一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第6期女流王座戦第2局

2016-11-03 22:57:05 | 女流棋戦
昼のフジテレビ「バイキング」は、数々のリニューアルを重ねて、現在―昼からの1時間―は、もはや討論番組になっている。
昨日チラッと見たのだが、高樹沙耶容疑者の話題をまだやっていたのであぜんとした。
高樹容疑者が逮捕されたのはずいぶん前だぜ。他人の不幸は蜜の味で、番組が引っ張りたいのは分かるけど、もう新鮮味がない。坂上忍も、もうコメントを出し尽くした感じだろう。これだからフジテレビは視聴率がわるいのだ。
ちなみにその時間、日テレの「ヒルナンデス!」は、東京藝術大学の構内巡りをやっていた。この斬新な企画はどうだ。学長まで駆り出して、やってることがスゴすぎる。日本テレビとフジテレビ、もう、見ている方向が違うのである。

   ◇

今日は女流王座戦五番勝負。里見香奈女流四冠先勝を受けての第2局である。タイトル戦は通常、挑戦者が初戦に勝ったほうがおもしろくなるが、このシリーズはちょっと違う。
今期の挑戦者は奨励会三段、女流四冠、今年度の女流棋戦全勝、と三拍子が揃って最強で、本局に加藤桃子女流王座が負けるとタイトルはほぼ絶望、という状況なのだった。
ところで今日は祝日。私は、タイトル戦は土・日にやるべし、と25年以上前から訴えてきた、そして先日の竜王戦を見るまでもなく、土日祝日開催が市民権を得つつあり、私はうれしい。
さて対局。先番里見女流四冠は先手中飛車。先手番なので居飛車もあるかと思ったが、キッパリと振った。里見女流四冠も加藤女流王座の実力を知り尽くしているので、居飛車で行く余裕などないのであった。
私は外出したので、ここからはスマホでチラチラ見る。
加藤女流王座は穴熊に潜る。里見女流四冠が中央突破を図っているのでそのいとまがないように思ったが、居飛車党には穴熊神話が健在なのだろう。
里見女流四冠、49手目に飛車を切って▲7一角成。通常は穴熊側がやりそうな大駒切りである。しかし本局はこれで振り飛車が優勢に見えるから不思議だ。これが奨励会三段の信用というものか。
65手目▲7五角が飛車金両取り。アマ同士ならこれで勝負あった、というところ。しかし加藤女流王座は△3二金打と入れる。▲8四角で飛車は取られるが、この瞬間が甘いという大局観だ。
加藤女流王座は、△5六桂~△4八歩と間隙をぬって反撃する。▲3九金に△4九銀と進んでみると、後手角損での攻めながら、かなり迫力がある。居飛車は金銀三枚の穴熊だし、アマ同士なら居飛車が勝つのではないか、の雰囲気すらある。名局は一手指したほうがよく見えるというが、その通りだ。
里見女流四冠は▲4四桂。受けていてはキリがないので、ここで反撃ということか。はあ~。
対して加藤女流王座、もったいないようだが、△5五金と角をしかる。△3一金ではダメなのだろうか。対して里見女流四冠、▲3二桂成と金を取らずに▲5一飛。もう何がなんだか分からなくなってきた。
ここら辺の折衝は何というか、私レヴェルのアマには発想もしない手の続出で、私はただただうなるばかりであった。
里見女流四冠、▲4三銀。これも華麗な捨て駒で、取れば後手玉が寄るのだろう。

次にスマホを見た時は、もう終わっていた。これは里見女流四冠が勝っただろう。再生すると、95手目▲4三金まで、里見女流四冠の勝ち。その1手前、△4一金が一手を稼ぐ手筋だったが、実らなかった。
かくして里見女流四冠2連勝。体調はよく分からないが、将棋にブレはないようで、完璧な指し回しと感じた。
加藤女流王座は後がなくなったが、そこは百戦錬磨の女王である。このまま簡単には終わらないだろう。
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3 コメント

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穴熊より固い美濃? (T)
2016-11-04 13:00:33
私もこの対局中継を観戦していましたが、
途中の59手目の▲4三金で、この将棋は実質的に終了したと思いました(笑)。

後は、どう勝ち切るのか注目してましたが、
角を取って▲7五角の飛金取りは意外でした。
5三の銀の方を取ればもっと楽勝だと思っていましたから。

▲7五角は、ご指摘の通り飛車を取らされた感があるので、
少し寄せが遠のき、差が詰まった印象でした。
それでも駒得は大きく、先手勝勢には違いないと思ってましたが。

79手目の▲5一飛が勝利の決め手のようです。

ご指摘の△3一金は▲3二銀又は、
いきなり▲3一飛成の強襲もありそうです。
▲5四馬なら△4一金打で少し粘れそうなんですが・・
△5五金は角道を止めるために仕方がなかった感じでしょうか。

△4九銀には確かに適当な受けはありませんが
この筋は見た目ほど厳しくはありません。
先手玉は一見危ないようでも、かなり安全でした。

△5八銀成はその瞬間が甘く、
△4九歩成~△3九とや△4八とが
間に合う展開でないと厳しくありません。

だから、攻めが続くなら飛車も切れる展開でした。
仮に△7九飛の2枚飛車でも▲4九銀のような手筋の受けが効きます。

▲4三銀は穴熊を寄せる筋。
この手があるから、先に▲5一飛は効果的でした。

穴熊より、先手の美濃の方が固い?という
不思議な展開でした。

王様の固さは、条件次第でいくらでも変わるということを
感じられた貴重な将棋だったと思います。
里見さんの的確な寄せが光りました。

この将棋は44手目の△8六歩が加藤さんの敗着で
45手目の▲4四角を許してはいけなかったようです。
返信する
奨励会員 (田楽)
2016-11-04 13:21:14

 勝負的に面白くないし、奨励会在籍者と女流プロの位置付けが、公正に見えないし、私は殆ど関心はありません。

 奨励会の段位者3名の中で、奨励会三段と奨励会初段のタイトル戦など・・・。

 日曜重大対戦は、他のエンターテインメントの世界
では当たり前の事。プロ将棋界は、遅れていると前々から思っていました。
返信する
奨励会員の実力 (一公)
2016-11-05 02:52:11
>Tさん
私の目には、激戦に映りました。
△4九銀には、私だったら▲同銀と取って負けていたでしょう。
こういう時はさわらず、攻め合い一手勝ちを目指すのがいいんですね。勉強になりました。
それにしても、△8六歩が敗着とは、プロの将棋は恐ろしい。もう、レベルが違いすぎます。

>田楽さん
奨励会員同士のタイトル戦を主催社が望んでいたとは思いませんが、まあ、そうなりますよね。
タイトル戦は、今後も土日を中心に行ってもらいたいと思います。
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