感染症診療の原則

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感染症と合成麻薬

2009-08-04 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
麻薬取締法違反容疑で逮捕のニュースがありました。

合成麻薬と感染症、特に性感染症には接点があります。
例えばダンスイベントの「レイブ」「ハウス」。そこでは何時間も踊り続ける体力、長時間に渡るセックスを可能にするドラッグの売買が一部でおこなわれています。判断力の低下、複数との性交など、感染症リスクが高まることに疑問はありません。
アルコールやドラッグが入ると、正しい知識や行動変容理論などふっとんでしましますね。
都市部の街角では「やせ薬」として売られています
最近ニュースが増えている大麻のようなソフトドラッグにはじまり、その後合成麻薬などの軽い違法薬物に移行し、今回話題になったMDMAなどに進展。次に覚醒剤を吸入、最後は覚醒剤を直接の静注するという展開です。

日本では「回し打ち」での感染は少ないと言われていますが、遺伝子解析をすると、クラスターを形成するグループもあるそうですので、感染症対策の一部に常にこの話は出てきます。

実際問題。自分の担当する症例で薬物の問題がおきたら?医師はどのような対応をせまられるか。

パターン1:警察から連絡が来る
「お宅の患者がこちらにいる。処方を希望しているのでよろしく」この場合、保険はつかわれず、国が100%支払いをします。とりあえず処方。支払いは医事課に相談。

パターン2:オーバードーズで救急搬送される
「持ち物の中からおたくの診察券が出てきました。そちらに搬送するのでよろしく」 かかりつけ医としての疾患は対応できるものの薬物の過剰投与に何をするのかあまり知られていません。

パターン3:長期記憶の障害、メンタルステイタスの変化から最初に精神科の鑑別を考えるが、以前使用した薬物あるいは現在使用中の薬物の影響を考える必要がある。どの時点で考えるのか。患者になんとたずねるのか。

そしてカルテにどこまで記載をすべきか・・・。

今回のニュースで話題になったのは使用すると気分が高揚して全能感を誘導する「アッパー系」のMDMA。反対の「ダウナー系」は多幸感をもたらし、けだるさ、幻覚(LSD、マリファナ、アヘン)が生じる、そうです。

国内では、最近では大学生だけでなく公立学校の副校長まで検挙されています。

歴史を含めた薬物についての詳細は赤城高原ホスピタルのWebsiteが詳しいです。
http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/DRlegal_drug_hisory.htm
一般的な情報は横浜市衛生研究所の説明がわかりやすいです。
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/health_inf/info/mdma.html
薬物に詳しい弁護士さんのサイト
http://33765910.at.webry.info/theme/f175a90070.html
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