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感染症診療の原則

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新聞各社への問い合わせ結果(B型肝炎訴訟報道)

2010-05-13 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
これまでの報道の中で、5月13日の日経新聞の記事が一番まとも。
B型肝炎は理にかなう救済を

それでも「救済」とは何かが不明確ですし、治療の選択に制限がかかっていること、国の予防接種プログラムにHBVワクチンが位置づけられていないこと(ユニバーサル化)など、具体的な改善点についてのは記載はありません。

まず、各社の報道で問題を感じたのは、事実を確認しないで書いているのか(手抜き・無知)?、確信犯的に書いているのか?です。

「・・・といわれている」というかたちで感染者数や患者数を書いたり、

「被害者を救済する」という、被害者とその他に二分するような論調にしたり(薬害エイズと同じ過ちにつながる)、

さらに、一般市民に「HBVはほとんどが母子感染」と誤解をまねくような記載をしていること、などについて指摘をしました。
つまり、個人の健康、今後の対策を考える上で「HBVは他の感染ルートもある」あるいは「感染源やルートは不明な人たちが一定数いる」ので、誤解を招くような報道は問題だ、と指摘。

裁判は科学的事実を争う場ではない、という人たちがいます。そういう面もあるかもしれませんが、「母子感染でなければ“推定”予防接種」という理屈はおかしいです。

まず、西日本新聞の社説への疑問をメールしてみました。
その日のうちに電話がかかってきました。
そこでわかったのは、予防接種で感染したとされるHBVの数は「巷でそういわれているので、伝聞形式で書いてしまった」とのことでした。

調べたり専門家に聞いたりしていないことがわかりました。

HBVについてのいろいろなことは「知りませんでした」、とのことです。

毎日新聞。これまで別件でメールをしても無反応でしたが(読売はたいていレスがある)、記者の名前で返信メールがきました。上記のようなことについてはやはり「知りませんでした」とのことでした。

北海道新聞。現時点で返信なし。

信濃毎日新聞。担当者からすぐ電話あり。知らないこともあった、薬害エイズのように被害者とその他にわけかねないような記載をしてはいけないと気づいた、とのこと。不足情報は今後機会のあるときに補っていきます、、とのことでした。

現在、かなり曖昧な状況で動いているのは選挙対策という政治マターになってしまっている危険があります。

そのような中、仮に賠償金ということになるのだとしたら、1万円・5万円・100万円・300万円にどの程度の妥当性があるのか、根拠確認もしないまま公的なお金を出すことじたいにそもそも問題はないのか?

本当に必要なのは治療アクセスを早く改善することであり、安心して療養できる環境であり、感染リスクをさげるべく予防接種が普及するようにすることのはず。
HBV対策は母子感染だって現在も100%予防できるわけではないのです(意外に知られていませんが)。今後はSTDとしての教育も大切。

今だからわかることを後だしじゃんけん的にいろいろいうならば、将来そのようにならないための今できる取り組みも提案しないと・・とおもっています。

http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/ab0affdbaad57b58f88ed80e3f81ede4

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