患者さんたちから届く情報をもとにするとさらに10くらいかけそうですが、失われた20年の歴史編は暗~いので、とりあえずこの辺でやめておきます。
最後に医療現場のことを書いてみたいと思います。
子どもへのHBVワクチンを希望する保護者に対して、医療者が「ワクチンが必要なのは医療者だけですよ」「海外にいかないなら不要」(・・デマです)と答えたりしている2011年の今、当の医療現場ではHBVワクチンはどうなっているのか?です。
まず医療者のみなさん。接種済みですか?
大きな病院には感染管理部門や医療安全部門がありますが、そこが職人の接種状況を把握していますか?
実習にきてパタパタ動き回っている医学生や看護学生は接種済みですか?(必要なのはHBVワクチンだけじゃないですが)
売店の販売員や清掃の人はどういう状況かご存知ですか?
連携している介護施設で働く人ははいかがですか?
例えば、JCI認定は亀田総合病院がまず国内第一号、次にNTT関東が取得しましたが、今年度複数の病院がアプライするときいています。この認定を取る際にも、感染管理のレベルとして、病院で働く人たちの免疫状況の把握が項目にあげられています(ワクチンするかどうかはその業者の責任者の問題)。
Joint Commission International
突然、麻疹や水痘のアウトブレイクがおきたときに、「さーて、職員のワクチンステイタスから調べるよ~」なんて悠長な調査やってられませんしね。
直接患者ケアに関わる(体液等に触れる可能性がある)・医療廃棄物に関わるような人は全員HBVワクチンを接種していると思いますか?
こたえはNOです。まず法律で決まっているわけではありませんし、「一般の人と違うリスクもあるんだし、やったほうがいいですぜ」ということを誰がどこまで知っているか?です。
検査やワクチンに費用がかかるため、経営者や事務方に説明するために「お墨付き」・「標準化」できれば厚生労働省の課長さんのお手紙などがほしいところです。
労災関連の通知はあります。
「労災保険におけるB型肝炎ワクチンの取り扱いについて」平成16年3月30日 労災補償部補償課長
消防庁救急救助課長の通知 昭和63年5月
・・・(中略)感染危険が予想される職 員すべてに対してワクチン接種を行い、B型肝炎感染防止に万全を期す るよう周知徹底するとともに、とりわけワクチン接種未決定の消防本部 においては、可及的速やかに接種を実施するよう、よろしく御指導願います。・・・
日本では「学会」がガイドラインを出しています。感染管理担当の人はこれを活用して院内ワクチンポリシーを策定しているのではないかと思います。(無視する根拠はない。全く知らなかったらそれはそれで問題になりそうな)
『院内感染対策としてのワクチンガイドライン』第1版 日本環境感染学会 平成21年5月
事故が起きた時に先に必要と思われる対策をやってたんですか?が問われます。
損害保険会社は肝炎やHIVも補償するらしい。 「医療・介護事業者向けの保険 - 感染症対応任意労災プラン」
この場合ワクチンは必須なんでしょうかね。
日本における有病率(米国CDC作成の図) 日本に長期滞在する米国人はHBVワクチンを接種するよう推奨されています。
医療者には業務上の特別な感染リスクがあります。
HBVはHIVの約100の感染力・・・と学習をします。学生は一度驚きますが、「ワクチンがある」ことを知り、その必要性も学びます。(しかし全員が接種してはいないのが課題)
ワクチンをしていない場合、針刺し事故など高い感染リスクを負うことになります。
昔、医療者が劇症肝炎で亡くなり大きなニュースとなり、国立病院のスタッフは公費でのワクチン接種が行われました。
B型肝炎医療機関内感染対策ガイドライン財団法人ウイルス肝炎研究財団 1987年 によると、予防のためのワクチンが記載されています。(しかし法的根拠などではありません)
2011年11月現在の厚生労働省のHPをみると、接種しておいた方がいいよと書いてあります。
施設の責任者がこれをみて費用をだしましょうとなれば特に問題なく。
問題が発生した時のコスト、感染が成立したあとの健康問題を考えるとワクチン大事だねという話になっていくはずなんですが。
雇用主に対して絶対にやらないとダメだよ、とは書いていません。
米国の労働安全を扱うOSHA(おーしゃ)はこれをルールにしています。
医療者に徹底されたあと、医療者の急性B型肝炎は激減しました。
こういったモニタリングデータがあることが政策立案・予算化の強み。
日本はどうでしょうか。
平成14年の話ですが、実施していないとか自己負担のところも一定数あります。
医師や看護師は接種している医療機関はあるのですが、病棟実習にきて同じようなケア・診療を行う医学生や看護学生はどうでしょうか。
10年以上前ですが、看護学校の状況を調査した方がいます。
そして実際には血液曝露事故なども同じように起きています。感染防御の知識や実践力が不足している分リスクがあるといえます。
現在、感染管理担当者のいる病院では、実習を受け入れる際に、職員と同レベルの感染管理対策を求めています(当然のことながら費用は学校や学生個人の負担です)。
感染管理担当者は施設内のワクチンポリシーを作り、出入り業者や実習受け入れ校の責任者に事前に安全管理基準として示し調整をすることが必要になっています。
「きいてなかった」とか「教えてもらえなかった」ということにならないためです。
そしてこれは医療者や従業員を守るだけでなく、安全な患者ケアを提供するために必要なことであり、もちろんHBVワクチンだけの話ではありませんね。
HBVワクチンを学生がしないと判断する場合は、リスクの説明を受けたうえでの辞退であることを保護者のサインと一緒に得ておくことも必要になってきます。(原則実習に行かせないという学校もあるそうです)
最後にもう一度、CDC作成、有病率の世界地図。
スライド希望の方はブログ編集部あて(左記アドレス)にお問い合わせください。
最後に医療現場のことを書いてみたいと思います。
子どもへのHBVワクチンを希望する保護者に対して、医療者が「ワクチンが必要なのは医療者だけですよ」「海外にいかないなら不要」(・・デマです)と答えたりしている2011年の今、当の医療現場ではHBVワクチンはどうなっているのか?です。
まず医療者のみなさん。接種済みですか?
