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風疹対策 誰が何にとりくんでいるか(とりくんでいないか) 4月13日(土)9:00

2013-04-15 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)

今回のクロノロジーを作成しています。
アウトブレイクなどの事件の際、たくさんのプレーヤーやステークホルダーがいるわけですが、
どこが何をした、しなかったということは、今後に向けての報告書を作成する時に重要な情報です。
これは、以前、危機管理の研究班から翻訳を依頼された、SARS流行当時のカナダの検査機関ネットワークの振り返り資料を見て強くそう思ったことです。

縦に時間の経過、横には各機関を書きます。


厚生労働省にはある時から風しんの特設ページができてます。
多くの人は見る習慣がないですが。
これまでに国の取り組みとして何をしてるかは、結核感染症課からでている通知を見るとわかります。

厚労省の通知は、通常は自治体の感染症の対策部門にあててでます。
その地域でよろしく、というわけです。
あるいは学会などに協力依頼、などがあります(検査の試薬が不足してますので、など)。

これを受けて(いや、自主的に動かなくてはいけないこともありますが)、自治体はどのような呼びかけをしているか?です。

例えば、感染増加が把握された、福岡、兵庫、大阪、愛知、東京はいつの時点で県民や都民に啓発をはじめたか?です。
ホームページに載せるという最低銀のことよりは、具体的なアクションをいつとったか?です。

例えば東京。新宿区百人町にある、健康安全研究センターの中にある感染症情報センターには風疹の特設ページがあります。
現在は助成情報もまとまっていて便利ですが、本来これは西新宿にある都庁の感染症部門の仕事では?と思います。都庁のホームページを見る人がどれくらいいるかわかりませんが、健康安全研究センターよりはアクセスが多いように思います。

23区を比較するととても興味深いです。ワクチン接種補助の情報は載っていますが、住民啓発に熱心なところとそうでないところの差がとても大きいです。
今年、これを卒論テーマにしようという学生には、この違いを画像で残しておくように伝えています。

兵庫(神戸、尼崎)や大阪はどうですかね。


このようなアウトブレイクが起きたとき、それがワクチンで予防できる病気なら、緊急ワクチンプログラムが行われるのが教科書的な対応ですが、なぜかお金がないという理由で母子の健リスクはケアしてもらえていません。
妊婦さんは気をつけてという、無力感たっぷりのメッセージが先行していました。


同時期に英国のWalesでは麻疹がブレイクしており、週末に複数のwalkin無料MMRワクチンのサイトが稼働しているのと対象的です。
事前に保健所に用紙を取りに行けというようなこともありません。
(数時間待ちの行列のため、お弁当が配られているそうです。トイレはどうするのか?といろいろ疑問がわきます)。

ところで、国や自治体がアクションをとらない、あるいは遅れる理由に、学会などの専門団体がそのアピールをしていないということがあります。

土曜日の朝にざっと見渡した状況は下記のとおり。


日本公衆衛生学会 http://www.jsph.jp/

トップページに記載なにもなし!びっくり! 予防接種とか風疹とか、母子保健って公衆衛生のプロのマターではないのか?

日本保健所長会 http://www.phcd.jp/

・・・・。

日本産婦人科学会 http://www.jsog.or.jp/

お知らせには厚労省通知がならんでいます

日本産婦人科医会 http://www.jaog.or.jp/

厚生労働省の通知あり

日本周産期・新生児医学会 http://www.jspnm.com/

特にみあたらず

日本小児科学会 http://www.jpeds.or.jp/

トップページではさがせない。(CRS児のケアは小児科ではありますが、今燃え盛っているのは成人で、子どもの発症は少ないからか)

日本助産師会 http://midwife.or.jp/

母子や家族を守るスペシャリスト、です。

会員へのメッセージにもないみたいです。今日現在のお知らせコーナーは下記のようになっています。
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2013.04.12 出産は必ず産科医療専門職の元で
2013.04.01 全国助産所分娩基本データ収集システム運用開始しました。
2013.03.01 神奈川県の助産師が書類送検された件に関する日本助産師会の見解を掲載しました。
2012.11.27 ICMの助産師専門教育(2012)モデルカリキュラム掲載
2012.11.22 総務省よりお知らせ「サービス産業動向調査」が大きく変わります。
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日本感染症学会 http://www.kansensho.or.jp/ 

トップページをみますと、2011年の災害に関して麻疹のステートメントがみつかりました。
ずっと下の方をみていくとトピックスにワクチン委員会(があるんですね)からステートメント。
しかし、読んでも誰に何をうったえているのかよくわかりませんでした。少なくとも学会員になのか、一般向けなのか?くらいは明確なメッセージにしていただくと、その後につながるようにおもいます。

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日本感染症学会提言2012「インフルエンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設を含めて)」 NEW(2012.8.20)
ニューモシスチス肺炎(PCP)治療薬 サムチレール®内用懸濁液15%の取り扱いについて(2012.6.26)

トピックス一覧
第28回国際化学療法学会(ICC 2013)事前参加登録のお知らせ NEW(2013.4.10)
鳥インフルエンザA(H7N9)関連情報リンク集 NEW(2013.4.9)
「MRSA感染症の治療ガイドライン」パブリックコメントの募集について(2013.4.1)
第87回日本感染症学会総会資料(2013.3.12)
ワクチン委員会から(風疹の流行について) NEW(2013.2.13)
Journal of Infection and Chemoterapy投稿について(2012.12.18)
学会誌全巻全号電子化について NEW(2012.12.5)
Journal of Infection and Chemotherapyインパクトファクター取得のお知らせ NEW(2012.7.4)
「JAID/JSC感染症治療ガイド2011」正誤表(2012.3.27)
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日本環境感染学会 http://www.kankyokansen.org/

最新のお知らせ、の今日の画面にはありません。鳥インフルエンザはのってます。


ほかにも10件ほど見てみました。来週は学生が協力してくれるので、20件ほど追加して関連団体をチェックしてみようとおもいます。


感染症のセンスをお持ちの方ならお気づきでしょう。

ゴールデンウィークが大きな山場となります。
小学校ではやっているわけではないので(2回MRワクチン接種の新日本人ですから)、チェーンを断ち切る方には作用しないでしょう。

成人で流行しているので、むしろ、連休だーヤッホー!と広く異動するわけですから、拡散になるリスクを考えて対策を提案することが必要です。


某国にお出かけの場合はA型肝炎や狂犬病が話題かもしれませんが、国内風疹流行地へ行く場合は、出発2週間前までに、免疫確認あるいはMRワクチン接種を、とよびかける必要があります。

対策をする人達の山場は、GW2週間前。


自治体が補助を準備しているものの、補助は5月からですテヘッとかいっていたら、全力で前倒しするよう説得をしましょう。あとで精算する、償還という方法があります。
中野区のホームページを参考にしてください。

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