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練習・演習・訓練のちがい

2009-06-10 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
厚生労働大臣のコメントはよく報道されます。健康局長は先日の参議院予算委員会(危機管理)で発言をしていました。
そして、新型インフルエンザ対策推進本部事務局長のコメントがメディアにありました。

全国自治会HP 6月8日の委員会の様子と配布資料等。11名の知事が出席。
http://www.nga.gr.jp/news/2009/post-413.html

疑似患者「感染確定まで黙っていられなかった」厚労省事務局長
(6月 8日ロハスメディカル)
厚生労働省で新型インフルエンザ対策にあたっている麦谷眞里・新型インフルエンザ対策推進本部事務局長は8日、「(横浜市の高校生の事例など感染していないにも関わらず厚労省が発表を行った事例について)PCR検査で感染確定する前に公表したのは、検査に数時間かかる。それ迄、黙っていることが、世の中に対してマスメディアに対して、できない状況だった」と述べた。
http://lohasmedical.jp/news/2009/06/08152724.php

「机で計画立ててもできないことある」厚労省事務局長
(6月8日 ロハスメディカル)
新型インフルエンザについて話し合う都道府県知事会の社会文教常任委員会が8日開かれ、厚生労働省に対して「机上の空論ばかり作るな」(大澤正明・群馬県知事)など批判する声と、対処方針の速やかな修正を求める意見とが相次いだ。厚生労働省から出席した麦谷眞里・新型インフルエンザ対策推進本部事務局長は「机の上で作っても、現実にはできないことがあるということが、恥ずかしながらやってみて色々と分かってきた。H5型の練習を随分できた。不幸中の幸いかなという認識だ」と釈明
http://lohasmedical.jp/news/2009/06/08162519.php

事務局長は以前、保険医療局エイズ疾病対策課課長のときに、研究班会議でよくお名前をききました。そのあと保険局医療課長、やWHOに異動した話をきいていましたが、今回新型インフル関連の仕事をされているのだと初めて知りました。

上記、事務局長コメントに『H5型の練習を随分できた』とあります。
同じようなコメントを各地でききます。
しかし、違和感もあります。
練習になったのではなくて、何が問題だったのか基本的なことがわかっただけなのではないか?と考えています。
もっと致死率や感染率の高い感染症だったら今回のような対応だと被害が大きくなるんじゃないか・・・。

それで思い出したのが、Leo Bosner先生のお話です。

Bosner先生は米国の危機管理庁(FEMA)で災害やテロ対策等で危機管理の専門家として勤務をされてきました(現在はお辞めになっています)。

研究班の招聘で何度か来日され、そのとき「講演を日本語でしたい!」というご希望がありました(実際日常会話は問題ないくらいです)。

先生のスライドや資料を日本語にし、日本人参加者からの質問を翻訳して伝え、スピーチ原稿の読みあわせをするときに先生から指摘されたことに、日本語の「訓練」「演習」はあまり厳密に使い分けられていないのではないか?ということがありました。

【演習】
物事に慣れるため、繰り返して習うこと。練習。けいこ
軍隊などで、実戦に備えて同じような状況を想定して行われる訓練。また、その訓練を行うこと
【訓練】
あることを教え、継続的に練習させ、体得させること。
能力・技能を体得させるための組織的な教育活動
【練習】
技能・学問などが上達するように繰り返して習うこと

英語でもexercise, practice, training, drillなどがあります。

まず、学校で地震・火事を想定して行う避難訓練を例に「訓練」を説明しました。

聞きながら苦笑いされ、「シナリオ以外の状況についてどうするかは別途学習するのか?」といわれました。

Bosner先生がプロや行政の責任者にしている教育は、想定どおりに人や組織を動かすことではなく、さまざまな状況下で臨機応変に対応する柔軟性や優先順位を判断する訓練、その権限の明確化、指揮系統の整備でした。

危機管理の研修資料としていといろな教材をお持ちでしたが、危機管理で重要なのはマニュアルではなく、複雑な因子のそれぞれが変化したときにどう迅速に対処するのか、その判断・決定のプロセスをどうするか。

「マニュアルは平時のくりかえし業務にはむいているけどね」とのことでした。

このコマンドシステムについてはまた別途ご紹介いたします。
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