大きな病院には感染管理部門や医療安全部門がありますが、そこが職人の接種状況を把握していますか?
実習にきてパタパタ動き回っている医学生や看護学生は接種済みですか?(必要なのはHBVワクチンだけじゃないですが)
売店の販売員や清掃の人はどういう状況かご存知ですか?
連携している介護施設で働く人ははいかがですか?
例えば、JCI認定は亀田総合病院がまず国内第一号、次にNTT関東が取得しましたが、今年度複数の病院がアプライするときいています。この認定を取る際にも、感染管理のレベルとして、病院で働く人たちの免疫状況の把握が項目にあげられています(ワクチンするかどうかはその業者の責任者の問題)。
Joint Commission International
突然、麻疹や水痘のアウトブレイクがおきたときに、「さーて、職員のワクチンステイタスから調べるよ~」なんて悠長な調査やってられませんしね。
直接患者ケアに関わる(体液等に触れる可能性がある)・医療廃棄物に関わるような人は全員HBVワクチンを接種していると思いますか?
こたえはNOです。まず法律で決まっているわけではありませんし、「一般の人と違うリスクもあるんだし、やったほうがいいですぜ」ということを誰がどこまで知っているか?です。
検査やワクチンに費用がかかるため、経営者や事務方に説明するために「お墨付き」・「標準化」できれば厚生労働省の課長さんのお手紙などがほしいところです。
労災関連の通知はあります。
「労災保険におけるB型肝炎ワクチンの取り扱いについて」平成16年3月30日 労災補償部補償課長
消防庁救急救助課長の通知 昭和63年5月
・・・(中略)感染危険が予想される職 員すべてに対してワクチン接種を行い、B型肝炎感染防止に万全を期す るよう周知徹底するとともに、とりわけワクチン接種未決定の消防本部 においては、可及的速やかに接種を実施するよう、よろしく御指導願います。・・・
日本では「学会」がガイドラインを出しています。感染管理担当の人はこれを活用して院内ワクチンポリシーを策定しているのではないかと思います。(無視する根拠はない。全く知らなかったらそれはそれで問題になりそうな)
『院内感染対策としてのワクチンガイドライン』第1版 日本環境感染学会 平成21年5月
事故が起きた時に先に必要と思われる対策をやってたんですか?が問われます。
損害保険会社は肝炎やHIVも補償するらしい。 「医療・介護事業者向けの保険 - 感染症対応任意労災プラン」
この場合ワクチンは必須なんでしょうかね。
日本における有病率(米国CDC作成の図) 日本に長期滞在する米国人はHBVワクチンを接種するよう推奨されています。
医療者には業務上の特別な感染リスクがあります。
HBVはHIVの約100の感染力・・・と学習をします。学生は一度驚きますが、「ワクチンがある」ことを知り、その必要性も学びます。(しかし全員が接種してはいないのが課題)
ワクチンをしていない場合、針刺し事故など高い感染リスクを負うことになります。
昔、医療者が劇症肝炎で亡くなり大きなニュースとなり、国立病院のスタッフは公費でのワクチン接種が行われました。
B型肝炎医療機関内感染対策ガイドライン財団法人ウイルス肝炎研究財団 1987年 によると、予防のためのワクチンが記載されています。(しかし法的根拠などではありません)
2011年11月現在の厚生労働省のHPをみると、接種しておいた方がいいよと書いてあります。
施設の責任者がこれをみて費用をだしましょうとなれば特に問題なく。
問題が発生した時のコスト、感染が成立したあとの健康問題を考えるとワクチン大事だねという話になっていくはずなんですが。
雇用主に対して絶対にやらないとダメだよ、とは書いていません。
米国の労働安全を扱うOSHA(おーしゃ)はこれをルールにしています。
医療者に徹底されたあと、医療者の急性B型肝炎は激減しました。
こういったモニタリングデータがあることが政策立案・予算化の強み。
日本はどうでしょうか。
平成14年の話ですが、実施していないとか自己負担のところも一定数あります。
医師や看護師は接種している医療機関はあるのですが、病棟実習にきて同じようなケア・診療を行う医学生や看護学生はどうでしょうか。
10年以上前ですが、看護学校の状況を調査した方がいます。
そして実際には血液曝露事故なども同じように起きています。感染防御の知識や実践力が不足している分リスクがあるといえます。
現在、感染管理担当者のいる病院では、実習を受け入れる際に、職員と同レベルの感染管理対策を求めています(当然のことながら費用は学校や学生個人の負担です)。
感染管理担当者は施設内のワクチンポリシーを作り、出入り業者や実習受け入れ校の責任者に事前に安全管理基準として示し調整をすることが必要になっています。
「きいてなかった」とか「教えてもらえなかった」ということにならないためです。
そしてこれは医療者や従業員を守るだけでなく、安全な患者ケアを提供するために必要なことであり、もちろんHBVワクチンだけの話ではありませんね。
HBVワクチンを学生がしないと判断する場合は、リスクの説明を受けたうえでの辞退であることを保護者のサインと一緒に得ておくことも必要になってきます。(原則実習に行かせないという学校もあるそうです)
最後にもう一度、CDC作成、有病率の世界地図。
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