感染症診療の原則

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昨年度ブームだった「フェーズ4以降訓練」

2009-04-28 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
WHOがフェーズを4にあげましたね。

台風とか天災への対応をしている専門家のかたから「ぼくは寝るときはNHKのラジオをつけたままにしている」と聞いてから、同じようにしているのでネボケつつも「あ、4になった・・」と知りました。

日本の「新型インフルエンザ対策」訓練は以前はフェーズ3までがおおかったのですが、実は昨年度は各地で「フェーズ4以降訓練」もやらないと!ということで各地で似たような研修会が行われていました。(検索するとPDFなどで読めます)

つまり、訓練した/された人が一定数います。
(うちの地域はだいじょうぶかねえ・・・と不安な方まずはご安心を)

訓練のよいところはただやるだけではなく、警察や自衛隊・病院関係者などがあつまってウンウンと頭をつきあわせることで連携関係の基礎をつくること、そして反省や評価を出し合うことで「実際に足りないモノはなんだろう」がわかることです。

皆さんがいうのは、対応はイメージがついたが「現在の人員でいったいどうやってやるのだろう」です。

つまり、今のマンパワーはほかのことで手いっぱい。そのとき何を優先して何をいったんとめるのか。

たとえば保健所。医師が不足していて保健所長をかけもちしている所長さんたちがいます。インフルエンザが流行していても他の保健問題(結核や食中毒など)も同時にいつものように流行しています。

感染症担当者は結核業務をしていることは多いですが、結核担当者を結核からはずすことはできません。

病院のERや呼吸器系の病棟はどうでしょう?
今でもギリギリ、、、、といっている状況を現場の人の熱意でまわしているようなところがあります。
呼吸器病棟や外来がなくなった病院が都心にもたくさんあります。

そのような病院に一定期間、診療負荷がかかるようになります。

単純に発熱外来といっても発熱する疾患は他にもたくさんありますので、今まで行くき慣れたところにいくでしょう。

ほかに各地の研修会で聞くことは「外国人向けの情報が不足する」です。
18組に1組が国際結婚といわれるほどに人の交流が盛んで住民に外国の人が一定数いるのに緊急時にどうやってアナウンスをするのか? 現在もできていないことは緊急時もできないのです。

感染者が国内で報告され始めると、接触者調査が行われることがあります。つまり一緒に旅行をしていた家族などが、同じように感染していないですか?ということを調べるわけです。

そのときお元気でも、検温を依頼し、体調に異常がないか一定期間モニタリングをしたり、場合によっては抗ウイルス薬を服用したりもします。

この疫学調査の研修会が昨年度、国立感染症研究所で3回開催され、各自治体の部長クラスの人が研修を受けています。

しかし、新型といえどもインフルエンザ感染症ですので、対策としてはシンプルに2つしかありません。

ウイルスとヒトは「Livng Together」。ゼロにはなりませんのでどうやって対応するかですね。

報道をきいていると「まだ日本にはいない」となっていますが、そんなのわかりませんよね!
メキシコで流行し始めたのは3月からですから!

感染して入ったヒトもいるかもしれませんが、ある家族や地域で問題だ!というような状況は今のところおきていません。(平時からのモニタリングが信用に足るならば)

対応も自宅で安静、ひどかったら病院で治療ということもかわりません。
他の人にうつさないための気配りも一緒です。


対策はクスリ系と、公衆衛生系と主に2つあります。

「ワクチン」→今流行しているウイルスのものはこれから製造されます。米国やWHOから株をわけてもらってつくりはじめます(数ヶ月かかる)。
「抗ウイルス剤」→今あるものと、流行時用にストックしているものを計画に沿って使う。大切に使いましょう~。
(世界のタミフルの70%をつかってきた日本への評価はこのようなとき厳しくなりそうですが)

その他、ワクチンができるまでに時間がかかるのでその間になるべく「増やさない」「広げない」工夫が大切。

公衆衛生系は別の記事で紹介します。

忘れちゃいけないのは、トリフルもまだ世界で報告が続いており、そっちがなくなったわけではないことです。メキシコだけに熱くなれないGWです!
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