一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第82期名人戦第3局2日目

2024-05-10 23:04:17 | 男性棋戦
第82期名人戦第3局、2日目である(主催:毎日新聞社、朝日新聞社、日本将棋連盟)。
藤井聡太名人の封じ手は、端に角を打つ手だった。ABEMA AIも第一候補の挙げていた手でさすがというよりない。ちなみに私はまったく見えず、こういうところがプロとアマの差なのだと痛感させられた。
それでも豊島将之九段は棒銀の進出を防げず、数手後、藤井名人は金銀交換と、竜作りに成功した。これにて一段落で、先手優勢。定跡書なら、これで打ち切りである。
しかし投了するわけにはいかないから豊島九段は指し継ぐしかないが、胸中いかばかりだったか。
対して藤井名人は、自分が優勢ということを自覚している。しかも持ち時間は豊島九段より3時間近く余している。すなわち悪手を指さなければ勝てるわけで、ここからの考慮は楽しい時間だろう。
しかもここが肝心なのだが、局面が考えやすいうえ、形勢がひっくり返る悪手が出そうにないのだ。
事実、ここから徐々に徐々に形勢が開いていく。豊島九段の指し手もAIの推奨手に合致しているのだが、形勢が悪いから、挽回できないのだ。
豊島九段の攻めが一息ついたところで、藤井名人が待望の反撃。と、ここで豊島九段が投了してしまった! 藤井名人、完勝で怒濤の3連勝である。
この直後、日本テレビでのニュースでは名人戦の原稿内容を差し替え、藤井名人の勝利を報じた。ただナレーションで「3連勝で防衛した」と言っていたのはご愛嬌である。
本局、藤井名人の指し回しが絶品だったこともあるが、豊島九段も精彩を欠いた。雁木は作戦だったと思われるが、用いるならどの攻め手にも対処してほしかった。棒銀でいとも簡単に粉砕されるなら、飛車を振ったほうがまだよかったのではないか。やはり第2局での逆転負けが尾を引いていたというしかない。
第4局は18日、19日に大分県で行われるが、豊島九段が勝てる雰囲気がまったくない。もはや第4局は、藤井名人の防衛劇を見るための儀式になりそうな気がする。
なお本局は豊島九段の形勢バーが20数%残っていたところで終了となったため、形勢グラフが離陸した飛行機ように、なだらかな一直線だったという。羽田空港での対局、大成功だった。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第82期名人戦第3局1日目

2024-05-09 10:33:53 | 男性棋戦
テレビ東京で6日に「ミッションインポッシブル・フォールアウト」の放送があった。放送3時間の大作で、私は録画予約をしておいたのだが、8日に見ようとしたら、なぜか1時間半しか録れておらず、愕然とした。
録れなかった理由は分からない。ただ私に運がないだけだ。
半分だけ見てもしょうがないので、泣く泣く削除した。くそっ!!

