感染症診療の原則

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抗がん剤で感染症を治療!!

2011-01-19 | 青木語録
普段は抗がん剤にも基礎医学にも全く縁遠い編集長ですが、時に「やはり基礎医学を深める事の大切さ」を実感させられます。

今回のものはIAS-USAの雑誌に投稿されたSilver Cree Sisneros, DOによる「抗がん剤による感染症の治療」のレポートです。

まず著者のタイトル。MDではなくて、DO(Doctor of osteopathy)というのが懐かしくて良いです。米国ではDOも医師としてライセンスを持って仕事ができるのですが、自分が感染症Fellowshipを同時期にやったGeyer医師もDOだったのです。より気さくな方が多い印象・・・。

本題にはいりますと・・

抗がん剤の名前はPaclitaxel。卵巣癌、乳がん、非小細胞性肺がん、前立腺がん、エイズ関連のカポジ肉腫の治療などに認可されています。このPaclitaxelの作用対象は細胞の微細構造のMicrotublesなのだそうです。そして平たく言うとmolluscum contagiosum virus (MCV)も自分の増殖のライフサイクルにこのMicrotublesを使用するので増殖が阻害されるだと・・。

まあ理屈はともあれ、普段は「抗がん剤によって作られた感染症」を仕事の対象にしている者としては「抗がん剤によって治療できる感染症」の存在は印象的な事です。

基礎医学の先生に最敬礼!!

写真はHIV感染症の基礎も臨床もこなすSchooley医師と・・


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