一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

15歳7ヶ月の将棋(後編)

2018-02-21 00:44:01 | 将棋雑記

第6図以下の指し手。▲4一銀△6二玉▲5一角△7一玉▲3六歩△同飛▲3七歩△7六飛▲7七銀△7五飛▲8四角成△7三銀▲7五馬△同歩▲5二銀不成△7六歩(第7図)

この将棋は先輩が何人かギャラリーで観ていたはずだが、あまり記憶にない。
現在の目で見ると、第6図では▲4三成桂がある。対して△6二玉は指せないので△4三同玉だが、以下▲6一角△5二銀(△3二玉もある)▲3六歩△同飛▲3七歩△7六飛▲7七銀△2六飛右に▲3四銀(参考3図)でどうか。

これは攻守ところを変えて、先手が一手勝ちしそうな雰囲気だ。
だが私は▲4三成桂に気付かず、▲4一銀と打ってしまう。対して△6二玉がやや軽率だったか。私はすぐ▲5一角に飛びつき3三の成桂にヒモをつけたが、これも甘かった。
ここは黙って▲3六歩だった。これに△3三飛は▲5一角があるので、後手はこの成桂は取れない。つまり、焦って▲5一角を打つ必要はなかったのだ。
本譜、私は▲3六歩から飛車道を止め、△7五飛まで。ここで角が手持ちだったら、▲8四角から王手をする。以下△7三銀▲7五角△同歩となった時、後手玉が6二なので、まだ綾があった。本譜は後手玉を7一に逃したのが大きいのだ。
この△7一玉の局面でも何かないかと手を探したが、結局▲8四角成とするしかなかった。
少年は△7三銀と壁銀を立て直す。これが大きな手で、完全に後手がよくなった。
▲7五馬△同歩。ここで歩が豊富にあれば▲7四歩△同銀▲7三歩が候補に挙がるが、1枚ではしょうがない。▲5二銀不成はこんなものであろう。
そして△7六歩の応手は?

第7図以下の指し手。▲8六飛△8五歩▲7六飛△5四角▲4三成桂△7六角▲同銀△1九飛成▲5三成桂△6二香▲5四角△5六歩▲6三成桂△同香▲同銀不成△同金▲同角成(第8図)

第7図でまたも私は▲8六飛、と守りに大駒を打った。これが▲6一金までの詰めろで、対局中は先の▲4三成桂に気付いていなかったから、あのヒドい将棋をここまで挽回したことに満足していた。
とはいえ▲8六飛はいかにもつらく、現在の私なら第7図ではふつうに▲7六同銀と取る。以下△5四角でも△5五角でも、▲7七歩で先手に不満がないだろう。
せっかく流れが変わっていたのに、ここは失敗した。
本譜はそれでも△8五歩▲7六飛△5四角に▲4三成桂が粘り強い活用で、私も劣勢ながら、すべての駒を働かせている。十分に初段の棋力はあったと思う。
少年は飛車を取って△1九飛成だが、緩い感じ。ここでもまだ△2七銀があったと思うが、少年の頭(もちろん私も)にはこの筋がないのだからしょうがない。
私は▲5三成桂~▲5四角と攻めるが、△5六歩が厳しい反撃だった。ハゲ頭の脳天を直撃するような手で、私が5筋の歩を取ったから生じた筋だ。
これは受けてられないので、私は▲6三成桂から▲同角成まで、再び後手玉に詰めろを掛けた。

第8図以下の指し手。△5七歩成▲同玉△5六歩▲6八玉△5七銀▲7七玉△7二銀▲6四香△6二歩▲7四歩△6三歩▲7三歩成△同桂▲7四歩(第9図)

△5七歩成が当然ながら厳しい。しかし即詰みはなく、▲7七玉に少年は△7二銀と入れた。これで私が僅かに足りないが、私は▲6四香と繋いで頑張る。ここ、単に馬を逃げる軟弱な手を指さなかったのは、我ながら素晴らしい。
少年は△6二歩。ここは△5五角▲6六金△6四角もあったが、△6二歩も冷静だ。少年も攻めより受けが得意なようだ。

第9図以下の指し手。△5五角▲6六銀△同銀成▲同歩△6五桂打▲8八玉△6六角▲9八玉(終了図)
まで、127手で指し掛け。

少年はまたも天王山に△5五角。以下数手進んで▲9八玉まで。

ここで少年が熟考しているうち、指導対局の準備をすることになり、指し掛けとなった。
私はこの局面、まだ先手に逆転のチャンスはあると思ったが、観戦していた先輩は「後手は大駒を持っているし、後手が勝ちだと思う」という見解だった。
終了図で攻めるなら△6七銀くらいか。しかし詰めろではないので▲7三歩成は入る。また▲7九金打と守る手もあり、以下△7八銀成▲同金△6七金▲7九金打は千日手だ。

ともあれ以上が、私の15歳7ヶ月当時の将棋である。
今回36年振りに並べ返してみて、おのが指し手に読みが入っておらずメチャクチャなところはあったが、随所に私らしい手も入っていて、感心する手順もあった。若さはじける高校生の私に再会でき、とても懐かしかった。
世の中に記録物は種々あるが、自分のかつての「プレイ」をそっくり再現できるのは、将棋ならではである。
36年前の自分に、ありがとう。

   ◇

藤田綾先生、ご結婚おめでとうございます。
何となく結婚しそうな予感がしていました。
末永くお幸せに。
コメント
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