   ◇

ゴールデン・ウィークが終わり、世間は平常運転に戻る。8日からは第82期名人戦第3局である(主催:毎日新聞社、朝日新聞社、日本将棋連盟)。ここまで藤井聡太名人の2勝。挑戦者の豊島将之九段は、いまさらながら前局の逆転負けが痛かった。勝ってイーブンと、負けて2ゲーム差では天と地の差で、私が豊島九段の立場だったら、戦意を喪失している。しかし指さねばしょうがない。
第3局の対局場は羽田空港第1ターミナルで、空港での対局は史上初。どういう経緯でここが選ばれたのか分からぬが、将棋を指そうと思えばどこでも指せるのだと感心した。
空港へのメインルートは浜松町から出ている東京モノレールで、この路線は他路線と独立しているため、ダイヤの遅れがまったくない。よって浜松町駅の場合、モノレールの出発は「00秒」キッカリである。数秒は遊びがあるだろうとのんびりしていると乗り遅れる。
空港といえば飛行機だが、飛行機好きには第3ターミナルをオススメする。モノレールを降り、構内を5分も歩けば、展望デッキに出られる。世界の航空機が見られ、時間の経つのを忘れる。
第1、 第2ターミナルへは1階0番乗り場から無料シャトルバスが4分ごとに出ているので、利用したい。
さて、将棋である。本局は藤井名人の先手。立会人・佐藤康光九段の合図でスタートした。藤井名人は初手・お茶である。たまたまABEMAを生中継で見たのだが、本当にお茶をすするのだなと思った。
本当の初手は飛車先の歩を突いた。豊島九段は角道を開ける。これがちょっと意表で、ふつう?は飛車先の歩を突く。これだと角換わりルートだが、豊島九段はそれを避けたわけだ。
藤井名人、角道を開ける。すると豊島九段は角道を止める。これは振り飛車の出だしで、ABEMA解説の山川泰熙四段は、「まさか?」とうれしそうだ。
しかし豊島九段は10手目、飛車先の歩を突いた。やはり。最近は試験的に振り飛車も指す豊島九段だが、この大舞台で指すには実戦が足りない。相居飛車は当然の選択であった。
以下、豊島九段は雁木に構える。数年前は爆発的ブームになったが、最近は下火に思える。というか、定着して落ち着いてきたということか。
藤井名人は右銀を素早く繰り出し、棒銀の構え。そこから豊島九段は角を換わったが2筋の薄さに変わりはなく、長考が続く。
窓外には飛行機の発着が見えるらしい。飛行機は繊細な乗り物で、風の向きで飛び立つ方向が違う。
豊島九段は3筋に歩を謝ったが、こんなところに歩を打って、後手がいいわけがない。
そこで素人考えでは先手が3筋を押さえ、ふつうに銀を進出させて十分に思った。
果たして藤井名人もそう手を進めた。藤井名人、2筋を凹ませて、45手目を封じた。私だったら2筋を強引にこじあけるが、ABEMA AIは端に角を打つ手を推奨している。形勢は微差で先手よし。
藤井名人、ここは考えやすい局面だろう。豊島九段は正念場である。
(つづく)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第4期白玲戦・女流順位戦A級・B級7回戦の結果

2024-05-08 12:49:27 | 女流棋戦
第4期白玲戦・女流順位戦A級・B級の7回戦が7日に行われた。いよいよ終盤戦に突入し、明暗がハッキリしてきた。では、結果を確認しよう。

■A級7回戦■
(優勝者は白玲挑戦、降級2名、持ち時間・3時間)
【6勝】
①福間香奈女流五冠(○加藤圭→加藤桃→伊藤)
【5勝1敗】
②伊藤沙恵女流四段(○山根→石本→福間)
【4勝2敗】
③加藤桃子女流四段(○塚田→福間→渡部)
⑨石本さくら女流二段(抜け番→伊藤→山根)
【3勝3敗】
⑤上田初美女流四段(○渡部→山根→塚田)
【2勝4敗】
④山根ことみ女流三段(●伊藤→上田→石本)
【2勝5敗】
⑥加藤圭女流二段(●福間→塚田→抜け番)
【1勝5敗】
⑧塚田恵梨花女流二段(●加藤桃→加藤圭→上田)
【1勝6敗】
⑦渡部愛女流三段(●上田→抜け番→加藤桃)

福間女流五冠、伊藤女流四段、加藤桃女流四段が盤石の勝利。福間女流五冠の挑戦は確定に見えるが、8回戦に加藤桃女流四段、最終戦に伊藤女流四段戦が残っているのが微妙だ。加藤桃女流四段はちょっと届かないっぽいが、伊藤女流四段はプレーオフに持ち込める可能性がある。
ただしそうなっても伊藤女流四段は再び福間女流五冠と戦うことになり、福間女流五冠が有利なことに変わりはない。
降級のほうは、渡部女流三段が決まってしまった。順位戦はA級を外れると、次期の挑戦争いから外れてしまうのがつらい。

■B級7回戦■
(昇級3名、降級3名、持ち時間・3時間)
【6勝1敗】
⑨和田あき女流二段(○北村→武富→伊奈川)
【5勝2敗】
③鈴木環那女流三段(○武富→伊奈川→香川)
⑤香川愛生女流四段(○中井→室田→鈴木)
⑧伊奈川愛菓女流二段(○中村→鈴木→和田)
【4勝3敗】
⑦野原未蘭女流初段(●室田→中井→北村)
【3勝4敗】
①中井広恵女流六段(●香川→野原→中村)
⑥室田伊緒女流二段(○野原→香川→武富)
【2勝5敗】
④北村桂香女流二段(●和田→中村→野原)
⑩武富礼衣女流初段(●鈴木→和田→室田)
【7敗】
②中村真梨花女流四段(●伊奈川→北村→中井)

