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感染症診療の原則

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EUにおけるHPVワクチン

2010-11-26 | Aoki Office
HPVワクチンが米国FDAに認可されたのは2006年。

その後ヨーロッパでは各国が国の予防接種プログラムに導入しています。
その対応はかなりばらつきがあることが、ECDCの調査でも把握されています。

接種がはじまったら、接種率(分母と分子)のモニタリング、流行しているHPVのモニタリング、最終的にはCINやがんの発症率にどのような影響があるのかを観察し続けることが求められます。


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Eurosurveillance, Volume 15, Issue 47, 25 November 2010
Rapid communications
The current state of introduction of human papillomavirus vaccination into national immunisation schedules in Europe: first results of the VENICE2 2010 survey
http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19730
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ECDCはEU27ヶ国+アイルランドとノルウェーの29ヶ国の予防接種プログラムにHPVワクチンがどのようにいちづけられているかを調査。

2010年7月現在、HPVワクチンを推奨しているのは21ヶ国。
国の予防接種プログラムに導入したのは18ヶ国。

ワクチン施策は対象年齢、接種のインフラによって異なっていた。
導入されていない国では経済的な側面が課題となっていた。

この調査はECDCの予算で行われているVENICE(Vaccine European New Integrated Collaboration Effort) 2 プロジェクトと名付けられている。
これまでに2007年と2008年にも実施。

国のプログラムに導入された歴史は、2006年:オーストリアのみ、2007年は7ヶ国(ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペイン、イギリス)。2008年も7ヶ国(デンマーク、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルグ、ノルウェー 、ルーマニア、スウェーデン)、2009年は3ヶ国(ラトビア、オランダ、スロベニア)。
18ヶ国のうち、9ヶ国はルチン検査に位置づけている。

男子にも接種をしているのはオーストリアのみで、残りの国は女子のみを対象としている。

公的な部門で接種をしているのはデンマーク、イタリア、オランダ、ポルトガル。

学校保健サービスで提供をしているのはアイルランド、ノルウェー、スロベニア、スウェーデン。

公的部門/学校保健サービス併用は、ラトビア、ルーマニア、スペイン、イギリス。

のこりの5ヶ国はお主にプライベートセクターでの接種が行われていた。

18ヶ国中15ヶ国では自己負担なしで接種が可能。
ベルギーとフランスでは一部自己負担または保健がカバーする仕組。
全額自己負担はオーストリアのみ。

接種年齢で接種できなかった人のキャッチアップ接種は9ヶ国中7ヶ国では無料、2ヶ国では当事者負担あるいは保険でカバー。

HPVワクチンが予防接種プログラムに導入されていない背景としては、
11ヶ国中9ヶ国は、経済的な問題を、また2ヶ国はワクチンの効果の期間や、現在のスクリーニングプログラムのもと、疫学的なインパクトが不明確であることを理由としてあげた。

18ヶ国中13ヶ国では予防背shすのモニタリングを行っているが、このうち7ヶ国のみが接種率のデータを保持していた。13ヶ国中の6ヶ国ではまだデータを把握していなかった。

ルチン接種をしている国では、2010年には17%~81%の接種率となっていた。

17-30%と低接種率にとどまっているのは、フランス、ルクセンブルグ、ノルウェー。
デンマークは56%、イタリアは58%。ポルトガルは80%、英国は81%。

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日本はなぜか公費負担の話ばかり先行し、全額自己負担だけど保証は定期とは異なる、というあたり医療者だけの説明では難しいことがあるかもしれません。

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