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新ワクチンとGBS(ギランバレー症候群)

2009-08-18 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
英国のインフルエンザワクチン関連のニュース(一般市民向けメディア)です。
1976年の米国でのワクチン接種後のギランバレー症候群の増加の事例をふまえ、
神経内科の医師らにGBS症例の増加監視にあたっての注意喚起の連絡がまわっているそうです(その症状・症例を最初にキャッチしするのはこの領域の医師だから)。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1206807/Swine-flu-jab-link-killer-nerve-disease-Leaked-letter-reveals-concern-neurologists-25-deaths-America.html

ギラン-バレー症候群(GBS)は、感染症に続いて起こることがある麻痺を起こす病気で、原因は不明。1976年に米軍基地で流行し犠牲者が出た豚インフルエンザの流行時に、米国は即ワクチン開発に着手。8か月後には国民4千万人以上に接種されましたがGBSの報告方が増え、国のワクチンプログラムは12月16日に延期され、調査がはじまりました。

1976年10月1日~1977年1月31日に発症したGBS症例は1098例。50州とDC,プエルトリコから報告されました。532例はGBSに先行しA/New Jerseyワクチンの接種歴あり。15例はGBS発症後のワクチン接種でした。543例は当該ワクチンの接種歴はなく、また8例はワクチン情報が不明。

事後の解析結果、A/NJ/1976 vaccine 接種後6週以内とGBS発症の間のAttributable risk (AR) は4.9 - 11.7/100万ワクチン接種者となりました。

このニュースを知っている人たちは「(短期間につくった新しいワクチンは)他の人が接種するのをみてから」と言います。接種の優先順位は内閣、警察官、自衛隊という社会機能維持業務の人たち、ハイリスクグループや医療関係者です。
現在各国が指針を出しているところです。

米国で1994年から2003年までの間に報告されたインフルワクチン関連のGBS(確定)症例は264例。分母がとても大きいのでこれを接種するかしないかの判断にするのはとても難しいですね。
Reflections on the 1976 Swine Flu Vaccination Program(EID,2006)
http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol12no01/05-1007.htm
Guillain-Barr醇P syndrome and the 1978-1979 influenza vaccine.
N Engl J Med. 1981 Jun 25;304(26):1557-61.
Guillain-Barr醇P syndrome in the United States, 1979-1980 and 1980-1981. Lack of an association with influenza vaccination.
JAMA. 1982 Aug 13;248(6):698-700.

(写真は"日本の守護神":FETP生と育ての親Johnコバ)
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