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危ないカレンダーサイト

2010-04-03 | 非・悲・否・避「常識」
質問紙調査でコンドーム使用状況をたずねたいとします。

「コンドームを使いますか?」→はい、と答える人は多いです。

「いつもつかっていますか?」→それでもはいと答える人は多いです。

しかし個人によってその定義の理解が微妙にことなっています。

使っているけど毎回じゃない、いつもつかっているけど、最初から最後までじゃない。

そして、相手によって使用状況が変わるということがよくあります。

固定パートナーとは責任関係にあるのでばっちり使っているが、責任を負わなくていいカジュアルな関係でのセックスではつかわない人が多い、ということが日本の特徴としてあるそうです。京都大学の木原先生の研究などで紹介されています。

海外だと逆のデータもみます。つまり固定パートナーとはピルなどより確実な避妊をしているのでコンドームを使用せず、カジュアル関係、風俗ではSTDの心配があるのでコンドームを使う、、です。

「使っているけどいつもじゃない」と「使っているけど途中から(射精の直前)」
というひとたちが妊娠したり感染してきます。

使っているけど途中からという人は射精の前からの妊娠リスクを知らない「誤解の人」です。昭和のおじさんは膣外射精を避妊だと思っている人がかなりいます。
根本的に知識不足のため教育が必要です。

「使っているけどいつもじゃない」人は、妊娠しない日=安全な日という概念を信じている場合がほとんどです。
女性の体はロボットではないのでカレンダー計算くらいで確実な避妊ができるとおもったらおおまちがい。

しかし、最近はこれを助長するようなサイトがあるそうです。
月経周期を携帯サイトやPCサイトで把握しようというものです。
これで受胎可能日以外は大丈夫と思い込む人がふえています。

月経周期は、月経がきてはじめて「あの頃が排卵日だったのかも」とわかるだけです。前向きにあてずっぽうはできません。

カレンダー計算は妊娠をしたい人には参考情報になりますが、確実な避妊が必要な人には使えません。(妊娠しても産めるならいいのでしょうけれど)

その結果クラミジアや妊娠うたがいで受診します。

毎月100円程度で、150万人くらいが契約をしていると先日婦人科のドクターからききました。ちゃんと免責事項があって、このサイトは責任とりません、とかいてあるそうです。

根本的な知識がない(中学や高校出教えることになっていませんので)ところで危ない目にあうひとがふえています。
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