感染症診療の原則

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ICUを個室化すると

2011-02-08 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
医学生、研修医の皆さん。身近にジャーナルクラブがあったらぜひ参加して、先輩たちから数字や論文の解釈、クリティークの仕方を学びましょう。

ネットでもたくさんの情報に学べる時代です。CMECジャーナルクラブのブログ編集長は名郷直樹先生。
CMEC-TV

いろいろな人とディスカッションすることで、鍛えられていきます。

いきなり超専門的なテーマは難しいようでしたら、誰でも関係しそうな院内感染対策などはいかがでしょうか。
どの施設でもとりくまなくてはならない課題です。
どれくらいのことまでやるべきなのか(お金・人材・物品)。

感染症発生リスクの高い(もともとそのような病状の患者が集中する)ICUで、複数ベッドをシングルベッドに、つまり「個室化」したら、感染症のリスクがどうなるか?という調査研究報告。

Arch Intern Med. 2011;171(1):32-38
Infection Acquisition Following Intensive Care Unit Room Privatization
関心をお持ちの方は全文をみてみましょう。

ここにある数字だけではどうでしょう?

Cディフィシル、VRE、MRSAは全体で54%減少(95%CI 29%-70%)
C difficileは43% (95% CI 7%-65%)
MRSA感染は47%減少 (95% CI,1%-71%)
真菌感染は 51%減少 (95% CI, 34%-64%)

個室にしたらよさそう??????。

数字を眺めていると、指導の先生がきっといろいろ質問をなげかけてくることでしょう。
例えば統計的なつっこみどころ。
信頼区間(Confidence interval CI)はどうかね?」

うーん。

そもそも個室にするとどのようなリスクが下がるのか?
他の因子に変更はないですか?
バイアスはどうですか?

この数字から、「ICUを個室にしよう」と事務方に提案したほうがよさそうですか?
アウトカムじたいに影響しますか?(菌が生えただけですか?患者さんの状態に影響しましたか?)
実際問題、そのためのコストはどれくらいかかり、ケアスタッフの負担は増えたりしませんか?

No effect was observed on the acquisition rate of coagulase-negative Staphylococcus species, the most common endogenous organism, for which no change would be expected. The adjusted rate ratio of the average length of stay in the ICU was 10% (95% CI, 0%-19%) lower after the intervention.

そして結論は何か。

などなど。学部生あたりによい教材になりそう。

データの取り方、解析の仕方もちがいますし、ベッドあたりのスタッフ数や、そもそも患者の背景がどうか。バイアスをなくすために分母を大きくしたり観察期間を長期化するとどんな影響があるか。

MRSA症例を個室に入れる、コホートする効果について。そのルールを再検証したら、という提案。
Lancet. 2005 Jan 22-28;365(9456):295-304
Isolation of patients in single rooms or cohorts to reduce spread of MRSA in intensive-care units: prospective two-centre study

ヨーロッパ6カ国のICUでMRSAをモニタリングしてみたら・・
Acquisition and cross-transmission of Staphylococcus aureus in European intensive care units

・・・とか。学生がさらに自分で検討を広げるきっかけやヒントをもらえるジャーナルクラブです(^^)。
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