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感染症診療の原則

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発熱と咳→狂犬病だった(MMWR)

2010-04-11 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
金曜日にEurosurveillanceと米国CDCのMMWRをチェックします。

英語と感染症の勉強ができるので将来留学希望の医学生さんや研修医にもおすすめ。
Travel Medicine的ネタも学べます。

今週のMMWRではケンタッキーの病院で診断されたヒトの狂犬病症例が報告されています。
Human Rabies - Kentucky/Indiana, 2009(MMWR 2010年4月9日)

若い皆さんは「日本で診断するこたーないだろう??」と思う方もいるかもしれませんが、
輸入症例が報告されています。

山本舜悟先生
本邦36年ぶりの狂犬病輸入症例の報告-京都の事例(IASR 2007年)

倉井華子先生
36年ぶりに国内で発生した狂犬病の臨床経過と感染予防策-横浜の事例(IASR 2007年)

動物との接触歴はだいじですね。
「犬」だけじゃないことは医療者ならば知っていないといけません

青木編集長がケンタッキー留学時代に曝露後のワクチン接種を一番多くしたのは「こうもり」。

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MMWRより

2009年10月5日に職場の診療所を発熱と咳で受診したもともと健康な43歳の男性には肺の聴診以外での異常は把握されませんでした。
気管支炎と診断され、抗菌薬が処方され翌日再診として帰宅。

10月6日の受診時には高熱・悪寒・胸痛・握力の異常など、症状が悪化していましたが、麻薬鎮痛剤や筋弛緩薬が処方され帰宅となりました。

10月7日に同じERを受診。アカシジアと運動不穏の症状があり、筋弛緩薬の副作用と考えられました。このとき医師は入院をすすめましたが患者が帰宅を希望。

翌日診察をしたプライマリケア医師は敗血症を考え入院となりました(筋線維束性収縮、発熱、頻脈、血圧低下)。
入院後、メンタルステイタスに異常をきたし、髄液検査等が実施され、9日には近隣のケンタッキーの病院へ転院となりました。
★グルコース72 mg/dL (正常40-70 mg/dL)、タンパク140 mg/dL (15-45)、赤血球 3/mm3 ( 0-2 cells/mm3)、白血球 38/mm3 (0-5)、lymphocytes98%。

転院してからの10月9日-19日の間、原因が不明のまま、患者は透析が必要な状況に。
頭部のMRIは正常、髄液の培養は細菌、真菌陰性、ウエストナイル、ヘルペス、HIVも陰性。

10月19日に狂犬病の検査をすることになり、検体はCDCにおくられ狂犬病ウイルスに感染していることが確認されました。翌日10月20日に脳死判定され、人工呼吸器を外し死亡となりました。

患者の居住地・勤務地であるインディアナ州と、転送先のケンタッキー州の病院で濃厚接触をした人を対象に、公衆衛生当局が曝露後対策が必要かどうかを検討。

医療者147名を含む159名が候補となり、アセスメント・相談が実施され、結果と指定18名がワクチンシリーズを実施。

この事例では、剖検を安全に行うために、公衆衛生当局とCDCの専門家が支援と助言を行っています。
ケンタッキーの公衆衛生当局とCDCが剖検の支援のために人を派遣。
感染管理についてもコメントが書かれています。

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