天気なのに『冬期休業』だなんて、どうしたものなんだろう) 吐き捨てるように無人のお店に言葉を投げかけて、せっかく来たお客が毎日毎日帰って行くようです。 なんということなのでしょうか・・・・・・・・・・・・・・。