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Zika熱 渡航者への注意喚起、妊婦からの相談

2016-01-17 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
Zika Virusは1947年にウガンダでみつかった(そう新しいわけでもない)ウイルスですが、もっとも対策が困難な「蚊が媒介する」感染症です。

潜伏期は2ー7日、60ー80%は無症状。
マイルドな発熱、関節の痛み、発疹等,他の感染症/疾患と区別する独特のサインがありません。
検査は現時点では商業ベースのものはありません。PCRでわかるのは短期間。

dengue, leptospirosis, malaria, rickettsia, group A streptococcus, rubella, measles, parvovirus, enterovirus, adenovirus, alphavirus infections等も考えつつ最終的には検査で確認が必要になります。
共感染もありえます。




1月13日、NEJMにZika Virus in the Americas — Yet Another Arbovirus Threatという記事がのり、

1月15日 渡航者向けの注意喚起が行われています。

Brazil Colombia Ecuador El Salvador French Guiana Guyana
Guatemala Haiti Honduras Martinique Mexico Panama Puerto Rico
Paraguay Saint Martin Suriname Venezuela


これまでZikaの積極的な検査が行われていなかったためデング熱等に間違えられていた例もあると考えられていますが、「蚊で刺されて熱が出るような病気」以上のインパクトをもたらしたのは、「妊婦が感染すると胎児に影響が出る」というリスクがキャッチされてからです.

図:米国CDC


WHO/PAHOとCDCの調査が行われており、Q&Aも公開されています。

疑いの段階で、妊娠についてのアラートはブラジル等でも早めに出ていましたし、渡航者への情報提供もありました。
Pregnant women in Canada, U.S., urged to postpone travel to Zika-hit countries

1月8日のWHOレポートでは、1月2日までに把握された疑い例は3,174、うち38例は死亡。684の地域から報告があり、最も多いのは北東部。

1月17日のNew York Timesでは、ブラジルで妊娠初期を過ごした女性がオアフ島で出産しmicrocephalyであったとのニュースが掲載されています。
Hawaii Baby With Brain Damage Is First U.S. Case Tied to Zika Virus

このようなニュースが報道で増えていくと、不安になった人から医療機関への相談増えます。特に流行地のリンクの強い地域が日本の各地にありますので、スタッフにQ&Aを提供する、勉強会を開く等の工夫も行われていくでしょう。
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