和田女流二段が6勝目。もはや昇級は確定っぽいが、順位が悪いので、まだ決まらない。
伊奈川女流二段は5連勝で、4番手に浮上した。医師・伊奈川女流二段が逆転昇級すれば愉快だ。
中村女流四段は元気なく、7連敗で降級が確定した。A級では渡部女流三段の降級が決まったが、新婚さんは受難だ。
8回戦は6月14日。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タイトル戦21回の戦績

2024-05-07 23:19:23 | 将棋雑記
藤井聡太竜王・名人は現在22回目、23回目のタイトル戦を戦っているが、その前までの21回は全勝である。タイトル戦の勝敗が五分と考えると信じられない戦績で、藤井竜王・名人のケタ違いの実力が分かる。
これまで21回以上タイトル戦に登場した棋士は12名いるが、では、藤井竜王・名人以外の11名は、タイトル戦21回の時点で、どんな戦績だったのだろう。ちょっとまとめてみた。なおカッコ内は、個別の勝敗を合わせたものである。

藤井聡太竜王・名人 21-0(74勝15敗.831)
羽生善治九段 18-3(66勝34敗.660)
中原誠十六世名人 16-5(67勝36敗.650)
渡辺明九段 15-6(63勝39敗.618)
大山康晴十五世名人 15-6(67勝42敗.615)
谷川浩司十七世名人 13-8(62勝45敗.579)
森内俊之九段 11-10(53勝55敗.491)
佐藤康光九段 8-13(46勝63敗.438)
升田幸三実力制第四代名人 7-14(53勝64敗.453)
加藤一二三九段 7-14(47勝62敗.443)
米長邦雄永世棋聖 4-17(41勝70敗.369)
二上達也九段 2-19(31勝72敗.301)

藤井竜王・名人の「74勝15敗.831」が凄まじい。タイトル戦に出てくる棋士は一流ばかり。それなのにその勝率が、現在の通算勝率.841とほぼ同じだ。要するに藤井竜王・名人は、誰が相手でも関係ないということだ。ひとりだけレベルが違う気がする。
羽生九段の戦績も素晴らしい。ただそれでも、個別の戦績だと勝率が.650にガクンと落ちてしまう。これでも4勝2敗ペースだから誇れるのだが、上がすごすぎる。
以下はご覧のとおりだが、注目すべきは、タイトル戦の勝敗と個別の勝敗が、ほぼ比例しているということだ。二上九段などは悲惨な戦績だが、タイトル戦に登場すること自体が尊いことを、忘れてはならない。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

棋士の名前の芸能人

2024-05-06 23:36:48 | プライベート
苗字と下の名前が棋士のそれ、という芸能人、有名人を挙げてみる。今回は有名人、棋士とも、男性を対象とした。棋士には故人もいる。

・青木功(プロゴルファー)…青木清七段、中田功八段
・有吉弘行(タレント)…有吉道夫九段、三浦弘行九段
・井上純一(俳優)…井上慶太九段、加瀬純一七段
・加藤歩(ザブングル)…加藤一二三九段、松尾歩八段
・神谷明(声優)…神谷広志八段、渡辺明九段
・北島康介(元水泳選手)…北島忠雄七段、田村康介七段
・北島三郎(歌手)…北島忠雄七段、武市三郎七段
・黒田勇樹(俳優)…黒田尭之五段、藤倉勇樹六段
・近藤真彦(歌手)…近藤正和七段、浦野真彦八段
・佐々木誠(元プロ野球選手)…佐々木勇気八段、中原誠十六世名人
・高橋陽一(マンガ家)…高橋道雄九段、櫛田陽一七段
・佐藤義則(元プロ野球選手)…佐藤義則九段
・中川大輔(俳優)…中川大輔八段
・長谷部誠(元プロサッカー選手)…長谷部浩平五段、戸辺誠七段
・藤井隆(タレント)…藤井猛九段、阿部隆九段
・前田健太(MLB選手)…前田祐司九段、宮嶋健太四段

こんなところか。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする